「おぅ、厠どこだ」
こんな状態ですから、生放送中に粗相があってはなりません。
このために、酔ってもない連れも一緒になって泊まってる訳で……。
「おっ、月が出たねぇ♪」
「よし決めた、月明かりを浴びてしょんべん垂れよう」
元が頑固な男ですから、酔っぱらいに何を言っても聞きません。
連れ合いは、ひやひやしつつも……。
真夜中ですし、まして騒ぎ立てては大事(おおごと)ですから強くも言えない。
「やぃ、しょんべん鉄砲受けてみろ!」
何て調子で、塀をよじ登って高い所から用を済ませていますと……。
「ふぅぅぅ!!」
「オィ、脅かすなよ」
「何だっての?」
「???」
ガチャーン!
大きな物音を立てて、塀から落ちました
男も呼吸を忘れてびっくりしてたのも束の間……
「でーたー!」
大きな物音に、男の大声です。
離れで休んでいた屋敷の主も、顔を覗かせます。
二人は水を飲んで落ち着く迄、何も喋れません。
やっと落ち着いてきた男を見て、主はこう尋ねます。
「お前さんら、何が出たってか?」
二人は顔を見合せて、目で合図を送りあってました。
やがて、決心が付いたのでしょう。
こう述べたと言います。
「ハイ、ウンコシッコ漏れ無く出ました」
「うむ、出し惜しみ無い口上……」
「殊勝な心がけよ!」
「声もでかければ、ひねり出した喜びももひとしおであったろう」
2015年 10月29日 7時 一部修正
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