髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

花火の妖怪 ~その1~

2011-07-12 17:30:00 | 小説、ストーリー、物語
昔々、あるところに「ジゴロウ」というそれはそれは
自分勝手で、酒好きで、頑固で、人嫌いで、強情で、見栄っ張りで、ひねくれ者で口が悪いというどうしようもない花火師の男がいたそうな。
今日も、家でゴロゴロして花火をつくる気などサラサラありませんでした。
そんな時、戸を叩く音がしました。
「ジゴロウさん!頼む。頼むから次は真面目に花火を」
「うるせぇよ!みんな揃って飢え死にすりゃいい話じゃねぇか!」
村人数人がジゴロウの家を訪ねましたが、顔を出すことさえしませんでした。
「馬鹿野郎共が・・・今まで俺を散々クズだの糞だのと罵ったくせに、兄貴が死んだ途端、さん付けだと?みんな死んじまえばいいんだよ。ああ~胸糞悪いんだよ!サッサと家帰って自分の念仏でも唱えていろ!極楽に行けるようにってな!」
ジゴロウは酒を飲みました。外の村人たちは困った様子です。
「どうするよ」
「どうするったってうちの村じゃ、花火師はこのクソ野郎のジゴロウしかいねぇんだから、頭を下げるしかないだろう」
村人たちは不本意であってもジゴロウに頼み込まなければならないのには訳がありました。
この国のお殿様は大層な花火好きで、年に一度、花火大会と称して周辺の町や村に花火を作らせて競わせていたのです。一等や二等になると野菜や餅、中には金や銀などの褒美をもらえたのです。ですが、下になればなるほど、来年の年貢が厳しくなるなどの、罰が課せられるため、周辺の町や村はこの日のために必死になります。
前回はこの「ジゴロウ」が作った花火はひどいもので、お殿様を怒らせてしまったがために年貢がかなり厳しかったのですが幸い豊作であったことで、飢え死にすることはまぬがれましたが毎年、豊作であるとは限りません。
ですから、「ジゴロウ」に頭を下げるしかないのです。
「ソウゴロウさんが生きてりゃ~な~」
「そう言うなって・・・」
ソウゴロウとはジゴロウの兄でした。ジゴロウとは違い、真面目で、一生懸命で、花火師としての腕も確かでありました。村の者たちからの信頼も厚かったのですが去年、花火の事故で亡くなってしまったのです。元々、ジゴロウの家は代々、花火師の家系で、村の中で他に花火師はいない為に、皆、嫌々、ジゴロウに頼み込んでいるのですがジゴロウは村人たちを許す気はさらさらありませんでした。

しばらくすると村人は野菜や魚などを置いて去っていきました。
「俺が物で釣られるとでも思って・・・」
良く見ると酒のとっくりも置いてあったのを見逃しませんでした。
「あれぇ?こんなところに、とっくりが。変だな~神様が落としていったのかなぁ?」
お酒は別で、空々しく天を見ながらとっくりを手にしました。
「うめぇ。うめぇっと」
ジゴロウは酒を飲んでそのまま眠ってしまいました。

次の日、目が覚めて、起き上がるとそこには小さな童が作業場で遊んでいました。
大きさは、握りこぶし二つ分といった所です。
「なんだ?なんだ?」
鳥にしてはずっと同じ所にとどまって飛んでいるので鳥ではない。
虫にしては音も無く富んでいるので虫ではない。
「そうか。まだ俺は夢の中だな。寝よう」
再び、眠り目を覚ますと童はいなくなっていました。
「ふぁぁぁ~あ・・・寝すぎたな・・・うおっ!」
振り返ると、先程の童がいて、こちらを見るや、物陰に隠れてしまいました。
「ネズミか?ネズミが空を飛ぶか?幽霊か?それとも、あの酒の中には何か毒でも入っていて幻でも見ているのか?」
また寝ようかと思いましたが、寝すぎたためにもう眠ることも出来ず、起きることにしました。朝の残りを食べて、酒でも飲もうとしていると童は花火の大筒で出たり入ったりして遊んでいました。
「この馬鹿野郎がッ!死にてねぇのか!」
ジゴロウが怒鳴って駆け寄る童は驚いてすぐに物陰に隠れました。
「油断も隙もありゃしねぇ。俺まで殺す気かっての」
花火をよく見ると火薬などをイタズラされた後は見られませんでした。
「良かった良かった。じゃぁ、気を取り直すために酒でも飲むぞ!」
酒を飲みながら、その子供を見ていてフワッと昔のことが頭を過ぎりました。
『そういや、死んだ糞ジジイや糞オヤジが言っていたな。花火を作っていると小さな童が出る事があるってな。妖怪か神様なのか・・・あの時は、花火の作り過ぎで遂に頭がおかしくなったんだろうと笑っていた。多分、あれが本当なのだろうな』
隠れていますが、チラチラとこちらの様子を伺っています。ジゴロウと目が合うたびに隠れます。一応隠れますが、体全部は隠れていません。そんな事がなんどもありました。
「ふん。勝手にやらしておけばいいか?そのうち消える」
それからジゴロウは外に出ました。夕飯の材料を採ってくるためです。
「うう~。さびぃ」
季節は冬。花火師の作り始めは早く、新年明けてから取り掛かる者もいるぐらいです。
と、言ってもジゴロウにそんな気はありません。
近くの小川の流れが殆どないところに行き、冷たい水に手を突っ込んでタニシを取りました。
「これだけあれば十分か?」
夕飯を取り終えるとそそくさと家に戻ると、ジゴロウは驚きました。
「ああ!朝飯の残りが減っている!?ネズミでも食ったかぁ?いや、違うな」
すぐに、当たりを探すと、童は横になっていました。お腹も膨れています。
「この糞ガキ!妖怪の分際で人様の飯に手をつけるとはいい度胸だ!」
大声を上げると童は飛び起きて、物陰に隠れようとしました。そこで近くにあった薪を投げました。小さい童であるので投げた薪は外れて柱にあたり跳ね返りなんととっくりに当たって、とっくりは割れてしまいました。中の酒はこぼれ、ジゴロウは慌てて割れた欠片の裏側を舐めますがそんなものはないに等しいです。
「あ・・・ああぁぁぁ・・・俺の、酒がぁ・・・俺の・・・」
ゆっくりと拳を握りました。
「てっめぇ!絶対に許さん!」
童を捕まえようとしましたが小さく素早いので捕まえられませんでした。それからすぐにジゴロウは気づきました。
「そうか・・・お前は、花火の妖怪だったな。」
ジゴロウは大筒を引きずるように運び始めました。かなり重いです。
それを見た童は慌ててジゴロウに着いてきます。
「外に放り投げちまえば後は、雨にぬれてお前はおしまいだ」
戸を開けて外に出ました。ジゴロウは汗だくになって大きく息をしていました。
「ぜぇ。ぜぇ。お前が悪いのだ。俺の飯を食べ、あまつさえ俺の酒をもこぼしやがった。死んで詫びるしかねぇ」
そうすると童は悲しそうな顔をしてこちらを見つめていました。
ジゴロウは目が合うとすぐに視線を外しました。
『むかつくな。そんな目で俺を見るんじゃねぇよ』
視線を戻すとやっぱり、童はこちらを見つめています。
『コイツを放り投げちまえばアイツはおしまいなんだ。おしまいなんだ。アイツは・・・』
持っている大筒を見つめているとジゴロウの手が震えてきました。それからため息を一つ吐きました。
「さぁて。部屋に戻るか?最近、力仕事もしてねぇから体が鈍っちまう所だったぜ。いい運動だった」
そう言って、大筒を戻し始めると童は笑顔になっていきました。
「と、言ったがやっぱり捨てちまおうかな?あっちまで戻すの面倒だしな」
喜んだのも束の間、童は即座に悲しげな表情を浮かべました。
「と言うのも嘘で」
そのようなやりとりを数回繰り返した後、大筒を持って作業場に戻りました。完全に童を手玉にとっていました。戻ったジゴロウは疲れたのでそのまま眠ってしまいました。次の日起きてみました。
「まだ消えねぇのかよ」
童は作業場をウロウロしていました。ジゴロウは飯を食べて、少し横になりますが眠れません。酒も無くなってしまい、することもないのでジゴロウは作業場に行ってみました。
「食うものはあるし、暇潰しに花火でもつくるか?少しやって疲れたら寝られるだろう」
ジゴロウが作業場に行くと遠くで子供はジゴロウに付いてきて見守っていました。
ジゴロウは気にせず、花火作りをしていました。一度始めると時間が立つのを忘れて、取り組んでしまいます。
ぐぅ・・・
お腹がなったので、今日はこれくらいにしようと思い台所に行くと何と、朝飯の残りを童は食べてしまったのです。
「この馬鹿野郎!俺が久しぶりにやる気になって仕事に励んでいた所でてめぇは食事か!手足もぐぞ。コラァァ!」
童はジゴロウの声に驚いて部屋の隅に逃げました。ですが、頭だけ隠れているだけで体は出ていました。
「酒はこぼす。飯は食う。何ていう馬鹿野郎だ。ん?」
仕方ないので、ほかのものを食べようと思ったときでした。
「お前、服を着たな。どっから盗ってきたんだ?」
童は先ほどと変わって明るい着物を身に付けていました。
人形ほどの大きさなので、どこからか村の子供が持っている人形の着物を盗ってこなければそんな事はできません。
「盗むったってコイツはずっと近くにいたはずだったしな。もしかして」
ジゴロウはピンと閃きました。試しに先ほど入れた花火の火薬を少し抜くと、今、着ていた服が消えていました。そして、抜いた火薬を戻すと再び、服を着ていました。
「なるほど。お前は、俺が花火を作ると服を着るのか」
ぐぅ・・・
子供のことは分かりましたが減ったお腹は膨れないので、山の中で食べられるものを探しに行くことにしました。
戸の前の村人が持ってきた食べ物には一切、手を付けません。お酒以外の事には頑固なのです。近くの小川で小魚を取ってきて料理して食べていると、子供はこちらをじっと見ていました。
「お前にはやらん。お前みたいな意地汚い馬鹿野郎は外にある馬鹿村人の食物でも食っていればいいんだ」
ですが、子供は外のものには見向きもせずこちらの焼き魚を見ていました。
「チッ。食った食った。お前、食うんじゃねぇぞ。ここに置いておくが俺は今から厠に行くが食うなよ。もう俺は食わんが、食うなよ」
そう言って、厠に行くともう子供は魚を食べていました。
「馬鹿野郎が・・・全く、しょうがない奴だな。あれほど食うなって言ったのによぉ・・・」
ちょっと呆れた顔をしただけで怒りませんでした。今日は乗り気ではないので花火は放っておくつもりでした。ですが、今日は、子供はくるくると回りながら自分の着物を見て喜んでいたのです。
『馬鹿野郎が・・・あんな着物ぐらいで喜びやがって・・・じゃぁ、もっと良く作ったらどうなるんだ?』
ジゴロウは気になってきました。このような気持ちにさせるのが子供の企みではないかと思いましたが興味には勝てず、ジゴロウを作業場へと向かわせました。それから、ジゴロウが生まれて初めて最初から最後まで真剣に自分の花火を作り始める事になったのです。

夜明け前に起きてら一緒に顔を洗い、花火を少し作ってから一緒に朝ごはんを食べ、また花火をつくり、日が暮れる前に風呂に入り、夕食を食べて日が暮れると同時に寝る生活でした。始めはジゴロウを遠くで見つめているだけの童でしたが慣れてきたのかいつの間にか近くに行っても逃げることはしなくなりました。
ですが童は、ご飯を食べるだけで何もしてくれません。遊ぶか踊るかじっと見守っているだけでした。
「全く、馬鹿野郎が・・・犬だって人が来たら吠えるとかマシなことをしてくれるってのに、お前と来たら能天気に遊んでいるだけ。今は昼寝かよ。良いご身分だよ。居候で、穀潰しが・・・にしても寝相が悪いな。床から落ちるぞ。ホラホラ。ったく手間ばかりかけさせやがって・・・」

作業場の端っこで寝ていたので落っこちそうになった所を、ジゴロウは元に戻してやり、再び花火づくりに取り掛かります。
たまにチラッと振り返り、子供の格好がどのように変わったか見ながら花火を作ります。
「何だ。起きたのか。今度はなんだ?遊んで欲しいのか?馬鹿野郎。俺は、お前のために花火作ってやってんだぞ」

ある日、ジゴロウは竹とんぼを作ってやり回してやると子供は目を輝かせて見つめていました。やがて自分もコマのようにクルクル回っていると目を回したのか柱に頭をぶつけていました。
「お、おい。大丈夫か?」
童は照れた顔をして笑っていました。
「フフッ・・・馬鹿が。本当、お前は馬鹿野郎だな。ったく・・・」

お風呂にも一緒に入ります。「妖怪のくせに、風呂にも入るのか?水はお前の天敵みたいなもんだろうが」
子供は着物を脱がずそのままお湯に浸かります。脱げないのかもしれません。
風呂から上がるとブルブルッと震わせて、水滴を払います。
「馬鹿野郎!水が飛ぶだろうが!犬かお前は!ったく・・・」

ジゴロウと子供はいつも一緒でした。人嫌いで滅多に村や町などの人里に出なかったので唯一、ジゴロウの相手をするのがこの童だけでした。
「おう!馬鹿野郎。いつまでも犬みたいに物を食っているんじゃねぇ。コレは俺が作ってやったぞ」
そう言って、茶碗や箸を取り出しました。もちろん、子供が扱える大きさに作ってありました。子供はそれを手にとって喜んでいました。ですが箸は握ってしまっています。
「馬鹿野郎!こうだ!こう!せっかく、俺様がわざわざお前のために作ってやったんだ。ちゃんと覚えろよな!」
教えてやってもなかなか覚えようとせず、匙のように使っていました。ジゴロウは呆れ顔で見ていました。
作業場にいくのも、寝るのも、ご飯を食べるのも一緒。
そのような生活が長く続き、季節も変わり暖かくなってきて、花火大会が迫ってきました。

「くそぉ!うまくいかねぇ!」
途中までは上手くいったのですが、仕上げの所で子供の格好が気に入りません。
「ダメだ!俺の才能を持ってしてもダメなのかぁ?ええい!酒でも買ってくらぁ!」
残り少ない銭を持って、少し遠い街に繰り出しました。近くの村では花火のことを催促されるに決まっているからです。色々な人を見ます。町娘や芸者。他にも大工や商人や釣り人など女だけに限らず男も見ていきます。
「全く!ロクな奴がいりゃしない」
酒も買わず人々を見ていましたが、何も収穫もなく遅くなってきたので家に帰り始めました。
「おじちゃん」
「あ?何だ。おめぇは。ん!?」
そこにいたのは小さな貧相な男の子でした。服もヨレヨレで、街には似合わない姿です。
「おもちゃ買わない?子供がいるなら喜ぶと思うよ」
男の子は袋の中にコマやお手玉、けん玉などたくさんのおもちゃを入れていました。
ジゴロウは興味深そうに眺めているのを見てけん玉を一つとって器用に遊んでみせます。
「1つだけでもいいから買ってくれないかな?安くしておくからさ」
「あ?うるせぇよ。馬鹿が俺がで作れるわ!他を当たるんだな。と、言いたいところだが今日は気分がいい。一番安いコマを買ってやらぁ」
「ありがとう。おじちゃん!」
コマなど自分で作れるものの、男の子で何かに気づいたジゴロウはそのお礼としてコマを買ってやることにしました。
収穫があったので勇んで帰り、すぐさま作業に取り掛かります。そして、遂に完成しました。
「うん!良い。流石、オレだな」
子供は飾り気が殆どない地味な村娘になりました。せいぜい、飾りと言えば野花の花輪を頭にしているぐらいです。ジゴロウは、化粧をさせたり着飾らせたりしたらこの子供の無垢という良さが削がれると思ったからでした。クルクルといつもどおりに回りますがピタッと目を回すことなく止まりました。子供は自分でもうまくいったことに驚いていましたが、すぐに笑顔になって飛び回っていました。
ドンドン
戸を叩く音がします。悦に浸っているところを邪魔されて物凄く腹立たしい気分になりました。
「ジゴロウさん!期日は明後日までだが、花火の出来はどうだい?ちょっとだけ聞かせてくれないか?」
「!?」
「なぁ?教えてくれよ!村の衆も心配してるんだ!」
それは村人からの花火の確認でした。ジゴロウは、戸を開けずに応えました。
「うるせぇ!今、真面目に作っていたところだ!お前のせいでやる気がなくなった!サッサと帰りやがれ。馬鹿野郎が!」
「分かった。帰るよ!でも、頼むぜ!」
『花火大会だと?』
それから急にジゴロウは無口になってしまい、子供は心配そうな顔をしていました。
『俺が作り上げた最高傑作だぞ。もし打ち上げちまったら・・・』
それは考えたくない事でした。

花火の妖怪 ~その2~

2011-07-12 17:29:59 | 小説、ストーリー、物語
次の日もずっと渋い顔をしたまま、過ごしていました。子供が不安そうにしていると、ジゴロウはこう答えました。
「大丈夫だ。お前は何も考える事はない。ずっとそのままで良いんだ」
そして、花火を取りに来る当日になりました。村人たちは朝早く大八車を引いてジゴロウのうちの前にやってきました。
「ジゴロウさんよぉ!花火取りに来たぜ~」
何度か呼びかけますがなんの返事もありません。
「まさか、逃げたとか?」
「さすがにそれはないだろう」
「何を考えているかわからん奴だ。トンズラして俺たちが苦しめられる姿を見たいのかもしれん」
大きな声で戸の前で話していても何も反応がないので村人たちは最悪のことを考えました。
「ジゴロウさん!出てこないなら戸をぶち壊してでも入るぞ!」
「何でもいい。花火の一つや二つ持って帰らんと、俺たちゃ終わりだ」
戸に体当たりをしようという所で、ガラッと戸が開いてそこにはジゴロウがいました。
「いるならいるって言え!ホラ、早く作った花火を出さんかい!」
「うるせぇ!とっとと帰れ!」
何と、ジゴロウは大筒を村人に向けたのでした。左手には種火がありました。
「おい!ジゴロウ!お前、何の真似だ!」
「見て分かんねぇのか?コイツをここでぶっぱなすんだよ!面白いぜぇ。楽しいぜぇ」
ジゴロウはニコニコしていました。
「だから何で、そんな事をする必要があんだ?俺たちは花火を取りに来ただけでお前に何かしようって訳じゃねぇよ!」
「そうだよ。俺たちはそれがねぇと来年生きていかれねぇかもしれねぇんだぞ。分かってんのか?」
「当然、お前も一緒に飢え死にだ!そんな事いいわけねぇだろ?ホラ、早く花火を」
村人たちも必死です。
「だったら、今、ここで死んでみるかぁ?ヘッヘッへッ」
「ジゴロウ!そんなもんここでぶっぱなしたらお前も死ぬぞ!」
「ヘッヘッヘッ」
「ジゴロウの奴。すっかり狂人の目だ」
「花火が作れなくておかしくなったんだろうて!」
種火をゆっくりと花火の導火線に近づけます。
「やべぇ!本気だ!みんな逃げるぞ!」
そう言って、村人たちは逃げ帰っていきました。
「ふん。根性なしどもめ。この大筒は蓋をしているだけで中身は空だ」
すると、童はジゴロウの袖を引きながら寂しそうな顔をしました。
「何だよ。馬鹿野郎。おめぇは、何も分かってねぇ。あいつらの言うとおりにしていたらお前はなぁ・・・ケッ!」
ジゴロウは言いかけて、やめて、床に戻って横になりました。完成した花火を何度も見ます。童はジゴロウのそばをフワフワと浮かんだまま、寂しそうな顔をしていました。
「コレ、こしらえんのにどれだけ苦労したと思っていやがる!酒をロクに飲まねぇで、地道にやってきた。それを、俺を散々糞だのゴミだの恥さらしだのと悪態付き続けてきて、兄貴が死んだら、お願いしますだぁ?自分達が生きてぇが為に、俺の最高傑作を差し出せだぁ?どれだけ俺をコケにすれば気が済むんだ。村人全員になんか、生きる資格などありゃしねぇ。皆、死にゃぁいいんだ。死にゃぁな!」
そう言いつつも自分の花火が気になりました。
ジゴロウも腐っても花火師です。自分の作り上げた花火を打ち上げてみたいと少なくとも思いました。
「ああ~!ここにいても腹立たしいだけだ!酒でも買ってくらぁ!」
ジゴロウは酒を買いに行くことにしました。村で酒を買おうとしたらどうなるか分からないので隣町に行くことにしました。留守の最中に村人にこられて花火を勝手に持っていかれるかもしれないので作った花火は床下に隠しました。
「くっくっく・・・馬鹿野郎共が村長の家に集まっていやがる。今頃、どうしようどうしようと慌てているんだろう。良い様だな」
遠く開けたところから、麓の村が見えて村人たちが右往左往しているのが見えました。
気にせず、隣町に歩いていき、酒屋まであと少しというところでした。
「おう!この魚は今が旬!美味いよ~」
「あら、そう?」
「そうよ~!今を逃したら不味くなる一方。また旨くなるのは来年だよ~!そこまで我慢できるってんならいいけどね~」
「じゃぁ、もらっていこうかね?」
「毎度!」
『旬!?』
とある店主と客のやりとりを聞いていてハッとしました。
花火には『旬』という言葉はありませんが火薬には一番良く輝く時期というものがあるのです。それを過ぎてしまっては悪くなる一方なのです。そして火薬は一つだけ使うというのではなく複数使い、全てが上手く調和している状態が当然、一番美しいのです。
ジゴロウは家に向かって駆け出していきました。野をかけ、石を飛び越え、木の根に足を取られ転びましたがすぐに立ち上がり、家へと急ぎ、なんとかたどり着きました。
「ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!」
汗まみれ、泥まみれ、転んで手を切ったらしく手を切っていました。
「い、行くぞ。馬鹿野郎。おめぇを打ち上げっぞ」
そのように言うと、子供は喜んでいました。
「いいなぁ~。お前は気楽で・・・何も分かっていやしねぇ」
子供はニコニコと笑いながらクルクル踊っています。花火は一人で抱えて持っていける大きさではないのでさっき村人が逃げるために置いていった大八車を出して、花火を藁で包み縄で縛り付けた。
「これで、お前とはさよならだな」
しみじみと呟きました。童はビクッと反応して、クルクル回るのをやめました。
「っとその前にのどが渇いたな。水でも一杯」
町から休まず走り続け、息も荒いジゴロウは腰掛けて水を一杯、飲み、立ち上がろうとした所でした。童がジゴロウの指を握っていたのです。
「どうしたんだ?馬鹿野郎」
尋ねると童は首を振って泣き出してしまいました。
「まさか・・・おめぇ・・・な、何やってんだよ。今更、怖気付いたのか?そ、そんな事言ったって・・・そんな事言ったってよ・・・」
ジゴロウの声は震えていました。
「お、お前だって分かっているはずだ。お前は花火の妖怪なんだろ。こんな所でじっとしていたっていいことなんてねぇ。ねぇんだよ・・・だから、目立って来い。お前だってここで湿気っているよりも舞台で咲きてぇだろ?もしかして心配してんのか?馬鹿野郎。何せ俺の一世一代だぞ。へぼい訳がねぇだろうが。だからいつもみたいに無邪気に笑っていろ。そのほうが泣いているお前より良い。な?」
ジゴロウが指先で童の頭をなでると、童は泣きながらでしたが笑顔を見せました。
「そうだ。それでいい。それで・・・いいんだ。馬鹿野郎・・・」
ジゴロウは立ち上がり、それからは無言で大八車を引き始めました。

山道なのででかなりガタガタしているが文句を言っている暇はない。下り坂で落とさないように踏ん張りながら山を降りていく。転んでしまって花火がおかしくなる可能性もあるので慎重に行く。相変わらず、童は喜んでいながらジゴロウを見つめていた。
「お、お前はジゴロウ!」
「何!?」
ジゴロウを見つけた村人たちがすぐに集まってきた。
「今頃になって花火なんか持ってきてどういうつもりだ?」
「俺らをここで殺すつもりかもしれんな」
「何!?鍬とか何でもいい殴れるものを持って来い!」
「万が一がある!女子供は避難させろ!」
村人は物騒な事を言って動き始めていた。
「はぁはぁ・・・」
ジゴロウは息を切らせ、両膝をついて、頭を地面にこすりつけた。
「はぁはぁ・・・コイツを・・・コイツを・・・咲かせてやってはくれねぇか?頼む」
「何を寝言をほざいているんだ!朝、取り入って俺たちを脅したのはお前だろうが!今更、訳の分からぬことを!」
「コイツはまた去年みたいに俺たち全員に恥をかかせるつもりなんだ!」
「ジゴロウはもうここでブチ殺してしまったほうがいい!」
「そうだそうだ!」
ジゴロウの身勝手な物言いにさすがの村人たちも堪忍袋の緒が切れたのだろう。
ジゴロウへの意識の向け方が明らかに変わっていた。
「よし!じゃぁ、俺が!」
「待て」
「村長!?」
そこに現れて村人を制止したのは髭もじゃの村長であった。
「止めてくれるな!村長!コイツをぶち殺さないで皆の怒りが収まるものか!」
「そうだ!去年どれだけの苦渋を飲まされ、またこいつは同じことを繰り返そうとしている!そんな事が許せるかっ!」
「まずはワシの話を聞け」
「・・・。分かったよ。村長。その話が大したことがなければコイツをここで叩き殺す」
静かになってから村長は口を開いた。
「ワシは長いことこの村に住んでおった。お前たちの顔や性格は誰よりも多く知っているつもりだ。
その中で、ワシはジゴロウが頭を下げて人に頼み事をしている姿を見たことがない」
「そういえば・・・」
「大体、馬鹿にしたり見下したりしていた我々を恨めしそうに睨んでいるだけであった。
だが、今回は違う。土下座するなどと言うことはなかった」
「そうまでして俺たちをハメようとしているんだろう?俺たちを信用させるために」
「コイツは嘘をつく為に頭を下げるような男ではない。本当なら、ワシらに土下座するのも死ぬほど嫌であろう。だから、今やっていることは本心なのだろう。それだけ自信をもった出来なのだろうとワシは思う」
「だったら朝、俺たちにやったことは」
ジゴロウが土下座したまま言った。
「朝の時点では、完成していなかった。だから追い返した!今、完成したばかりなのだ!素晴らしいものだ。だからこうしてやってきた訳だ」
「・・・。だからワシの顔に免じてジゴロウの話を聞いてやってはくれないか?」
「しかし、今からでは間に合うかどうか・・・」
「走って城下まで行けば間に合うやもしれん。このまま何もしないまま終わってしまっていいのか?」
「くぅ・・・分かった。」
村人達は悔しそうにしてジゴロウを睨みつけた。ジゴロウはまだ地面に頭をつけたままでこう言った。
「恩に着る!」
「だがな。ジゴロウ。あまり浮かれるなよ。ワシに出来るのはここまでだ。
ワシとて、村の一人だ。村の衆の心が分からんでもない。というより、本心で言えばワシがお前を殺してやりたいぐらいだ」
「・・・」
「だから、この花火大会、結果が振るわないのならば後は村の衆の好きにさせる。
俺はこの村、唯一の花火師だから誰も手を出さないなどと思い上がるなよ。
来年には別の町から立派な花火師を迎え入れることがもう決まっている。
今年もそのつもりであったが断られていたからお前にやらせていただけだ」
「・・・」
「が、村が来年まであればの話だがな。お前にとっては無くなるのを望めばいいのではないか?」
村長が嫌味を言うのを黙って受け入れる。
「村は無くならねぇ。俺の花火がちゃんと打ち上げられれば・・・」
「始めての自信だな。おっと。無駄口を叩いている暇はない。村の衆。早くこれを運んでくれ!一刻も早くだ。」
村人たちは納得がいっていない者たちも何人かいたようだが、その大八車のまま走って城に向かっていった。
「さっきの言葉、忘れるなよ!」
遠くに消えていくジゴロウの作った花火。妖怪は手を振ってそのままいなくなっていった。
それがこの童がジゴロウに見せた最後の姿となった。黙ってその姿を見つめていた。
『これで、本当にさよならだ。馬鹿野郎・・・輝いてこい』
ジゴロウは静かに笑みを見せた。村人たちは花火が無事、期限に間に合うのを願うだけであった。
『これで俺の仕事も終わりだな。これだけ出来れば後はもう何もいらん』
ゆっくりと立ち上がり、立ち去ろうとした。
「おい!待てジゴロウ!どこへ行く!まさか、お前これから逃げるんじゃねぇだろうな!」
「ジゴロウの事はひとまず後だ。行くぞ」
村人が呼び止めようとしたが、これから花火大会の準備があるのでジゴロウ一人に構っている暇はなかった。ジゴロウは、家に帰りそのまま寝そべった。何度か、仕事場を見たがもうそこに子供の姿はない。
「ふん。未練もねぇ。あのまま村人にぶち殺されてもよかったのかもしれんな」
それから、夜遅くになって、村人がジゴロウの家に訪ねてきた。花火は提出期限である日没に間に合わなかったのだという。本来であればいかなる理由があっても許されないのだが参加した村や町の花火は何本も何十本も出すのだが一本しかなかったというのがよほどの自信なのだろうと見た城の者たちから特別に許可がおりたのだった。だが、遅れたという点で評価は厳しくなるだろうという話であった。村人たちは、『それでもいい結果が出ればいいよな』などと嫌味を言ったがジゴロウには関係なかった。
『晴れ舞台で打ち上げてさえくれればそれでいい』
そのように思っていたが、静かになった仕事場を見てため息を吐く。
元々、子供は声を出さなかったから静かであったのだがいるといないというだけで大違いであった。動き回らずじっと寝ているだけでも気持ちは楽しく、嬉しかったものだった。
長い間独りぼっちだった時は何も考えもしないし感じもしなかったというのにここに来て猛烈な寂しさを感じた。心にぽっかりと穴が空いたという感覚だろう。
「あるものが急に無くなって変だと感じるだけだ。すぐ慣れる」
自分自身に強がりを言って誤魔化す。だが、感情は押し寄せてくる。
「ああ!じっとしていると頭がおかしくなりそうだ。早めに花火大会の場所取りでもしてくるか」

少しの金を持ち、出かけた。「必ず帰る」という書き置きを残してジゴロウは家をでた。
途中、町で花火大会の時に飲む酒と少しのつまみを買って離れた川沿いに腰を下ろした。周囲には誰もいなかった。それもそのはずである。打ち上げ場所から10kmも離れたところである。ジゴロウは人ごみを避けたかったから離れた場所から見る事にしたのだ。
それにジゴロウは花火師である。遠くからでも花火を見ればどれぐらいの規模でどのような形であるかは分かるというものだ。
辺りはゆっくりと夜が降りてくる。ジゴロウは既に、酒を飲んでおり、酔っ払っていた。
「まだかねぇ?おっと!始まった」
ドン パッパ ドドドン
輝きからやや遅れて音がついてくる。横になって尻をかきながらほかの人の花火を見守る。
「ま、ありきたりだなぁ・・・」
「次のは、大した事無いな・・・」
「何でその色を混ぜるかねぇ?なっちゃいないよ」
大体、他人が作った花火に対して悪態を垂れた。ちなみにジゴロウの花火は最後という話だ。当然、皆からの期待も高まることだろう。ジゴロウにとっては人からの評価などどうでもよかった。
「んだよっ!まだ入っているかと思えばもう空じゃねぇかよ。馬鹿野郎」
ゆっくりと起き上がってとっくりを傾けてみるがやはり何も入っていない。
とっくりの中の酒は既に全部、飲み干してしまっていた。残っているのは小さなお猪口に入っている分だけだ。
「馬鹿野郎がぁ。俺が作った花火を見ながらガブッと飲みたかったのによぉ・・・一升ぐらい買っとけば良かったぁ?」
しばらく、花火を見つめているがジゴロウの物にはならなかった。一応、最後ということは聞いているし、近くにあった石を積み上げていたので参加した町や村の数を覚えていれば大体わかる。
「そろそろかねぇ?」
一応、お猪口を持って準備していたが手が震えていた。それは自分が、酔っているからだと思っていた。昔のことを思い出してきた。花火師をやらせる為に祖父や父はやりたくもない花火をジゴロウに何年にも渡って何年も教えてきた。ジゴロウも村の同世代の子供たちと一緒に遊びたかった。しかし、祖父や父は許さなかった。兄という優秀な跡取りがいるにもかかわらず。周りの者たちにも期待されず、それどころか罵られる始末。
それだけにジゴロウはずっと花火が嫌いだった。無理矢理、知識や経験だけ叩き込まれただけで、それ以外何も得たものがなかったと思っていた。花火なんか作るよりも遊びたかった。
だが、今回、花火に対して長期間、真面目に作ったのは初めてだった。
それだけに思い入れは深かった。作っているのが楽しかったし、燃えた。それは、ひとえにあの小さな童のおかげだろう。ジゴロウはここまでやらなかっただろう。笑ったり、踊ったり、泣いたり、眠ったり、喜んだり、そのような姿をジゴロウは見続けてきた。
残り少ないお猪口の中の酒を見つめてしみじみと思っていた。
「ああ。いかんいかん。つまんねぇ事を思い出しちまったな」
首を振って、否定していた時であった。
ヒュ~。パァン。パチパチパチ・・・
不意に一発の花火が上がった。決して大きくもなく色も乏しい。
ほかの花火と比べて華やかさはないが淡く、柔らかく優しい紫色の花火がゆっくりと尾を引くように長く輝いて消えた。音は遅れて来て、その空気の振動がジゴロウの体を揺さぶった。
「き、綺麗じゃねぇか。馬鹿野郎」
花火の振動を感じてからジゴロウの全身が震えていた。
「何がありがとうだよ・・・俺が好きにやってただけじゃねぇか。馬鹿野郎・・・俺みたいな死んでも良いクズに、ずっと近くにいたってよぉ・・・別のもっと良い花火師の所に行きゃいいのに・・・ばっきゃろぉぉぉがぁぁぁ・・・」
ポタポタポタポタ・・・
クイッ!
気を紛らわせるために、酒をつごうとしてとっくりを持った瞬間に驚いた。
「くぅっ!あの馬鹿野郎、粋なことをするじゃねぇか。空だったはずのとっくりに酒が湧いていやがる。ハッハッハ。流石、妖怪だって所だな~。ハッハッハ・・・」
ジゴロウは酒を口に運ぶ。とっくりの酒が枯れるまで。ただ塩辛いだけで不味い酒を。

次の日、参加した村や町の順位が発表された。
ジゴロウの花火は41の参加者のうち20位と微妙な結果に終わった。
期限に遅れたこと、1発しかなかったこと、そして今年の有終の美を飾る花火があまりに地味であったことが「期待外れ」「拍子抜け」という評価につながってしまったのである。
だが、他全員の花火師があまりの上出来さに息をのんだ。
誰もが、『今年のどの花火よりも美しい』と言ったほどである。
評価を下すものは全員、プロではない。それを如実に表す結果になった。

結果を知ってから村の者はそのことをジゴロウに伝えようとするとジゴロウは戻っていなかった。逃げ出したという声があがり、探し出そうという動きもあったが、今回の評価は決して劣っているという訳ではなく今年は問題なく乗り越えられるという安堵の気持ちがあって今すぐジゴロウに強硬な措置を取る必要はないという事となった。
「あのクズが真ん中ぐらいにやったというのは、相当頑張ったんだろうて」
そう言った意見が強かった。だが肝心のジゴロウは戻っていなかった。
ひょっとしてもう戻ってこないのではないかという憶測もあったがその日の夜に帰ってくるジゴロウがいた。
「おめぇ、どこいっていたんだ!」
「ゆっくり観光していただけだよ。んで、俺をどうするって?」
「知らないのかよっ。おめぇの41の中で20番目だ!」
「そうか」
あまり気にしていない様子であった。
「だから皆。おめぇにしちゃ良くやったって褒めてくれているんだよ!」
「祭りでもやるのなら俺は遠慮するぜ。来年の花火を早速考えければならんからな」
それは嘘であった。ただ単にジゴロウは人が集まるところが嫌であっただけだ。
「その事なんだがな。もうお前は来年の花火のことは考えなくていいんだ」
「何?」
「来年からは別の街から花火師を迎えることにしたんだ」
「ん?別の花火師だと?って事は、俺はお払い箱か?」
「そういう事だ。お前はあまりにも俺たちを裏切りすぎた。みんなこれ以上は我慢できん。だから他の花火師を迎えることにしたんだ」
「そうか。ふっ」
「何がおかしい?お前から花火を取ったらクズである所しか残らんではないか。どうやって生きるつもりだ?」
「さぁ?わからんよ。その日暮らしで生きていくのも楽しそうではないか?」
ジゴロウは何も答えず自分の部屋に入っていった。
ジゴロウは満足していた。前回の花火で全てを出し尽くしたつもりだったから丁度いい止め時だと思ったからこそ笑ったのだった。
どこか見知らぬ土地で好き勝手やって野垂れ死ぬのも悪くないと思っていた。

数日間で出ていく準備をする。その仕事場は新しく迎える花火師に使ってもらうらしい。
花火は持っていけないのだからジゴロウは身軽であった。戸を開けるとそこには役人らしきものが立っていた。
「男。ここの主はどこにいる?」
「そろそろ来るだろう?新しい奴がな」
「お主は?」
「俺は、元、主だ。」
「おお!お前がジゴロウか!」
「そうだが、アンタ誰だい?」
その役人らしき男は書状を見せてきた。字は読めるが難しい字ばかりで途中で読むのを諦めた。
「どういう意味だい?」
「殿がお前の作った花火をえらく気に入ったから、殿の下で働いてみんかというコトだ」
「俺を、花火師としてか?」
「それ以外にお前を呼び寄せる意味がどこにあろう?」
捨てる神あれば拾う神ありという物なのかもしれない。
「しかしな。この村から追い出されるからな。つくる場所がなぁ・・・」
「ならば好都合ではないか?設備は簡単に用意出来る。そこで存分に手腕を振るえばいい。」
もう花火は作る気になれないと言おうと思っていた。
「分かった。そちらの話に乗ろうではないか?」
役人の表情が曇った。ジゴロウの態度が気に入らなかったのだろう。
「後、条件がある。それが認められないのなら俺はやらん」
「条件?」
ジゴロウが出した条件は、
「人里離れた場所である事」「火薬を十分に揃える事」「生活するのに困らないぐらいの最低限度の金を与える事」そして、「たまにいい酒を持ってくる事」の4つであった。
すぐに、役人は戻って殿様に伝えると殿様は了承し、すぐさまジゴロウは用意してくれた場所に移って花火の制作を始めた。

花火はつくらないと思っていたが殿様の依頼を呑んだのは
『あの時、作らないっつったら馬鹿野郎がいなくなったぐらいで花火をつくるのやめるって事になっちまうからな。そんな情けない真似が出来るか。それに作っていたらあの馬鹿野郎の親戚か友達が湧いて出てくるかもしれん。飯代とか色々かかっているんだ。その分をキッチリ返してもらわんとな』
そのようなことを考えながら花火をつくる。それだけが今のジゴロウを支えていた。
酒をたまに持って来る役人が聞いてくる。
「首尾はどうだ?」
「うるせぇ!馬鹿野郎!今、しっかり作っている所だ!気が削がれる!サッサと帰りやがれ!」
ジゴロウの人間嫌いなのは相変わらずでしたとさ。



おしまい

自転車男 第8話

2009-06-14 13:27:49 | 小説、ストーリー、物語
小さな指輪を私にいくという旅行を終えて数日後いつものように遠くに自転車を走らせていた。

ぽつぽつ・・・

「雨か・・・これぐらいなら別に大丈夫だな」

最初はポツポツ程度であったから無視していたが次第に強くなって来たので駐車場でリュックから合羽を取り出そうとした。

「あれ?ない!くそっ!ない!!。そうだ。昨日臭くなったからって干してそのままにしたんだった」

別に急いでいるわけでもないので雨宿りする事にした。通り雨のようなのですぐ止むだろうという判断だ。

「さて・・・これからどうしたもんか。お?先客か・・・お邪魔しますよ」

チラッと見ると猫が丸まっていた。彼と同じように雨宿りしているのだろう。

『えっとこのルートじゃなくて別のルートを・・・』

地図を広げて、他に近道はないか確認してみた。息と同じ道ではつまらないからだ。
また猫を見てみると、猫は前足をペロペロと舐めていた。見ているととても和んだ。
しきりに体を舐めているもんだからちょっと撫でられるのではないかと思って手を伸ばした。

じ~

舐めるのを中断してこちらを見ていた。その瞬間、彼は動きを止めて少し体を引いた。
すると再び体を舐め始めたのでまた手を伸ばした。

じ~

また体を舐めるのを中断してこちらをじっと見つめている。彼は動きを止める。
まるで「だるまさんが転んだ」である。

『コイツ・・・触られたくないか・・・』

無理に近付いて逃げられるのも嫌だし、雨の中駐車場から出て行くのは可哀想だと思って
彼は猫を撫でるのを諦めて少し離れた所で猫を見ていることにした。
突然の雨にイライラしていたがただ猫を眺めているだけでも心が和んだ。
30分くらい雨宿りしていると雨が止んできたのでそろそろ出発しようと思うと寝転んで体を舐めていた猫が
起き上がって駐車場が出て行こうとした。

「じゃぁな~」

声をかけて軽く手を振ったが猫は振り返る事もしなかった。

「愛想のない奴」

そのように言ったが口元はほころんでいた。自転車に跨って走り出した。
雨はすっかり上がりまた強い日差しが降り注いでいた。先ほどの雨もあってか陽炎はよりゆらめきを増し
熱気がむんむんと上がっていた。

「あぢぃ・・・」

と、車道の端に黒い袋のようなものが見えた。近付くにつれてそれが何か分かった。

「猫だ・・・」

ぺタッとして横たわる猫。動かない。

「轢き殺されたか・・・」

車に殺された猫は結構目にする。
普段は片手を猫に向けて走り去るものであったが少し前、一緒に雨宿りしていた猫を思い出したので足が止まった。

彼は周囲を見回した。すると、丁度草むらにビニール袋があったので拾った。
更に植え込みに木の棒が数本見つかったのでそれも拾って猫のところに戻った。

まず猫の脇にビニール袋を敷き木の棒を使って猫を持ち上げようとした。
道端で死んでいる猫である。得体の知れない菌などもあるかもしれない。素手で触るのは気がひけた。
結構重く1本だけではすぐに折れてしまうので数本猫の下に敷く。
その間に車はビュンビュン彼の隣を抜けていく。

「俺が猫と同じになったら洒落にならねぇ・・・」

車の状況を確認しながら作業する。木の棒を一斉に持ち上げてビニール袋の上に置いた。

「ふぅ・・・」

周囲の歩いている人の視線を受けている事に気付く。だからと言って作業を中断するわけにはいかないし
睨み返したところで仕方ないだろう。ビニール袋を持ち上げて先ほどの草むらに行った。

「この辺りがいいか?」

木の棒を使って穴を掘ってあげようと木の棒を突き刺した。

「うわ!硬っ!」

地面は物凄く硬く、簡単に木の棒は折れてしまった。かと言ってこのまま放置では猫が晒し者となってしまう。

「取り敢えず周りから見えなくなればいいか?」

周囲の草を引っこ抜いて猫にかけた。かなりかけたのでこれで周りから見える事はないだろう。

「よし!それじゃぁな・・・」

それから自転車に跨り走りだした。

ビュオゥ!

かなりの速さで車が彼の脇を走り抜けていった。

「あぶね!コレだから車は嫌なんだ。猫を轢き殺してシカトなんだからよ!」

運転手だって好きで轢いている訳ではないのは分かる。急ブレーキをすれば後ろの車に追突される恐れがあるし
急ハンドルなら他のものにぶつけてしまう可能性がある。
一匹の猫を轢くよりも甚大な被害を及ぼすという事も分かる。

「だが、無視する事はねぇんじゃねぇのか?自分で轢き殺しておいて・・・ひでぇひでぇ・・・」

彼はそのように車を見ていたがそう言っている瞬間に、彼の自転車は蟻を数匹轢き殺していた。
そのことを彼は知らない。

自転車男 その7

2009-06-11 07:51:24 | 小説、ストーリー、物語

喉が渇いたのでペットボトルのジュースを買おうと、コンビニに入った。
本来ならばスーパーなど安い店で済ませるのだが生憎、周辺にそれらしき店はなかった。
レジで小銭を出した。ジュースを飲むことで頭がいっぱいだった。

「あの・・・10円足りませんが・・・」

若い女性店員がちょっと申し訳なさそうに言って来る。
その仕草はちょっと可愛らしいが彼にそんな事に構っている余裕はない。

「あ!すいません」

千円札はある。が、10円の為に千円札は使いたくない。
小銭入れを見るが1円や5円が見えるが10円が見当たらない。

「くっそ!確かどっかにあったはずだ。かなりの枚数、10円があったからな」

手で探っていてもしょうがないので財布をひっくり返してみた。小銭が落ちた。
しかも、10円玉がレジから落ちて床に転がった。
と、その中でポロッと指輪が落ちた。

「あ!そうだ!コイツは・・・」
「はぁ・・・」

背後から注がれるため息混じりの苛立ちの視線。

「すいません。じゃ、これで・・・」

仕方なく千円札を取り出した。
床に落ちた10円玉を拾いに行くにはいらだっている客の間を屈まなければならないからだ。
それは非常に気まずい。
お釣りをもらって客が動いた所で10円玉を広って外に出た。

彼はその指輪を手にとってこう考えたのだ。
以前、お祭りで不思議な少女に出会った。霊かも知れない少女であった。いや霊であろう少女であった(第三話参照)。
下駄を池に落として取れないと言うので取りに行ってあげたのだ。
そのお礼として女の子からもらったプラスチック製のおもちゃの指輪。
過去の事を調べてみると1年前の祭りの日に事故があった。それは痛ましい事件であった。
4歳の祭りに来ていた少女が池で溺死したというものであった。
彼は去年、その少女と思しき子であったのだ。
だから、彼は

「言わばこれはあの子の形見といえるものだ。俺が持っているよりも家族が持っていたほうがいいだろう」

という決意の元でその子の両親がいる家に行く事に決めたのだ。

先日、両親の事を祭りをやっていた池がある神社の周辺の人に聞き込みをすると両親は引っ越したのだと言う。
幸い、事情を伝えると住所を教えてくれたのでそこに向かう事にしたのだった。


おかしなばあさんがいた民宿(第六話参照)から出て走り出した。自転車は風を切り、特に問題もなく順調に進んでいく。
本人はもっとかかると思っていたのに午前10時ぐらいに少女の両親がいる町に入り目的地直前までやってきた。

「さてと・・・ここからはっと・・・」

住所は分かっているが住所まで載っている地図は持っていなかった。
携帯でナビを使う手があるが、携帯での地図は全体が把握しづらいため極力使わなかった。

「交番はっと・・・」

かなり田舎である。周囲を見れば木々が多い茂り木造の民家が疎らに見えるだけだ。
たまたまそこに通った方に交番の場所を聞いて、そこに行って見た。
警察官がいなかったらどうしようかと思っていたがいてくれた。

「あの、すいません。一宮(いちみや)さんのお宅に行きたいんですけど・・・この近くということは分かっているんですが何分、始めて来た場所ですから・・・」
「一宮さん?丁度、町内を一回りしようと思った所だ。一緒に行かないかい?」
「いや、申し訳ないですよ。地図はありますので場所だけ教えていただければ自力でいけます」
「まぁそういう連れない事言わんでくれや。パトロールの途中の道だから一緒に行こうや」

無理に断れば怪しまれると思ってその警官のオッサンと共に一宮さんの家に向かう。
自転車を持っていたが自転車を押して歩いていくようである。

「あんた、どこから来たんだい?見た所、遠くから来たみたいだが・・・」
『やっぱり来たか・・・』

一緒に行動していれば自ずと聞かれる質問だろう。
自転車旅行をしていればそこで出会った人に尋ねられる物であるから特に問題は無い。
だが、今回の相手は警官である。自然と固くなってしまうのは致し方ない事である。
「どこから来た」とか「どれくらいかかった」などの比較的聞かれやすい質問を答えていく。

「一宮さん!?一宮にどういう用だい?」

目的などを聞かれるとまるで面接でも受けている気がする。
正直、マズイと思った。一宮さんには完全に面識が無い。その家まで行った時、自分を知らないという事になれば確実に怪しむだろう。
かと言って、女の子の形見かもしれない指輪を持ってきたなどと言って信用してくれるだろうか?
彼は一瞬悩む。

「近くを通ったので寄ってみようと思っただけです。目的地は岩手ですから、
いとこだったんで昔、遊んでもらったんですよ」

咄嗟に考えた嘘にしてはなかなかいい出来だと思った。
しかし、もしこの人が家まで来れば一宮さんと面識が無いことがバレる。
だったら、あの非現実的な話を素直に言うべきかとちょっと思った。

「岩手まで?まだまだ先は長いじゃないか?頑張ってくれよ~」
「はい」
「この先の十字路の手前右のうちが一宮さんの家だよ。それでは私はこっちに行くから・・・それじゃ、旅の無事を祈っているよ。そうだ!」

オッサンは自動販売機でスポーツドリンクを1本買ってきた。ただ、その警官のおっさんはその家を見るや避けているような気がした。

「これ、やるよ」
「いやいや・・・申し訳ないですよ」
「気持ちだよ。気持ち。そいじゃな!」
「ありがとうございました!」

返品など出来ないのだから断れば逆に失礼だから受け取ってお礼を言って頭を深々と下げた。
嘘をついて缶ジュースをもらったのだから申し訳なさがいっぱいとなる。ここまで来たら日なき直るしかないだろう。

一宮さんの家に着いて、妙にドキドキする。

「どういう顔をすればいいんだろうな。ええぃ!ままよ!」

彼はインターホンを押した。
『なせばなる なさねばならぬ 何事も ならぬは人の なさぬなりけり』
そんな事を頭に思い浮かべ強く意識した。
あれこれ考えていても仕方ないと勢いのままに任せることにしたのだ。
自転車での旅も結構、勢いでやっている所が多いからだ。

「は~い」

女性の声がした。少しすると20代ぐらいの綺麗な女性が現れた。

「どちらさまでしょうか?」
「はじめまして・・・ええっと自分はですね」

こんな田舎だったからてっきりオバちゃんが出てくるものだと思っていたからドキドキして体が堅くなって来ているのが分かった。
一応、自分の事を話して怪しい者ではない事をアピールした。
だが、顔は日に焼けて、汗の匂いを発散させている男が何故うちに所に来るのか。
セールスでない事は確実だろう。だったら何の目的で?怪訝な顔をするのは当然であった。

「主人のお友だちですか?それでしたら今、呼んできますよ」
「そういう訳じゃないんですよ。自分がここまで来たのは娘さんの事で話したいことがありまして・・・」
「娘!?」
「嘘みたいな話なんですが~。あれ?」

突然、ビクッと震え、顔色がみるみるうちに変わって来た。彼はリュックの中の下駄が気になっていたので女性の顔を見落としていた。すると、女性は家の奥のほうに入っていった。

『真剣な話だからお茶でも出してくれるのかな?』

そんな事を思いながら気長に待っていた。玄関を見ていると結構シャレていて、小さな置物やら花瓶に花が生けてあってほのかに香りがした。そして、ようやく女性が現れた。

「本当、嘘みたいな話なんですが聞いていてくださいね」
「出て行きなさいよ!」
「は?」

さっきとは打って変わって目を血走らせ、叫んだ。
驚いてよく見るとなんと女性の手には包丁が握られていた。

「お!奥さん!落ち着いてくださいよ!別に俺は何かしようって訳じゃないんですよ!俺は娘さんの事で!」

完全に頭に血が上っている状態で「落ち着け」は逆効果であった。
こちらをたしなめようと企んでいると思われたようだ。更に、彼女は激昂した。

「そんな話、聞きたくない!出て行け!でないと、警察に通報するよ!」

警察にしたら捕まるのはお前だという状況であったがそんな事は考えていられなかった。
彼はまだ伝えなければならない事を伝えていなかったために玄関に止まっていると遂に彼女は包丁を振り回し始めた。

「危ない!危ない!」

彼は玄関から飛び出した。
それ以上いて怪我をするのはゴメンだし、包丁の振り回し方がおかしかった。
手に握っている包丁に振り回されているといった感じだ。
下手をすれば彼女自身を傷つけかねない。

「わぁぁ!」

家から見えないところにやってくると、今頃になって体がガクガクと震え始めた。
赤の他人に包丁を向けられるなどというのは始めてである。
子供の頃、調理実習の時に友人が包丁をふざけてこちらに向けた事があってその際に友人は先生に怒られていたが今回は知らない人である。

暫くして震えが収まってから思った。

「どうするか?コレ」

リュックの中の指輪。今、行けば同じ事になるだろう。その際に指輪だけ置いて逃げるという事も考えたがそんな渡し方で果たしていいのだろうか。

「無策で行った結果がこのザマか・・・」

ガックリと肩を落とす。
今、冷静に考えれば予想出来た事かもしれない。
1年前に娘を失う悲しみを負った人である。その辛さは彼には想像できないだろう。
いきなり現れた男が忘れたい話を蒸し返してくれば気が動転してしまうかもしれないという事とを・・・

『俺がバカだったか・・・』

一応、住所を教わった方からは電話番号も教えてもらっていたのだ。
まず、電話をするという方法もあったかもしれない。手紙を送る事も出来たかもしれない。色々な方法があったはずである。

『ちょっとしたサプライズを狙った俺は本当にバカだった。もっと慎重にならなければならなかったんだ』

今更後悔したところで後の祭りである。
だが、手元に残った彼女の指輪。本来、彼が持っていていい訳がなく両親に返すべき品である。

『ポストにでも入れておくか?手紙でも添えて・・・」

最初に会った印象が最悪だから今更取り繕っても快く会ってくれるとは思えなかった。
郵送にするか直接ポストに入れるか考える。

『郵送・・・だったら俺は何のためにここまでやって来たんだ?』

1泊してここまで来たのだから今、帰ったとしてもまた1泊しなければならないのである。
いくら対応がおかしかったにしてもそれだけは避けたかった。

『直接渡すのは難しいから、ポストの中に俺自身の手で入れるとしよう』

指輪だけ入れておくわけにはいかないから手紙を書こうと思った。
それからすぐにコンビニに向かった。ペンと紙は持っていたがくしゃくしゃで自分がメモれる程度の紙でしかないので人様に見せるような物ではなかったからだ。
自転車を走らせコンビニを探した。田舎なので駅前まで行くのも結構な道のりである。
そして、コンビニに入ろうと自転車を止めたときであった。

「あの~先ほど、うちにいらした方ですよね?」
「え?もしかして一宮さんですか?」

30代ぐらいの男性が声をかけてきた。恐らく、さっきのヒステリー女の夫だろうと思って少しばかり身構えた。
女性に言われて、こちらに因縁をつけに来たのだろうか?

「先ほどは妻が無礼な事をしてしまいすいませんでした」

意外にも頭を深く下げて謝ってきたので夫の方は常識人かという印象を受けた。

「いえ・・・自分が無神経すぎたんですよ。奥さんの気も知らずに急に伺ってしまったからです」
「そう言っていただけると助かります。少しお話したいんですが場所を移したいのですが宜しいですか?」
「いいですけど・・・どこでですか?」
「うちにお招きしたい所ですが妻があ~ですから、あちらなどいかがでしょうか?」

男性が指差したのは駅前のお団子屋であった。店内で食べられるようにテーブルと椅子が用意してあった。
そこなら良いと移動して店内に入ると古臭くそれが風情があるように思わせた。
だが、店内は綺麗であった。団子等が見えるガラスケースはピカピカに磨いてあって美味しそうであった。席に着くとおばあちゃんがやってきて男性は団子と饅頭を頼んだ。

「何か食べたいものはありますか?」
「自分は結構動いてあまり食欲もないので水さえあれば・・・」

おばあちゃんは水を持って来てすぐさま飲み干した。初対面の人で話の内容は重いから緊張していた。

「先ほども言いましたけど、妻がとんだ失礼をしてしまいまして・・・」
「いえいえ・・・気にしないで下さい。まず自分はですね・・・」

軽く自己紹介を済ませた。

「あ、君、年下だったんだ。何だ。私はてっきり年上かと・・・」

年下だと分かった瞬間に敬語をやめた。
日焼けして少し疲れているように見えたのが年上に見られた理由かもしれない。

「それで、嘘みたいな話ですけど、最後まで話を聞いてください。先に出しておこうかなと・・・」

話に真実味を出すために、最後に取っておくような真似はせず早速、指輪を取り出した。

「こちらです」

子供用でプラスチック製の安っぽい指輪であった。

「特に見覚えがないねぇ・・・」

驚いた。彼と女の子との接点はこの指輪しかない。これを覚えてないとなると証拠がまるで無いことになる。
嘘で完全にでっち上げた話と思われても仕方ないのだ。必死に思い出してもらおうとした。

「え!?先日、お祭りの日に池に行って下駄が片方だけの女の子がいてそれを取ってあげたらお礼にってコレをくれたんですよ」
「下駄が片方!?」
指輪よりもこっちの方に関心があったようだ。
「はい。着物を着た女の子でした」
「君の話が本当かもしれないって思えてきたよ」
「そうですか?」

男性はガタガタと震えて、頭を振る。額から汗がにじみ出ていた。出されたお茶を飲み込んだ。
彼は男性に当時の事を全て包み隠さず伝え始めた。すると男性は頭を軽く押さえた。

「少し間をおきましょうか?体験した自分でさえ嘘だと思える出来事でしたから・・・」
「いや、話してくれ。話は聞いているから」

そう言われて、話した。男性は店員に更に注いでもらった目の前のお茶を見つめ続けている。
本当に聞いているのかそれとも何か考えているのか気になって仕方なかったが話は続ける。

「それで、自分もこれを一宮さんに届けなければならないと思いましてここまで来た訳です。わざわざ自転車で来たのはただ単に自分は自転車が好きなだけなんですけどね」
「・・・」

男性は無言であった。昔を思い出していたのかもしれない。

「これで自分の話は終りなんですけど・・・」
「あ!あ、はい。そういうことだね。分かった。分かった」
「信じられますか?自分の話」
「信じたいところだけど・・・正直に言えば信じられる訳ないね」
「ですよね・・・」
「だけど、あなたが言った事は全て本当だと分かったよ」
「え?」
「娘の遺体には下駄が片方見つからなかったんだよ。警察が探してもダメだった。恐らく、池に落とした下駄を取ってもらいたかったんだろうね。前日から着物を着てはしゃいでお祭りに行くのを楽しみにしていたぐらいだから・・・」

当時の事を思い出すようにしていた。彼には少し重々しく見えた。

「それで、君に取ってもらって嬉しかったんじゃないかな?」
「・・・」

ここで何か言っていいものなのかと躊躇する。けどもここで黙っていてはあの子は悲しむだろう。

「はい。ありがとうってとてもいい笑顔でした。あれだけ嬉しそうにしていた顔は見たことがないです」
「そうか・・・そう言ってくれると、娘の父親として嬉しい」

目をつぶってその時の表情を思い浮かべているのだろう。とても満足げであった。

「そうだ。妻の事は出来れば許して欲しいんだ」
「それは、勿論」
「ありがとう。あれでも今は前よりもマシだったんだよ」

懐かしそうに話し始めた。

「あの時は酷かった。妻の自暴自棄には本当に手を焼いた」

当時のエピソードを聞かせてくれた。
遺体と対面した時は少し泣いていたぐらいで葬儀の時もバタバタして気丈に振舞っていた。
しかし、事故の件が一段落してからだった。
緊張の糸が切れたのか今まで認められなかった事故を自分の中で呑み込んだのか奇行が見られるようになった。ずっと泣き続け、静かになったと思ったら急に大声を上げたり、狂ったように笑ったり我が子と同じ歳ぐらいの子供を見るだけで涙した。
娘の話を出すだけで発狂し、一時、水恐怖症に陥り、風呂に入るのさえためらったという。
それはまさに壮絶だったと男性は当時を振り返った。

『あれでもマシになったのか・・・』

包丁を突きつけられたことなどないから思い出しただけで震えた。

「しかも、当時の警察がね。職業柄仕方ないのかもしれないのけどね。事故ではなくて事件だったんじゃないかって妻の身の回りの事を調べた事もあってね。それも酷くした原因の一つかもしれない」
「・・・」

さっきの警官のオッサンがあまり一宮さんのうちに快い印象を持って無いように見えたのはその所為だろうと今分かった。
迂闊に相槌など打てないし、話題を変えるのも失礼だろう。黙って話を聞いていた。
そんな男性はホッとした顔になって団子を頬張った。

「でもね。今、思えば妻がそうなって感謝しているんだ」
「?」
「感謝という言い方はおかしいな。結果的にそれで良かったんだなって実感しているんだよね」

そんな状況を経験などしたくない。この人もおかしいんじゃないかと思えてきた。
確かに1年前に奥さんがそのようになってしまったらまともではいられないだろう。
少なからず影響を受けている事も考えられた。

「妻はガーッと騒ぐタイプだけど私は溜め込んでしまうタイプだから
もし妻が粛々と受け止めていたのなら私の方が溜め込んで溜め込んで最悪、自殺していたかもしれない。
発狂していたか良くてもうつ病かな・・・当時、妻がそうなってずっと傍にいたからな・・・
でないと、妻が何をするか分からなかったしな・・・
だから私がしっかりしないと妻はどうなるのかという使命感が正気を保たせたとそう思うんだよ」

そういう事であれば、男性の言っている事も理解できた。

「すまないね。つまらない話をしてしまって」
「いえ・・・話を聞けば聞くほど自分が無知で無神経であったか痛感させられます」
「いやいや君が気を落とすことはないですよ。誰もが経験するような話じゃないからね・・・私から見てもそれに妻の反応も過剰と思うくらいだから」
「そういっていただけるとありがたいです。ところで奥さんにコレを見せられるんでしょうか?」
「今は難しいだろうけど、必ず・・・。向き合わなければならない時が来ると思うし」
「・・・」
「さて、出ますか?お代の方は私の方が払っておくよ」
「いや、悪いですよ」
「いや・・・ここまで自転車で来たという事での奢りだよ」

会計は男性が全て支払って外に出た。

「これから君はどうするんだい?」
「帰ります。明日中に自宅に帰るには今からじゃないと間に合いませんから」
「そうか・・・連絡先を教えていただければ後でお礼か何かするけど」
「いえ、自分がやったのは長いサイクリングのついでに来ただけですから・・・奥さんにも申し訳ないことをしましたし・・・それでは・・・サヨナラ」
「ついでっていうレベルじゃないよ」
「そうですか?ハハハ」
「すまんね。気の利いた冗談の一つも言えればいいんだが・・・」
「そんな事ないですよ」

少し間を置いて、少しの沈黙が続いたので自転車のハンドルに手を置いた。

「それでは・・・」
「確かにコレを受け取ったよ。わざわざ届けてくれて本当にありがとう」

包みから少し開けて指輪をこちらに見せながらそういった。

「当然の事をしたまでです」
「帰りも長いからお気をつけて」
「はい。慣れてますから大丈夫です。ではさようなら」

彼は1度振り返り軽く頭を下げて走り出した。
これで良かったのだろうと彼は思った。いや、これ以外にはないだろう。
下手をすれば何も出来ず指輪を持って替える羽目になったのだから・・・
ペダルに少しずつ力をこめて走っていった。


こねこめ)(仮) #36 (こねこねめっつ)

2008-11-07 23:28:55 | 小説、ストーリー、物語
ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
今日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

グラグラドンドン!

ブチ猫「もうダメだ~!」

「ブチ猫~。こんな所にいたら死んじゃうよ!」

ブチ猫「死んじゃう?やっぱりオイラは死ぬんだ!わー!」

トラ猫「お前らなにしてんだよ!そんな事している場合か?」

ミケ猫「私は付き合ってられないからもう逃げる~」

トラ猫「世話の焼ける奴だな~」

揺れている中、歩きにくいけど、何とか外に出ることが出来た。
ブチ猫はトラ猫が咥えて引っ張っていって無事だよ。

ブチ猫「家の中だけ揺れていたって事はやっぱり呪いとか幽霊とか・・・」

トラ猫「いい加減、しっかりしろ」

コツッ!

ブチ猫「いたたた・・・ん!ああ!!家を壊している!」

ミケ猫「そうなのよね。人間が機械で家を壊していたからあれだけ揺れてたって訳」

トラ猫「えらい目に遭ったぜ」

ミケ猫「ホント、下手したら家ごと潰されてたかもしれないんだから」

トラ猫「お前、分かってんのかぁ?ああ?」

ブチ猫「ご、ごめん・・・」

「でも、みんな怪我も無くて本当に良かったね」

家は壁を剥がされ、屋根を壊され、どんどんその形が無くなっていくのでした。

ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
明日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

こねこめ(仮) #35 (こねこねこめっつ)

2008-10-30 21:34:43 | 小説、ストーリー、物語
ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
今日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

ガタガタガタ!!

トラ猫「この振動は一体何なんだ?」

ガタガタガタ!!

ミケ猫「こんな時に地震!?もしかしてお化けなんて言っていたから?」

ガタガタガタ!!

ブチ猫「オイラが悪かったんです!ありもしないのにお化けなんて言ったから・・・ごめんなさい!本当にごめんなさい!」

ドンドンドン!!

トラ猫「うわ!余計、振動が酷くなったぞ!」

ドンドンドン!!

ミケ猫「どうしよう。逃げないと危なさそう」

ドンドンドン!!

ブチ猫「やっぱり怒っているんだ!オイラが言いだしっぺだもんな~。呪われちゃうのかなぁ?取り憑かれちゃうのかなぁ?もしかして殺されちゃうのかなぁ?嫌だ!嫌だ!嫌だよ~!」

ガタガタガタ!!

「どうしようったらどうしよう!幽霊が襲ってきた!まず隠れるような場所を探さないと」

トタタタタタタタ

「ん?あれは・・・何だ!そういう事か~」

ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
明日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

こねこめ(仮) #32 (こねこねこめっつ)

2008-10-09 21:57:53 | 小説、ストーリー、物語
ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
今日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

ミケ猫「でもさ。その空き家って本当にお化け出るの?」

トラ猫「お!ミケ猫。本当は怖いのか?案外カワイイ所あるじゃないか~」

ミケ猫「そんな訳ないでしょ!私はただ確認の為に聞いているの」

トラ猫「分かっている。分かっているって~。別に俺が何があっても守ってやるって~」

ミケ猫「そういう冗談言うの嫌い」

トラ猫「いやいや、俺もちょっとした確認だよ。うんうん。これでミケ猫がお化け大丈夫なのがよ~く分かった」

ミケ猫「フフッ」

ブチ猫「すげぇ」

ミケ猫「それでお化けの事は?」

ブチ猫「出ないよ。お化けなんて」

トラ猫「何だよ。出ないのかよ。つまんないの~」

ブチ猫「だからオイラ達で脅かそうぜ」

ミケ猫「脅かす?何それ?ちょっと面白そうじゃない」

ブチ猫「でしょ?でしょ?」

トラ猫「どうやるんだよそれ!」

ブチ猫「別に、大したことじゃないさ。空き家に入ってから一匹ずついなくなればいいさ。わー!とか悲鳴を出してさ。あいつ、ガタガタ震えて泣き出すかもしれないぜ~」

ミケ猫「じゃ~誰からどうやっていなくなる~」

ブチ猫「それじゃ~・・・」

・・・

3匹「フフフフフ~」

ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
明日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

こねこめ(仮) #34 (こねこねこめっつ)

2008-10-02 20:51:31 | 小説、ストーリー、物語
ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
今日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

ブチ猫「ここから入るんだ」

割れた窓から入るみたいだ。

ミケ猫「やだ~。物凄く埃っぽい~」

やだな~。何もでない欲しいな
2階に上がってみた

ブルブルブル・・・

ブチ猫「これこそお化け屋敷ってもんだよ」

ギギギギィィ!!

「うわぁ!やだやだ~」
ガラスを引っかく音がするよ!聞きたくなーい

ブチ猫「良し。行くか?」

「う、うん・・・」

ミケ猫「そういえば、トラ猫がいなくない?」

ブチ猫「ホントだ」

トラ猫「うわぁぁぁぁ!」

「トラ猫の声だ!」

ブチ猫「トラ猫に何かあったんだ!行くぞ!」

「でも・・・」

ブチ猫「お前、友達を見捨てる気か?オイラは行くぞ」

「待ってよ~」

1階に降りている途中で

ミケ猫「キャーー!」

ブチ猫「ええ!?今度は2階にいたミケ猫に何かあったのかぁ?」

「もう嫌だぁぁぁぁ!もうこんな所嫌だぁぁぁ!」

ブチ猫「逃げんな!みんなを置いて逃げるのか?オイラはミケ猫のところにいく!」

トットットット・・・

2階にブチ猫が戻って行ったら

ブチ猫「うわぁぁぁぁ!助けてくれぇぇぇ!」

「どどどどどど、どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしたらいいんだぁぁぁ!!」

ガタガタガタガタガタ・・・

「地面が揺れてきたぁぁぁぁ!僕もいなくなっちゃう!!」

3匹「うわぁぁぁぁぁ!!」

ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
明日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

こねこめ(仮) #33

2008-09-28 19:18:56 | 小説、ストーリー、物語
ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
今日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

足が思うように出ないな~
でも、逃げたりする訳にはいかないし・・・
あ~気が重いよ~

トラ猫「おぅ!ちゃんと来たな!」

「うわっ!?何だ・・・トラ猫か~後ろから大きな声を急に出さないでよ~」

トラ猫「後ろから声をかけただけで何、ビビッてんだよ」

着いてみると当然、みんな集まっていた。

トラ猫「コイツ!もうビビッてるぜ!俺が声をかけたぐらいで飛び上がっているんだもんよ!」

ミケ猫「ハハハハ~!物凄く怖がりなんだ~」

「そ、そんな事ないよ。トラ猫が近くで大きな声を出したから驚いただけだよ」

ブチ猫「ふ~ん。怖いのなら今から帰ってもいいんだぜ~」

本当は帰りたいけど、こう言われては引き下がれない~

「い、行くよ~」

トラ猫「無理すんなよ」

ミケ猫「そうそう。無理したって良い事ないよ」

みんな、ぼくが断れないって分かって言っているんだろうな・・・

「無理なんかしてないよ!行くよ!」

トラ猫「ようし!それでこそ男だ!うんうん!」

ミケ猫「クロ猫にも見せてあげたいところね~」

ブチ猫「そんなの当たり前すぎてクロ猫は喜ばないよ」

みんな歩き出す。ちょっと体に異変・・・

「ちょ!ちょっとトイレ!」

ブチ猫「何だよ。さっき強がっていたのにもう逃げるのかぁ?」

トラ猫「だらしない奴だな~」

「ホント、すぐ戻ってくるから~」

トトトトトトト・・・

うう~。ますます怪しまれちゃった。
これでもう逃げられないな~。

「ただいま~。じゃぁ~行こうか」

ブチ猫「何だよ~帰ってきたのか~」

トラ猫「ホラな!コイツはこう見えてもやる気だけはあるんだよ」

「どうかしたの?」

ミケ猫「ちょっと賭けをしてたの。アンタが来るか来ないか。私も来る方に賭けていたから安心して」

む。

「早く行こうよ!早く早く!」

トラ猫「お!やる気になったな!良い事だ」

ブチ猫「着いたぞ。そこのボロイ家だ」

うわ~。草でかなり覆われて、ちょっとヒビが入っている~
窓から見える中は薄暗いし、本当に出そうな家だよ~。
あ!しかも、さっきまで晴れていたのに、曇ってきたよ~
何で!何で!何でぇ!?

ゴクリ・・・

ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
明日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

こねこめ(仮) #31 (こねこねこめっつ)

2008-09-24 20:36:03 | 小説、ストーリー、物語
ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
今日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

うう~ん・・・
明日のお化け屋敷なんて行きたくないよ~
大雨が降って中止にならないかなぁ?
でも、顔を洗いたくないからきっと晴れだろうな~

うう~ん・・・
じゃぁ、お腹が痛くなったって言えば・・・
でも、そうしたら後で仮病、仮病って言われるだろうな~

うう~ん・・・
ブチ猫が来なければ良いんだろうけど・・・
ご飯に変なもの混ぜるとか・・・
でも、ブチ猫がどこでご飯食べているか知らないや。

うう~ん・・・
知っていてもそういう事良くないよね・・・
バレたらそれこそ怒られるし

うう~ん・・・
お化け屋敷なんて無くなってしまえば良いのにさ~
無くなるわけないよな~

うう~ん・・・
zzz・・・


はっ!?
あ、朝?

うう~ん・・・
やっぱり晴れちゃったか・・・

ぼくは「こねこねっこねこ」だよ
毎日、色んな事が起こる。
明日はどんな事が起きるんだろ?
それが楽しみ~♪

つまらなければ押すんじゃない。

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