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フランカー課題(Flanker Task)の要因複合について

2012年08月11日 | 学術論文

<学術論文>

藤田英樹・前川久男・宮本信也・柿澤敏文・岡崎慎治・二上哲志・藤田直子:注意欠陥/多動性障害児の被転導性に対する一次的要因としての選択的注意.心身障害学研究,30, 1-10, 2006

http://ci.nii.ac.jp/naid/120000843793

<要旨>

 近年のADHD研究ではADHD児の衝動性が注目され、衝動性の基礎過程として反応抑制の問題が検討された。このADHD反応抑制の問題とは、遅延反応を困難にするような運動抑制の問題をさした。ADHD児の反応抑制(運動抑制)の研究において、反応不整合課題(コンフリクト課題)が使用されることがある。

 コンフリクト課題の1つとしてフランカー課題がある。この課題は1974年にオリジナル版が公刊されてから、現在でも脳機能イメージング研究で多用される課題である。この課題が多用される理由として、左右2択の選択反応を行うために反応が高頻度となり、反応エラーが生じやすくなることが挙げられる。そのため、ADHD研究では反応抑制課題の1つとされていた。

 しかし、ADHD研究において重要な点が曖昧なままであった。すなわち、コンフリクト課題では反応決定(中枢過程)と運動決定(運動過程)の要因が複合しているため、コンフリクト課題におけるADHDの反応抑制について、中枢過程の問題であるのか、運動過程の問題であるのかが不明であった。

 本研究では、コンフリクト課題であるフランカー課題において、運動決定(運動過程)の要因を低くし、反応決定(中枢過程)の要因を高くした「知覚フランカー課題」を作成し、ADHD児に実施した。その結果、ADHD児は全般的低効率と反応決定の低遂行を示した。知覚フランカー課題は反応抑制課題における反応決定を検討する課題である。情報処理の時間的順序から、ADHD児の反応抑制の問題は、反応決定(前運動過程)がトリガーとなり生じることが示唆された。


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