引き摺るように、引き剥がすように、

2007-10-18 10:40:11 | 最近、たまたま楽しいだけです。
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 今年一番と言うのは不謹慎なんだけど、そんな事件と言えば不謹慎なんだけど、千葉の婆さんが亡くなったという出来事と言えば不謹慎なんだけど。大きなショックを沢山の人に与え、多くの人に沢山モノを考えさせた。ヒリヒリするような人生があれよあれよと言う間に、失われた事件、と言ってしまえば不謹慎なんだけど。それから、約3か月経って、爺さんが遊びに来た。

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「岩手には温泉がある」それだけで十分な動機になる。あとは、座椅子から立って荷物を持てばいいんだった。新幹線に乗り、喧噪を避け、確実に指定された席に座れば、いいんだった。ビールをストローでちびちびとやりながら、…それは帰りだ。乗り越してしまったら、元も子もない。


 婆さんの入りたがっていた緑の温泉に入り、いつも食べている魚より不味い魚を食べ、晩酌に付き合って貰い、昼寝をし、偶に帰りたくなり、そんなことを繰り返せば、あっという間に何日か過ぎる。その間、馬鹿な孫に山に連れてかれるだろう。(全く、あいつは気が利かない男だ…)

 オートマチックに温泉は変わり、寝床も変わる。景色が変わり、匂いが変わる。文句を言いながら、それに身を任せることだけで、いいんだった。一人でいる時は、思い出に浸り、二人でいる時は思い出を忘れ、3人になったら思い出を話し、4人で思い出をまた忘れる。ザクザクとして、わかり易い。




「岩手には温泉がある」「岩手は寒い」「帰りの新幹線は楽だ」


 それだけで、十分なんだ。



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