無音の空間

2009-11-28 22:58:31 | 20XX年うつうの旅
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 どこかで、音に狂わされて、音によって惑わされて。一瞬、僕は『無音』を感じた。僕の周りのモーターが一切動いていなかったし、風も吹いていなかった。家族は寝静まっていたから、そして、僕も動きを止めていた。精度は落ちるが、一瞬の無音。

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 初めて無音を感じたのは、今から8年前。どっかの砂漠は、静寂を絵に描いたほどの静寂をたたえていた。その時。僕はドイツ人の女の子を誘ってタクシーを借りたんだった。何も無いところに連れて行くのに馴れているらしい運転手は、40分ほどでそこに連れて行ってくれた。

 静かだった。生命の可能性を否定する静寂。均衡の世界。沈黙の世界。鉱物の世界。その他諸々による、その他諸々の事情により隔絶された世界。

 何かの看板は説明に欠き、説明を欲しない輩はその辺の砂を踏みしめた。『疎』であること以外に選択肢があり得ないところであったが、『疎』以外の何らかの摩擦音を携え、僕らは足を踏み入れた。しかし、圧倒的な静寂。

 あるべきものはそこに厳然と存在していたが、あるべきものでない僕は申し訳を抱えつつ、そこで奇妙といって言い分からない違和感を感じていた。軽く眩暈。軽い幻覚。

 何も振動していない、完全なる無音が未知なる世界として、迫ってきた。僕は具合が悪くなった。






 音の無い風以外に、僕らの足音以外に、誰かの笑い声以外に、そこらの鉱物以外に、


 そこには何も無かったが、


 そこには…、


 




 僕の、輪郭があった。

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2 コメント

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僕にもある! (トルキー)
2009-11-30 19:04:33
台風が通過したての

雨のない風のやたら強い時

対照的に、よく無音になる

あれは多分

自己確認の儀式か何かかもね
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「キィー…」っていう音 (はなみず)
2009-12-05 22:05:28
幻聴の類、何もないと、頑張って身体が音っぽいのを作ってくれるらしい。電子音みたいな音が、辛うじて。

「し~ん…」とは、よく、言ったもんだ。
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