ニャンこ先輩 第3回

ニャンこ先輩 第1回の記事 2010年12月23日

ニャンこ先輩 第2回の記事 2011年1月23日



　普段通り、帰宅部の僕が駅まで向かう途中に事件は起こった。

あれを、事件と呼んで良いのかは分からない。

しかし、ここでは分かりやすく……。

そう、呼ぶ事にする。

急に、親しげな黒人男性に呼びとめられた。

「ヘイ！」

詳しく書けば、彼が立っていた横を通り過ぎようとしたその時だ。

「オマエ、持ってるんだろ？」

そう言いながら、少し強めに左手で肩を掴まれた。

僕が身動きを取れなくされるには、その一挙動で十分であった。

彼からは冗談じゃない、差し迫った空気が一瞬で感じ取れた。

何の事かは、分からなかった。

そして、その時は分からなくて……。

心底良かったと、これを書きながら思っている。

そして、あっけにとられた僕の顔を見て……。

（あれ？）

という表情に顔が、変わった。

そして……。

「サンキュー、ありがとさん」

と、興味なさげに言い残すと……。

彼はそのまま、すたすた歩いて逆方向に去って行った。

 

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