PENTAX Optio W90
その湖には
舟でしか行けない 洞窟があるという
僕は 家族から時間をもらって
カヤックで その洞窟を目指していた
船には はじめて
犬も 乗せている
犬は 「何をするの?」と
不安気な目で 時々僕を振り返る
彼女は 楽しんで くれるだろうか・・
風は無く 転覆の心配は無いので
防水のコンパクトカメラから
一眼レフに変えている
犬と一眼レフで
せまいデッキはにぎやかだ
窮屈な状態で パドルをこいだ
魚が 時折 飛び跳ねる
水面が ゆらいで
魚たちが 群れているのが分かる
亀山湖は フィッシングでも有名で
周りには たくさんの釣り人がいた
モーター付きの小舟に乗って
優雅に移動したり
木陰で ねばっている
その横を 僕は 必死に
ほぼ全速力で こいでいた
その洞窟までは 1時間ほど
かかることを 計算すると
時間が 足りないからだ
さぞ 釣りの邪魔になったことであろう 失礼
だけど・・
いつまでたっても
洞窟は 見えてこない
湖は行き止まりとなり・・
ああ
あそこに まだ 進める場所がある
そこから入るに ちがいない
そこは 川の支流だった
でも 地図で確認したので
間違いないはずだ・・
自分を信じて そのまま
どんどん細く 浅くなっていく支流を
カヤックで上っていく
もう 釣り人の舟は だれも来ない
侵入できないのだ
おそらく
カヤックという道具しか
侵入することは出来ない浅瀬
人が 歩ける深さ
ひざ下程の水面を
僕と 犬は しずかに 進んだ
そこは もう
人間の 世界じゃない
またしても
妖精さんや 幽霊が出そうな場所に
来てしまっている・・
でも そこを 曲がれば
きっと 洞窟にちがいない
しかし
そこに現れたのは
もうカヤックも行けない 小川だった・・
終了・・
道を・・ 間違えたんだ
洞窟を 期待していた僕の夢は 消えた(笑)
ああ・・タイムオーバーだ 引き返そう
舟を反転させると はじめて気付いた
光が森に 降り注いで
何もかもが きらきらと 輝いている!
湖面には 光と緑 木々のシルエットが
合せ鏡の様に 反射している
この森と湖 空と光の 美しさが 僕たちを圧倒し
あまりの美しさに
僕は くらくらと目まいがした・・
OLYMPUS E-1
OLYMPUS ZUIKO DIGITAL ED 18‐180mm
パドルをこぐ手を止め
一眼レフをかまえて 数枚撮影する
ゆるやかだが 流れがあるため
流されながらの 撮影だった
僕と犬は そのまま ゆるやかな流れに流され
その場所を後にした
5月5日のこどもの日
満月の夜
久々の 家族でのキャンプは
亀山湖オートキャンプ場で泊った
キャンプ場は ゴールデンウィークで賑わっていた
小さい子供たちが 走り回り
遊びに 熱中している
大人たちは 宴会で 盛り上がっている
しずかに 自然を感じたいキャンパーには
つらい状態だが
大きくなってくれた 子供たちとのキャンプは
これで最後かもしれないと考え
感謝しつつ眠りについた。
亀山湖 カヤックキャンプ