7/19付南日本新聞記事より
無視されたままでいいのか
「権力の番犬」捜査にも沈黙
小笠原淳氏の特別寄稿
鹿児島県警の前生活安全部長本田尚志は、北海道のライター小笠原氏に、警察内部告発文書を匿名で郵送した。
文書は、「闇をあばいて下さい。」と書かれていて、県警の未発表の不祥事事件の概要がまとめられていた。
小笠原氏は、内部告発文書をPDFファイル化して、福岡のニュースサイト「ハンター」の編集部とデータを共有していた。
※ ハンターは、常々、警察官の違法捜査の記事を書いているサイト
県警は、別件警察官事件で「ハンター」編集部を家宅捜索し、その際に内部告発文を見つけて押収した。
このデータをもとに、5月31日、県警は本田氏を国家公務員法違反容疑で逮捕した。
県警の報道機関への強制捜査に対しては、ネット上などで批判の声が起こった。
6月19日、新聞労連と日本ペンクラブは、抗議声明を発表、日本ジャーナリスト協議会、日本出版社協議会などもこれに続いた。
しかし、最大の業界団体の日本新聞協会や民放連等は、今回の事態に言及した形跡は無い。
6月5日、裁判所の勾留開示請求で、本田氏の法廷発言が出たことにより事件の内容が明らかになった。
県警は、秘密漏洩事件を悪びれることなく報道機関に発表し、そこに報道機関が群がった。
法廷発言後の報道では、小笠原氏と本田氏の他には知りようのない告発文書の内容が次々と伝えられた。
情報源はおのずと明らかである。
※県警の違法差押えの資料
情報漏洩事件の報道対応では、悪びれずに情報漏洩に励む警察関係者。そこに群がる報道関係者。
権力の番犬はどこにいるのか
今回の鹿児島の事件で、小笠原氏は多くのメディアから取材を受けることになった。「告発文書がなぜ札幌のあなたに届いたのか」という質問をメディア側から多く受けた。
小笠原氏は、「私が選ばれたではなく、あなたたち報道機関が無視されていただけではないか。」と述べている。
小笠原氏は、県警の違法捜査を批判し、更に、報道機関の県警の情報漏洩に対しての盲従、権利の番犬の役割を報道機関が果たしてないことを痛烈に批判した。