自由という目的地へ

それはどこにあるのだろう
多くの血を流したどり着く地か
それとも
悟りの果ての 神の胸の中か

ゆるし 八木重吉の詩

2015年04月23日 | Poem 詩



    ゆるし


  神のごとく 赦したい


  人が投げる 憎しみを

  胸に暖め


  花のように なったならば

  神の前に ささげたい 


       クリスチャン  詩人 八木重吉






血で 真っ赤になっている
この手に 気づく

罪で 黒く炭化した
道を 歩む

涙が 白い跡になり
地平線に 続いている

何度も見て 知っている

淘汰されゆく人々の
泣き声 叫び声 怨みの眼

自分の闇の 奥底に
棲息している大量殺戮

今も この世界に
具現化するチャンスをうかがい
うごめき続けている


そろそろ
この世界の生と死を 罪悪を
手放しても いい頃だ

黒い塊に 愛していると伝え

静かに 微笑みを
向けていると

いつか

血も 罪も
自分も 彼らも
最初から 無いことに

気がつく

ただ ただ

神の愛だけが
存在していることに

気づく
 





    水や草は いい方方かたがたである


  はつ夏の
  
  さむいひかげに田圃たんぼがある

  ちさい ながれがある 

  草が 水のそばにはえてる
  
  みいんな いいかたがたばかりだ



  わたしみたいなものは
  
  顔がなくなるようなきがした








    素朴な琴
 

  このあかるさのなかへ

  ひとつの 素朴な琴をおけば


  秋の美しさに 耐えかねて

  琴はしづかに 鳴りいだすだらう




       クリスチャン  詩人 八木重吉







 


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