芳野星司 はじめはgoo!

童謡・唱歌や文学・歴史等の知られざる物語や逸話を写真付でエッセイ風に表現。

星野安三郎さんの言葉

2016年08月10日 | 言葉
                                                      

 政府は戦争を欲し、国民は平和を欲する。


 これが日本国憲法の国民主権の原理だと星野安三郎は言う。
 フランス革命以来の伝統的精神として、権力を持つ政府と国民との関係は、
「国民は、本来、平和を欲し、戦争を欲する国民は存在せず、ただ存在するのは、戦争を欲する政府だけである。」
 とされ、その思想が幾つもの条約や憲法に具体化されてきたのである。
 ユネスコ憲章前文に
「政府の政治的及び経済的取り決めのみに基づく平和は、世界の諸人民の一致した、しかも永続する誠実な支持を確保しうる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かれなければならない」
 とある。…つまり、権力を持つ政府は信用されていないのである。
 政府間の協定よりも諸国の人民の精神的連帯のほうに信が置かれているということだ。
 日本国憲法にも同様にその精神が反映されている。前文に
「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」
 平和を愛する諸政府ではなく、また平和を愛する諸国家でもない。「平和を愛する諸国民」と規定しているのである。


 星野安三郎は1921年、栃木県日光に生まれた。
 東北帝国大学に入学するも、直後に応召されて入営した。戦後に復学し憲法学を学び、東京学芸大学助教授、教授をつとめ、その後立正大学教授・法学部長となった。
 天皇制を批判し、憲法9条の護持と「平和的生存権」を主唱した。反戦運動の「わだつみ会」や「平和を守る科学者の会」「安保問題研究会」などに参加し、日本教育法学会会長、子供の人権と体罰研究会代表も務めた。落選はしたが1995年の参院選に「憲法みどり農の連帯」共同代表として出馬した。実践的憲法学者として知られた。平成22年没。


            

最新の画像もっと見る

コメントを投稿