髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

天使の吐息 #00

2013-10-20 19:15:34 | 天使の吐息(詩)
あなたは聞いた事があるだろうか?

「天使の吐息」を・・・

この世には幾つもの世界があってその中で、天界というものがあってそこには天使という小さな羽の生えた子供が存在する。

天使は天界から一人前になる為に見習いとして我々が住むこの世界に下りてきて修行するのである。

この世の生き物を幸せにするのがその修行の中身である。

天使には特別な力があって対象の物を幸せにする事が出来るのだ。

例えば、宝くじに当たったりとか手術に奇跡的に助かったりなど幸運な事は全て天使のおかげである。

幸せにする対象は人間だけではなく生物ならば何でもである。動物、植物、果てには細菌等の生命ある物全てに及ぶ。

何を幸せにするのかは天使自身の気まぐれである。

天使は誰の目にも見えないが存在している事は確かである。

その能力を使って幸せにするのだが、無限に使えるわけなどなく1度使うだけでも天使のかなりの力を消耗してしまうのだ。

疲労した天使が休憩の時に一息付く。

体内に残った微量の幸せの素が吐息として風となって吹く。

不意に漏れたその吐息を浴びる事で些細な幸せが訪れるのである。

それこそが「天使の吐息」

誰も気付かないかもしれないほんの小さな幸せ



#01 2009年4月6日

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#37 2009年12月14日

#38 Ver.1 2009年12月24日

#38 Ver.2 2009年12月24日

クリスマス特別編 2009年12月24日

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#49 2010年3月1日

#50 2010年3月15日

#51 2010年3月22日

2010年3月29日

あとがき 2010年3月10日

天使の吐息 あとがき

2010-03-31 22:48:18 | 天使の吐息(詩)
長い修行の期間が終わり天使達は天界に帰っていく。

名残惜しくなった下界にさよならを告げて

「バイバイ」

パタパタと手を振り、天界に戻っていく。

誰も気付いてくれる人はいない。

でも、天使たちは不満には思わない。

自分が幸せにしてあげた人達を喜んでいる姿を見たら、それで十分。

胸を張って天界へと帰っていってくれるだろう。


風は吹き、止まることなく、去っていく。

けれども寂しがることはない。

また新しい風が吹いてくれるはず。

風は絶えず吹き続ける。

風は気まぐれ。



天使の吐息。

それは誰も気付かないかもしれないほんの小さな幸せ

天使自身も気付いていないぐらいの微弱な風

あなたの周りにも吹いているかもしれない幸せを運ぶ風

天使の吐息 #52

2010-03-29 19:56:51 | 天使の吐息(詩)
70代の男性がいました。

晴れの日の日課である縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲んでいます。

ただ今日はちょっと風が強くそして冷たいです。

「うう・・・寒いな・・・」

ヒュウ

「おじいさん?今日は風が強いですからひなたぼっこは程ほどにしておいたほうがいいんじゃないですかぁ?」

奥からおばあさんが心配して声をかけてきました。

「いや、いいんだよ。今日は・・・」

「今日は?いつもなら一枚着込むって言うのにどうかしたんですか?」

おばあさんは寒いのが苦手なおじいさんなのに今日に限ってそのままなので不思議に思いました。

「ホラ・・・ご覧」

おじいさんが示すお茶碗の中を覗き込むと、深い緑の泉に一枚の淡い色の花びらが浮かんでいます。

「もう春って事さ」

「そうですね~。つくしが生えているのを見ましたし」

「つくしね~。ハックシ!」

おじいさんはくしゃみしました。

「おじいさん。風邪を引きますよ」

「だったらお前がそばにいれば良い話だろ」

「まぁ。おじいさんったら」

おばあさんが寄り添うようにして暫く二人でひなたぼっこしているのでした。

天使の吐息 #51

2010-03-22 21:29:17 | 天使の吐息(詩)
20代の男性がいました。

今日もバイクを走らせていました。

仕事の帰りでした。疲れていたのでまっすぐ家に向かいます。

ヒュウ

「クンクン・・・線香の匂い。そうか。お彼岸だったな。ついでに寄って見るか?」

半年前にお墓参りをした青年です。

突然、立ち寄ったので花や線香などはありません。

「大事なのは気持ちだもんな。うんうん」

周囲の人がお供え物を持つ中、自分は手ぶらなので言い聞かすようにして、桶に水を汲み、墓にかけます。

墓誌を見て、この人達がいなければ自分もいなかったと以前と同じように思えました。

「どうやら、俺もアンタらと同じように俺がいたから自分がいられるって風に思われるわけだ」

そう。彼に子供が出来たのでした。

「まぁ・・・結婚する前に出来ちまったんだけど、昔の人は気にするかもしれないけどそこん所は笑って許しておいてよ。俺のおかげで墓誌にまた名をきざむことが出来るんだしよ」

まだ産まれていませんが我が子も成長して先祖に感謝してくれるような人に育ってくれることを願うのでした。

天使の吐息 #50

2010-03-15 20:03:45 | 天使の吐息(詩)
卒業式を終えた女子高生がいました。

悲しくなって泣いたという事はありませんでした。

友達と一旦、分かれて家に帰って着替えてから合流して遊ぶつもりです。

あまり卒業したと言う実感がないため、悲しくないのかもしれません。

「私もバスで来れば良かったかなぁ?」

友達は親に送ってもらったり、バス出来たりして、彼女だけが駅まで自転車でした。

そのため、駐輪場に行って自転車を取りに行かなければなりませんでした。

「あんな自転車捨ててしまって、新しいの買ってくれればいいのに、アシスト付きの奴」

ヒュウ

文句を言いつつ、駐輪場に入りました。

「卒業おめでとうさん」

駐輪場の係員のおじいさんが彼女に声をかけました。

「え?あ・・・ありがとうございます」

見事に当たっていたので驚きました。

何故分かったのか考えましたが、簡単です。胸にバラの飾りと卒業おめでとうという札の付いたバッジがつけられていたからです。

そのようにほとんど赤の他人のおじいさんに言われて始めて自分が卒業したのだと実感し始めました。

自転車を取って駐輪場に出るときにおじいさんが再度、声をかけてきました。

「それじゃ・・・さようなら。寂しくなるな~」

「さようなら・・・」

始めて挨拶したような気がした。今まで毎日、駐輪場に来るたびに「おはよう」とか「こんにちは」と挨拶してくれていた。
でも、彼女の方から挨拶することは無かった。
自転車を置いて、早速メールを打っていたり、急いでいたり、余裕が無かったのもあるが、一番の理由はただ単に特になんとも思っていなかったからです。

『人に挨拶するのは恥かしい』だとか『面倒』だとか『こっちは一応、客だから愛想をつかっているだけだろう」というものですらなく気にも留めていなかったのです。

そのまま自転車に乗って走り出した。

「大学行ったらまたあの駐輪場使うし、その時は挨拶しようかな?」

今まで自分に遠いことには無関心だった自分をちょっと卒業できたかもしれません。

天使の吐息 #49

2010-03-01 19:21:24 | 天使の吐息(詩)
一人の女子高生が家で暇をもてあましていました。

普段なら、毎日のように友達と遅くまで遊んで帰るのですが今日は何故かみんな様々な理由があって忙しくしかも、前日にお財布に使った分のお金を入れるのを忘れてしまったので家に帰るしかなかったのです。

「メール出してもみんな忙しいみたいで返事来ないし、夕方のテレビなんて面白いのやってないし」

ヒュウ

そんな時、カレンダーをみて思い出しました。

「もう3月・・・雛祭りがあるな」

押入れ奥深くに眠っている雛人形。

幼い頃におじいちゃんに無理を言って頼み込んで買ってもらった大きな雛人形。15人のものである。

買ってもらった数年は、友達を招待して雛パーティを開いた。

その時の友人の羨望の眼差しに優越感を覚えた物であった。

だが、みんな塾などで忙しくなり雛パーティなど開く機会がなくなり、かなり大きいが故に準備するのが大変で、昔はおじいちゃんおばあちゃんが手伝ってくれいたのだが、おじいちゃんは既に他界しており、おばあちゃんも足を悪くしてから家に訪れることも困難になってしまった。
父親は普段、夜遅く、母親もパート通いの為、夕方夕食をサッと作るぐらいしか出来ない。

だから、今はせいぜい、お雛様と内裏様ぐらいしか出していませんでした。

「全部出してみようかな?」

昔は手伝っていたので配置ぐらいはうっすら覚えていました。

「三人官女はここで、五人囃子はここ。雛飾りはそことあそこで雪洞(ぼんぼり)は・・・」

何年も押入れで眠り続けていた人形は埃だらけでなんだか寂しそうに見えてきました。

「ごめんね~」

パッパと埃を払い、配置します。そうしていると昔のことが蘇ってきました。

「昔は良かったな~。おじいちゃんもおばあちゃんも元気で、近所の友達が来てくれて・・・」

「でも、出したって事は片付けなきゃいけないんだよね。めんどくさ・・・」

ちょっと憂鬱になりながらもなんだか満足げでした。

「あ!雛人形どうしたの?」

丁度母親が帰ってきてかなり驚いていました。

「私が飾ったの~」

今日は昔の事で話題が弾みそうです。

天使の吐息 #48

2010-02-23 06:56:21 | 天使の吐息(詩)
高校入試に受験している一人の中学生がいました。

今、筆記試験が終わり、面接試験が控えています。

目上の人と話す経験が殆どなかった彼には筆記試験よりも遥かに難問です。

「まず志望動機は自宅から近くて、校舎が美しく、図書館が他校より充実していて・・・」

「えっと趣味を聞かれたら、読書って答えて、どんな作家が好きかって聞かれたら芥川龍之介って答えて、その作品を聞かれたらあれで、どんな所が好きかって聞かれたら・・・」

面接のマニュアル本をにらめっこし、頭の中で暗記した答えを導き出します。

「面接の練習をしたけど、先生から『すぐ、上を向いて思い出すそぶりをするなぁ~。予め用意した答えを言っているだけにしか見えないぞ』って言われたんだよな~。でも、そんな聞かれてすぐに出来た答えなんて思いつくわけないじゃないか。勉強だって始めから出来た答えを導き出すだけじゃないか」

今になって面接試験について不満が溢れてきました。

「何かトイレに行ってきたくなってきた!」

待ち時間で既に3回もトイレに行っていました。

彼と似たように緊張してガチガチの受験生がトイレに来ていました。

「やっぱりあんまりでないのになんでこんなにトイレに行きたくなるんだろう・・・」

用を足して手を洗い教室に戻る所でした。

ヒュウ・・・

ブツブツ

ドン。

ファイルを見ながらブツブツ言っている別の受験生にぶつかってしまいました。

バサッ

「あ・・・」

ファイルが手から離れ床から落ちると紙が広がってしまいました。

「ご、ごめん」

紙を手に取ると事細かに想定される質問の内容と答えがビッシリと書かれていました。その中に好きな本の作品の中に「羅生門」とあった。

「同じだ・・・」

思わず口から漏れました。

「君もこれから面接?」

初対面の彼に声をかけました。

「うん。君も?」

「うん。僕も羅生門好きだって言おうと思っていたんだよ」

「え?」

「これ、見て」

自分で書いた面接マニュアルのノートを見せました。相手が頷いています。

「へぇ~。合格したら部活を頑張るつもりなんだ」

「うん。おっと、ファイル。ファイルを片付けないと」

他の人も歩いているので落ちたファイルを全部まとめます。

「それじゃ、お互い面接頑張ろうね」

「うん」

それから教室に戻って椅子に座って再びノートを開きました。

「僕もあの人も受かっていればいいな~」

ちょっと余裕が出来て自分の順番になるまで待つのでした。

天使の吐息 #47

2010-02-15 19:07:16 | 天使の吐息(詩)
バレンタインデーが終わった月曜日。渡しそびれたチョコを持った中学生の女の子がいました。

安物でありますがデパートで買ったものです。

意中の人は学校でしか会えないので土曜日に渡すつもりだったのですが人前で渡すのは何か気が引けて一人になるのを待っていたらそのまま下校されてしまったという事なのです。

相手の彼は、地味過ぎ人なので渡している所を周りの人には知られたくありませんでした。

「どうしよう。今日も持ってきちゃったけど・・・あ!」

放課後、帰る時に丁度掃除をしている彼がいました。丁度一人です。

「もし渡すのなら今しかないけど・・・どうやって・・・」

少し考えて良い手を思いつきました。

「ねぇ。ねぇ。お腹減ってない?」

「え?な、何?」

女子と話すことに慣れてないので声をかけられて戸惑っているようです。
そんな彼は優しく良く気が利く所が気になっていたのですが・・・

「だからお腹へっているかって」

「べ、別に・・・」

「そ、そう」

彼女もそれ以上言葉を続けることが出来ませんでした。

ヒュウ

「でも、やっぱりちょっと空いているかな?」

パッと彼女の顔が笑顔になりました。

「じゃぁ、コレもらってくれない?渡していたら余っちゃったから」

「いいの?オレなんかに」

「いいから言っているんでしょ。いらないの?」

「もらうよ。もらう。けど、誤解されないかな?」

「誤解って何、気にしているの?」

「べ、別に・・・」

「それじゃね」

「うん」

自分がどう思われたかはいいとして渡せたことがただただ嬉しかった彼女でした。

天使の吐息 #46

2010-02-08 23:53:07 | 天使の吐息(詩)
20代の女性が帰る途中でした。

仕事で怒られてご機嫌斜めです。

「私のせいじゃないっていうのに何であんな言われ方されなければならないかな?」

長めのトンネルを歩いていて後少しで出口という所です。

「副店長は何でもかんでも人のせいにしたがってまったく~」

ゴゴゴゴゴ・・・

後ろからおかしな音を立てて車が走ってきました。

「え?何?車?」

しかも、黒煙を撒き散らしながら走ってきます。

「うわ!ヤバイ!あんなのに来られたらまっ黒になっちゃう!」

女性は少し走りますが、車と人、追い抜かされてしまい黒煙が舞い上がってきました。

「!!ダメ!もう間に合わない!!」

咄嗟に息を止めて歩き出します。

『もう少しで出口だからちょっと息を止める!』

少し苦しいですが後10秒ぐらいでトンネルを抜けるので何とか我慢することにしました。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・

「後ちょっと・・・後ちょっと・・・後ちょっと・・・」

息を止めているので短い距離にもかかわらず歩いても歩いてもなかなか近づかないような感覚でした。

「ぷはーっ!」

どうにか出口にたどり着きました。

「す~っ!はぁ~!す~っ!はぁ~!」

何度も深呼吸しました。

冷たい空気が胸いっぱいに入ります。

「ふぅ~。何かスッとした・・・」

澄んだ清浄な空気が体を洗ってくれるような感覚でした。

「くよくよ考えるのはやめて元気に過ごしましょうかな?」

パンパンと体をはたいて埃を落とし家に向かって歩き出しました。

天使の吐息 #45

2010-02-01 20:51:24 | 天使の吐息(詩)
高校生の男子が自転車で自宅に帰る途中でした。

ここ何日で風が冷たいと思っていた矢先

「げっ!もう降ってきやがった!天気予報では夜、遅くって言っていたのに!」

まだ夕方で空は真っ暗になる前だというのに雪がチラついて来ました。

ペダルを漕いでいると雪は大粒になり、降ってくる量も増えてきました。

「冷てぇ・・・馬鹿雪が!俺が帰ってから降ってきやがれ!」

手袋をしていましたが雪がとけ、水分が染み込んできます。

「さみぃ・・・冷てぇ・・・指に力が入らねぇ・・・」

ヒュウ

「コンビニだ。少し寄るかぁ?」

コンビニから明るい光が溢れていたので中に入る事にしました。

普段はコンビニには寄らずノンストップで帰っていますが今日は仕方ない所でした。

暖かい店内。思わずホッとしてしまいます。

ですが手の感覚はなかなか戻ってきません。

「お、あんまり使いたくないが今日は雪だし、特別か?」

レジで中華まんを買おうと思いました。

「中身は何にしようか・・・肉まんか?あんまんか?ピザまんか?それとも他には・・・」

迷った挙句、甘いものが丁度食べたかったので『あん』にしました。

コンビニの外、屋根がある所であんまんをかじりつきました。

「あつつつつ・・・」

雪が静かに降っている所をぼんやりと見つめ、あんまんを食べます。

「静かだな」

車が走る音が普段より遠くに聞こえ、コンビニのBGMもあまり聞こえませんでした。

「こう見ると雪って綺麗だけど、チャリに乗ると憎く思えるんだよな。あつ!」

唇に『あん』が付いてしまい、軽くやけどしました。

「よ~し。食った!食った!だるいけど帰るか!」

ハンドルを握る手は普段より力が篭っていました。

つまらなければ押すんじゃない。

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