最初の一撃は、侵略者のそれと同じだった。

2008-11-17 18:43:59 | コドモオトナ(開墾日誌)
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 まだ、何も生まない状態で、夏が終わり秋も去った。思いもよらない半年は、僕の身体を少しだけ強靭にした。概念やイメージに酔っ払い、僕は触ったことのない道具を振り下ろした。刻々と変化するように見える、目の前の自然は、次の週には元通りになりかけていた。もっと、「概念やイメージを強化し、もっと酔っ払わなければ…」そんなことを呟いていた、と思う。

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 少しだけ腕が太くなって、少しだけ腰が強くなった。元々、体幹がしっかりしていいる方だったが磨きがかかった。運ぶべき大きなモノを見ても、そんなにはやられなくなった。しかし、常に真剣さは欠けていただろう。


 肩口から振り下ろされる鉄の塊は、程よく加工されていて均衡している彼らの世界に猛然と突っ込んで行く。動力は自分なんだけれど、実際、その世界をズタズタにしているのは彼だ。鉄の塊に性別はないだろうけど、オンナではないだろう。

 災害に似た、見果てぬ世界から突っ込んで来る侵略者の一撃に、その異世界は驚くこともなく、怯えることもなく、冷静に次の安定に移る。そんな中に、真空の時間が入る隙はないから、次の一撃を素早く用意しなければならない。どうせ、次の一撃も容易い…(笑)動力部である僕から、飛び散る汗は異世界にとっては味方になる。そこそこのミネラルを含んではいるが、塩分が若干強いんだ。そんなことを無視して、あくまで敵である異なる世界は次の均衡へ走る。傍観者である真空の時間は、誰にも見方しないからその辺で待っていてもらわなければ。最低のマナーとして。様々な、知覚外の事情。


 跳ね返す生命力には、直ぐにリペアが施される。跳ね返す力が生命力ではなく、『攻撃をやり過ごす力』こそが生命力だ。生命は大事に、大事に守られている。


 動力部である青年は概念を持たなかった。振り下ろす一撃に対して、確信を持っていなかった。それでも、動力たり得たのか?は『好奇心』というものが如何に素晴らしいエネルギーであるかを示すことで解消される。筋肉の張りも彼の味方になった。まま心地良い疲労感を彼が好んでいたからに過ぎないのだが。それに、彼は馬鹿馬鹿しさを好んでいた、大好物といってもいいほどに。馬鹿馬鹿しさと言う括りならば、彼は嬉々として口に運ぶ。だから、いつまで経っても概念を持つことを許されない。



 フィニッシュ・ホルドとも呼べる巨大な神が降り立ち、自分を含む見知らぬ仲間をも掴み上げ、すくい上げ、息詰まる間を与えぬまま一気に宙に投げ出し、ざわめく混乱を嘲笑いながら、強制移住を強いた。野蛮に雑把に叩いた後で、概念を持つ者と概念を持たぬ青年に預けられた。そして、水が引かれ、新しい法則が布告された。

 見知らぬ仲間をも包括する『全滅』をやり過ごせさえすれば、勝利と呼んでいいのかもしれない。新しい法則なんてモノは見知らぬ世界のものだが、多分、「容易い」と言ってもいい類のものだろう。




参考資料:ビフォアー
 




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