最近観た映画だが、とても心に残っている。
介護士である松山ケンイチと検事である長澤まさみの2人が主な登場人物だが、演技力ではどちらも劣らないから見応えがある。
どこから見ても親身で思いやりのある介護士が1本の注射器が見つかったことから、殺人事件が発覚し、それも42人の殺人を犯し、犯行を認める。
そこに至るには自身の父親の介護で、生活も立ち行かなくなり、父親からお前の事が息子と分かるうちに頼むから死なせてくれ、と言われ、ニコチンを誤って口にした子供が死んだことからヒントを得、犯行に至る。それは苦渋の選択だった。
それで介護でをしているうちに、段々認知症が酷くなって家族が太刀打ち出来ないような状態になった被介護者を自分の休みの日にニコチン注射で殺していく。
検事が家族に、介護者が死んだ時どう思ったか、と問うと「救われました」という人もいた。
最初はなんて酷い事件だと被告人を上から目線で見つめていたが、被告人と話しているうちに、自分にも似たような経験があるのを思い出し、死刑の決まった死刑囚にわざわざ話に行くのだった。
死刑囚の、この国は弱った本当に苦しんでいる人に手を差し伸べてくれない、という言葉が現実と重なって、問いかけてくる気がした。