じいちゃんの仕事は百姓と庭師だった。
昔は車などなかったので、自転車に乗って、梯子を担げてその日の仕事先へ、通った。
そんなに忙しくはなかったのか、相撲があってるときは、夕方早い時間にはテレビの前に陣取って酒を呑みながら観戦していた気がする。
その頃、両親は野菜作りで忙しかったので。自分は将来はじいちゃんの仕事がいいような気がしていた。
小学校のある日、じいちゃんがあまり近くではない、少し名のある神社の祭りに弟と私を連れて行ってくれた。自転車の前に弟、後ろに私を乗せて。でも何かの拍子にバランスを崩し倒れそうになった。じいちゃんは即座に弟を守ったが、後ろの私が転げ落ちた。あまり痛かった記憶はないので、たいしたことはなかったのだろう。
祭りでは何かを買ってもらった記憶があるが、忘れた。
帰ってから、「どうたったね」と、聞かれた弟が昼めしに、じいちゃんは「うどん一杯、酒一ぱい」と注文したと、…家族に昼酒がバレてしまった。
あれ、弟と私は何を頼んでもらったのだろう。これも忘れた。