檄文!!サッカー

熱くなり、何より愛すべきサッカーについて書きます。
その過程で得られた市民意識を元に、世情についても論述中。

ニャンこ先輩 第6回

2011年05月23日 23時43分54秒 | 市民意識tkそんな・・ネタ!

ニャンこ先輩 第1回 2010年12月23日

 ニャンこ先輩 第2回 2011年1月23日

 ニャンこ先輩 第3回 2011年2月23日

ニャンこ先輩 第4回 2011年3月23日

ニャンこ先輩 第5回 2011念4月23日  


 前が見えない、そんな状態だった。

勿論、状況が読めてないのだ。

そうなるのも、仕方無い。

しかし、ことこの件に関しては……。

仕方無いでは、済まされない個別な事情を孕んでいる事だけは感じ取れた。


 ぽっかり出来た、コミュニケーションの穴。

僕はそれを塞ぐのに、精一杯だった。

言葉を、紡げなくなる。

そんな恐怖に、打ち勝つ為には……。

僕に言葉の安全確認は、必要無かった。

むしろ、この時ばかりは無駄にすら思えた。

そうなると、人間は何を言っているのか……。

自分でも、分からなくなってくる。

決して、感情的になっている訳では無かった。

ただ、言葉ばかりが先走り……。

僕の人格や意思が、それを後から追いかける状態が発生していた。


 どれだけ、僕は喋り続けていたのだろう。

ふと彼女の瞳が、僕の視線の先に入った。

僕が、その瞳を覗き入ってしまったのが良くなかった。

もう、僕は話す気力をそこで全て殺(そ)がれてしまった。

(あぁ、何て僕は無力なんだろう……)

途方も無い脱力感が、僕を包囲した。

彼女の目に、感情らしい感情の色は宿ってなかったのだ。


 いっそ、言葉で全否定された方が……。

この時の僕には、幾分かの救いもあったろう。

生まれて初めてと言って良い程に、言語中枢を全力で働かせてみた訳であった。

だが、僕のそういった背伸び……。

そんなものは、この女性には毛虫程にも関心を寄せる事は無かったのだ。

その事が、僕の全てを否定された様に想像されたのである。


 (そんな目をした奴があるか?)

(……そんな目で僕を見るな!)

心から叫び出したい衝動は、抑えきれなかった。

しかし、その反発と同時に……。

僕の心は虚無感へと、一気に押しやられた。

ふと、周りの視線が僕に注がれている事を強く認識したのである。

ハンバーガー屋の空気が、一変しているのが分かった。

(……、何でこっちをみんな見ているんだろう)

(僕とこの女性の組み合わせが、全員のガン見を注がせる程に珍しいのか?)

(嫌、どちらかと言えば僕を見ていやしないか……)

状況に、完全に飲まれた。

そんな中でも、寸刻でそれらの思いを張り巡らせた。

この時の僕は、どんなに間抜けな面をしていた事だろうか……。

目の前に鏡が無かった事は、幸いであった筈だ。

そして、どうにも認めたくない……。

一つの結論が、浮上したのである。

 

ニャンこ先輩 第7回 2011年7月7日 



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