蚊は寄ってこないんだけどやはり草むらで寝ているという事もあってか寝た気が全然しなかった。
それで少し明るくなってきたなと4時ごろ起きた。
んで朝日でも見ようと思ってず~っと東の空を見ていた。
コンビニの裏にあった壊れた自転車に座りぼ~っと過ごした。
すると東の雲がかなり明るくなって
「そろそろか?」と胸を高鳴った。
そして日の出。
髭人「こんなの綺麗な朝日を見るのは初めてだ」
と、感動していて写真を撮った。
髭人は今まで父に連れられ登山をして山頂から朝日を見たこともある。
その時よりも美しいと思った訳だ。勿論、そこから海など見えやしない。
広い草むらであったが地平線などはなく東には民家が立ち並びさほど変わったの光景ではない。
→→→→心境って奴だろうな。
昨日の夜、散々、寝床を探すのに苦労したし、見つけて蚊の問題も解決したあとも熟睡できなかったからな。
夜が明けて明るくなったことで安心感が生まれた。それが、なんの変哲もない朝日を綺麗に感じさせたりううだろう。
日の出を見終わってコンビニに入り朝食を買い外で朝日を見ながら食べていた。
→→→→同じもコンビニを行き来しているオレは完全に不審者だったろう。
食べ終わるとゴミをサッサと捨て荷物をバッグに入れた。
外で夜を明かしたということもあって服からズボン。何から何まで湿っぽかった。
そして相棒に乗りそして出発した。
この時間まだ5時半。車なんてほとんど通っておらず
髭人「俺だけの道だぁぁぁ!」
なんて思いつつ走り続けた。
涼しい朝を快走していると目的地まで8kmと書かれた看板が見えた。後30分程度というところだろう。
「7km」「6km」と徐々に近づくにつれ俺はかなり興奮状態に入っていった。
「Welcom to 一宮」などという大きな看板のような物を見つけた。
入った!と朝早いのにもかかわらず俺のテンションはさらに高まっていた。
去年行った事のある場所という所で線路沿いを走っていた。
すると潮の香りがした。
髭人「海、近し…」
そうやって走っていると見た事のある道
髭人「ここは!!」
そのまま線路沿い進むとありました!!
去年行った「上総一ノ宮駅」
何か電車で来たのと自転車で来たのとはまた別の感動があった。
何か他の力を借りて何かしたってのと全て自力でやったのとは違うものだ。
駅名が書かれた看板と共に自転車と自分を入れて写真を撮る。自転車で行ったという証拠写真という訳だ。
駅にいつづけても仕方ないので海に向かって走り出した。
髭人「この道は去年晴れ渡っていて暑くて歩くのがだるかったよな」
などと去年の記憶を思い出す。しかし今は自転車で快適快適~♪
そ…し…て…
海が現れた。見た事のある海。全く変わってなかった。
一人でそんな海を見て感動していた。
記念という事でカメラを取り出して撮ろうかと思っていたら声をかけてきた。
近くに20代の半ばの車に乗っている2名の男が俺のそんな姿を見て
男「撮ってあげましょうか?」
断る理由もないので
髭人「お願いします」
とカメラを渡し適当にポーズを取って撮ってもらった。
男「全国回っているんすか?」
髭人「いえ、地元から来ているだけですけど」
それ以上盛り上がることもなくその人達は車に乗っていった。
→→→→「チャリで九十九里に来るとかwwww」みたいな会話でもしていたんだろうなぁ。
オレの知らないところでやっているのなら大いにネタにしてくれても結構ですわ。
まぁ自転車でこれだけ日焼けして走っていてカメラなんか取り出せば全国回っていたと思われるだろうと一人思った。
しかし「全国回っているんすか?」という敬語だったのは気になった。
友人や同級生からオッサン扱いされるのは慣れていたからなんとも思わないがこう第三者から言われるのは精神的にクルものがある(苦笑)
俺はやっぱりおっさんか?と一人ちょっと切なくなった。ハハハ。
俺はそこから海に向かって駆け出した。
まだ6時ごろという事もあってか浜辺には誰もいない。
いるとするのなら防波堤のデッパリで釣りをやっている人ぐらいだった。
んで俺は誰もいない事をいい事に
髭人「九十九里よ~!!俺は帰ってきた~!!」
などと絶叫!!
→→→→「アナベル・ガトー」のパクリですね。
当時は髭人の中でガンダムブームだったからな。
今でも好きっちゃ好きだが、こんな露骨にやらんわ。
誰一人として俺のほうを見る人間はいない。
まず釣り客がいる防波堤は遠いし波に俺の声が掻き消されていたのだろう。
んでせっかく苦労して海まで来たのに写真とって終わりってのも寒いので水着に着替え一人水浴び程度の事をやっていた。
→→→→どっち道、寒いな…うん。
一人あんまり長くいるのも馬鹿らしいとすぐに上がって服を着て近くの防砂林で寝る事にした
寝不足だろうから昨日はここで昼まで寝ると予定を立てていた(去年来た事ありますからだいたいの地形は覚えている)んで寝ているものの全く眠くならない。
俺はそれでも横になって目を瞑っていた。
波の音なんて聞きながらだから優雅とも言えるが眠れなかった。
そんな調子でごろごろしていたがあまりの眠れなさ加減で9時になり
髭人「帰るか?」
と思い立つ。このまま時間を潰していてもしょうがないという判断だ。起き上がってふと思い出した。
髭人「お土産でも買っていくか?」
残るもので思い出にしようと考えて海の家に行って
髭人「お土産なんて売ってないっすかね?」
店員の黒いに~ちゃん「お土産は海の家にはないねぇ~国道に出ればあるかもしれないけど」
そのように言われて国道に出るとお店がいくつもある。だが、肝心のおみやげ屋がない。
あるのは金物屋とかお菓子屋とか魚屋とかがほとんどだった。
お菓子屋にはお土産はあったが食べ物がお土産だと腐るし、残らないからな。
「お土産なしか」
→→→→九十九里にキーホルダーとか期待している俺がアホなんだよな。
出発してすぐにまた昨日休んだ茂原を見つけサッサと素通り
2泊3日という予定であるから今日走る分によって次の日、楽になってくる。
初日で九十九里、手前まで来たから最終日にそれぐらい行けるかっつたら溜まった2日分の疲労から考えたら厳しいわな。
だから今日という日に稼いで置こうという所である。
しかし、その日はカンカン照り。すぐ前が陽炎でゆらめき、立っているだけで体力を奪われる陽気であった。
昨日の睡眠不足の状態、取れてない疲れ。
無理しても仕方ないということで休み走り休み走る。これを交互に繰り返した。
ととある所で休み
髭人「さて出発だ」
と相棒に跨ろうと右足を高く上げた瞬間だった。
髭人「うぬぉぅ!?」
突然、右足股関節に電流のような激痛が走った。俺もこの痛みには耐えられず足をまた地に付いた。
当時、この右足がもげるんじゃないかと思えるほどの痛みだと思えた。
髭人「ぐぞぉぉ~このまま止まっていられるか!」
と左足から跨ることにした。
まず、自転車のスタンドを右足で蹴って(足を上げなければ激痛は走らない)反対側に回って左足から高く足を上げてまたがったのだ。
何とももどかしい動きだ。それでも、何とか走り出す。
右のペダルが上がる度に小さい電流のような物が俺の足が全身に流れる。
痛みを我慢しながら
髭人「走らなければ…少しでも進んで…」
という言葉を自分に言い聞かせ苦しみながら走った。
しかしそんな頑張りは30分も経たないうちに限界を越えた。
髭人「無理!」
とパチンコ屋の駐車場に流れこんだ。
そのパチンコ屋は潰れたらしく駐車場には放置自動車が1~2台あるぐらいな物だった。
そこの影になっていて店員用出入口のような小さなコンクリートの階段部分に座った。
俺はそこで自分の足を責めた。
髭人「情けない。相棒とかはこんなにも頑張っているのに肝心の俺がこんなんでは」
しかし、足を上げると耐え難き苦痛が
髭人「ぐぅぅ…」
ほとんど元気が無く、一人黙って座り込んでいた。15分ぐらいの休憩。
髭人「あんまり長居しすぎるとホント体が動かなくなる」
と立ちが上がり少し自分の右足を労りながら相棒に乗った。
髭人「持ってくれよ。俺の右足」
と声を掛け走り出す。そのうち限界の頂点でも越えたのかほとんど痛さを感じなくなった。
髭人「足の感覚がいかれたか?だがこっちにとっては好都合だ」
とさきほどとは思えないほど軽快に走る。と言っても1日目ほど速くはない。
だが北上してる為に風が容赦無く俺の行く手を阻んだ。
風。昨日は「悪魔の調べ」で俺をボロボロにさせた風。
西の風なのだが正確に言うと南西の風である。
だから俺また向かい風となって襲う。
と、後少しで北上から西への曲がり角に差し掛かる。
髭人「俺が西へ行くからという事の最後の悪あがきか?」
→→→→ややギレンっぽい。
12時前ぐらい。お腹も減ってきた時間帯である。
前に「吉野家」が見えてきた。
腹ペコというほどではなかったが空腹感がしたので
髭人「そろそろ昼にするか?」
そう思って吉野家に入ることにした。
店内に入ると冷たい風。エアコンの涼しさは体をおかしくしそうなほどである。
髭人「何を食うか?」
メニューを見て、豚汁が好きだから豚汁定食を頼んだ。ほどなくしてやってくる豚汁定食。
割り箸を割り(当時は、割り箸だった)豚汁を取り、何の気なし口をつけた。
不意打ちだった。もはや突然殴られたぐらいの衝撃だった。体がビリリッと震え、自分の沸き上がる感情に戸惑った。
髭人『旨すぎるゥゥゥッ!』
その感覚は一瞬で全身に上がり抑えがきかなかった。何と突如として涙が溢れ出ようとしていた。
髭人『やべぇ!こんな衆人環視の中、泣けるかぁ!』
今は昼食時、カウンターには空きがないほど客がいてお昼を食べていた。そんな中、
客『何、コイツ。豚汁飲んで泣いているよ…』
と、ドン引きさせたり、笑いのネタにされるのは耐え難かった。
上をむき、口は閉じて歯を食いしばり今までの人生でないほど力をまぶたに入れて閉じる。
暫く空前絶後の旨さに対する感情に耐え、何とか涙を流さずに済んだ。
→→→→涙を見せずに済んだものの、挙動不審だったはずである。客の中でもコイツ変だと気づいた人はいるだろうし、
店員は間違いなく『何だコイツは…』って思ったに違いない(笑)
豚汁に感動し、牛丼は普通に頂き、出発。感動的な昼食を行い元気がでた。
足は痛むけどゆっくりと進む。時間は午後になる。ようやく、房総半島を横切るところまで来て
ここからは北ではなく西に向かって走ることになる。
コンビニに寄り適度に水分を取りながら進む。
んで近くにマックがあったからそこで軽食を取るべくマクドナルドに寄る。
しかし水分を結構取りすぎていたという理由とLを頼んでしまった事が重なり食べきれなかった。
髭人「こりゃ持ち帰るしかないな」
と思った。
俺は残ったポテトをどうにか外に出ない状態にしてバッグに入れた。
髭人「お持ち帰りだ」
という所である。西の道。
髭人「昨日は向かい風とかで悪魔の調べだったが今日は追い風となって天使の調べになるだろう」
と思いペダルに足をかけ走り始める。予想通り追い風で少し漕いだだけで思いのほかスピードが出る。快適快適。
髭人「おお~」
とそのスピードに酔いしれながら走った。するとお土産屋らしき店を発見。
髭人「ここなら何か売っているか?」
と中に入り見ているとキーホルダーとか適当にお土産になる物が並んでいた。
髭人「どれにしようか...」
と悩んでいたがあんまり考えていてもしょうがないかと
似ているようなものを幾つか買った。どうせ、同じ人に2個も3個も渡す訳でもないしな。
出発、追い風が味方するものの坂は歩く。体は休めないとね。
んで昨日暑さ、風、体力の激減という要因が重なって地獄と化した道を走る
暑さはあるものの風は追い風で体力はあるからめちゃめちゃ速い。
髭人「昨日なんであんなにトロトロ走っていたんだろ?」
疑問に思うばかりだった。
髭人「うわ!昨日あそこで休んでここで休んだけどあれしか進んでなかったのか?」
パワーダウンしてからの移動距離の短さに驚く。
30分そこいらで千葉市に着いた。昨日は2~3時間はかけていたというのに…
つづく…
それで少し明るくなってきたなと4時ごろ起きた。
んで朝日でも見ようと思ってず~っと東の空を見ていた。
コンビニの裏にあった壊れた自転車に座りぼ~っと過ごした。
すると東の雲がかなり明るくなって
「そろそろか?」と胸を高鳴った。
そして日の出。
髭人「こんなの綺麗な朝日を見るのは初めてだ」
と、感動していて写真を撮った。
髭人は今まで父に連れられ登山をして山頂から朝日を見たこともある。
その時よりも美しいと思った訳だ。勿論、そこから海など見えやしない。
広い草むらであったが地平線などはなく東には民家が立ち並びさほど変わったの光景ではない。
→→→→心境って奴だろうな。
昨日の夜、散々、寝床を探すのに苦労したし、見つけて蚊の問題も解決したあとも熟睡できなかったからな。
夜が明けて明るくなったことで安心感が生まれた。それが、なんの変哲もない朝日を綺麗に感じさせたりううだろう。
日の出を見終わってコンビニに入り朝食を買い外で朝日を見ながら食べていた。
→→→→同じもコンビニを行き来しているオレは完全に不審者だったろう。
食べ終わるとゴミをサッサと捨て荷物をバッグに入れた。
外で夜を明かしたということもあって服からズボン。何から何まで湿っぽかった。
そして相棒に乗りそして出発した。
この時間まだ5時半。車なんてほとんど通っておらず
髭人「俺だけの道だぁぁぁ!」
なんて思いつつ走り続けた。
涼しい朝を快走していると目的地まで8kmと書かれた看板が見えた。後30分程度というところだろう。
「7km」「6km」と徐々に近づくにつれ俺はかなり興奮状態に入っていった。
「Welcom to 一宮」などという大きな看板のような物を見つけた。
入った!と朝早いのにもかかわらず俺のテンションはさらに高まっていた。
去年行った事のある場所という所で線路沿いを走っていた。
すると潮の香りがした。
髭人「海、近し…」
そうやって走っていると見た事のある道
髭人「ここは!!」
そのまま線路沿い進むとありました!!
去年行った「上総一ノ宮駅」
何か電車で来たのと自転車で来たのとはまた別の感動があった。
何か他の力を借りて何かしたってのと全て自力でやったのとは違うものだ。
駅名が書かれた看板と共に自転車と自分を入れて写真を撮る。自転車で行ったという証拠写真という訳だ。
駅にいつづけても仕方ないので海に向かって走り出した。
髭人「この道は去年晴れ渡っていて暑くて歩くのがだるかったよな」
などと去年の記憶を思い出す。しかし今は自転車で快適快適~♪
そ…し…て…
海が現れた。見た事のある海。全く変わってなかった。
一人でそんな海を見て感動していた。
記念という事でカメラを取り出して撮ろうかと思っていたら声をかけてきた。
近くに20代の半ばの車に乗っている2名の男が俺のそんな姿を見て
男「撮ってあげましょうか?」
断る理由もないので
髭人「お願いします」
とカメラを渡し適当にポーズを取って撮ってもらった。
男「全国回っているんすか?」
髭人「いえ、地元から来ているだけですけど」
それ以上盛り上がることもなくその人達は車に乗っていった。
→→→→「チャリで九十九里に来るとかwwww」みたいな会話でもしていたんだろうなぁ。
オレの知らないところでやっているのなら大いにネタにしてくれても結構ですわ。
まぁ自転車でこれだけ日焼けして走っていてカメラなんか取り出せば全国回っていたと思われるだろうと一人思った。
しかし「全国回っているんすか?」という敬語だったのは気になった。
友人や同級生からオッサン扱いされるのは慣れていたからなんとも思わないがこう第三者から言われるのは精神的にクルものがある(苦笑)
俺はやっぱりおっさんか?と一人ちょっと切なくなった。ハハハ。
俺はそこから海に向かって駆け出した。
まだ6時ごろという事もあってか浜辺には誰もいない。
いるとするのなら防波堤のデッパリで釣りをやっている人ぐらいだった。
んで俺は誰もいない事をいい事に
髭人「九十九里よ~!!俺は帰ってきた~!!」
などと絶叫!!
→→→→「アナベル・ガトー」のパクリですね。
当時は髭人の中でガンダムブームだったからな。
今でも好きっちゃ好きだが、こんな露骨にやらんわ。
誰一人として俺のほうを見る人間はいない。
まず釣り客がいる防波堤は遠いし波に俺の声が掻き消されていたのだろう。
んでせっかく苦労して海まで来たのに写真とって終わりってのも寒いので水着に着替え一人水浴び程度の事をやっていた。
→→→→どっち道、寒いな…うん。
一人あんまり長くいるのも馬鹿らしいとすぐに上がって服を着て近くの防砂林で寝る事にした
寝不足だろうから昨日はここで昼まで寝ると予定を立てていた(去年来た事ありますからだいたいの地形は覚えている)んで寝ているものの全く眠くならない。
俺はそれでも横になって目を瞑っていた。
波の音なんて聞きながらだから優雅とも言えるが眠れなかった。
そんな調子でごろごろしていたがあまりの眠れなさ加減で9時になり
髭人「帰るか?」
と思い立つ。このまま時間を潰していてもしょうがないという判断だ。起き上がってふと思い出した。
髭人「お土産でも買っていくか?」
残るもので思い出にしようと考えて海の家に行って
髭人「お土産なんて売ってないっすかね?」
店員の黒いに~ちゃん「お土産は海の家にはないねぇ~国道に出ればあるかもしれないけど」
そのように言われて国道に出るとお店がいくつもある。だが、肝心のおみやげ屋がない。
あるのは金物屋とかお菓子屋とか魚屋とかがほとんどだった。
お菓子屋にはお土産はあったが食べ物がお土産だと腐るし、残らないからな。
「お土産なしか」
→→→→九十九里にキーホルダーとか期待している俺がアホなんだよな。
出発してすぐにまた昨日休んだ茂原を見つけサッサと素通り
2泊3日という予定であるから今日走る分によって次の日、楽になってくる。
初日で九十九里、手前まで来たから最終日にそれぐらい行けるかっつたら溜まった2日分の疲労から考えたら厳しいわな。
だから今日という日に稼いで置こうという所である。
しかし、その日はカンカン照り。すぐ前が陽炎でゆらめき、立っているだけで体力を奪われる陽気であった。
昨日の睡眠不足の状態、取れてない疲れ。
無理しても仕方ないということで休み走り休み走る。これを交互に繰り返した。
ととある所で休み
髭人「さて出発だ」
と相棒に跨ろうと右足を高く上げた瞬間だった。
髭人「うぬぉぅ!?」
突然、右足股関節に電流のような激痛が走った。俺もこの痛みには耐えられず足をまた地に付いた。
当時、この右足がもげるんじゃないかと思えるほどの痛みだと思えた。
髭人「ぐぞぉぉ~このまま止まっていられるか!」
と左足から跨ることにした。
まず、自転車のスタンドを右足で蹴って(足を上げなければ激痛は走らない)反対側に回って左足から高く足を上げてまたがったのだ。
何とももどかしい動きだ。それでも、何とか走り出す。
右のペダルが上がる度に小さい電流のような物が俺の足が全身に流れる。
痛みを我慢しながら
髭人「走らなければ…少しでも進んで…」
という言葉を自分に言い聞かせ苦しみながら走った。
しかしそんな頑張りは30分も経たないうちに限界を越えた。
髭人「無理!」
とパチンコ屋の駐車場に流れこんだ。
そのパチンコ屋は潰れたらしく駐車場には放置自動車が1~2台あるぐらいな物だった。
そこの影になっていて店員用出入口のような小さなコンクリートの階段部分に座った。
俺はそこで自分の足を責めた。
髭人「情けない。相棒とかはこんなにも頑張っているのに肝心の俺がこんなんでは」
しかし、足を上げると耐え難き苦痛が
髭人「ぐぅぅ…」
ほとんど元気が無く、一人黙って座り込んでいた。15分ぐらいの休憩。
髭人「あんまり長居しすぎるとホント体が動かなくなる」
と立ちが上がり少し自分の右足を労りながら相棒に乗った。
髭人「持ってくれよ。俺の右足」
と声を掛け走り出す。そのうち限界の頂点でも越えたのかほとんど痛さを感じなくなった。
髭人「足の感覚がいかれたか?だがこっちにとっては好都合だ」
とさきほどとは思えないほど軽快に走る。と言っても1日目ほど速くはない。
だが北上してる為に風が容赦無く俺の行く手を阻んだ。
風。昨日は「悪魔の調べ」で俺をボロボロにさせた風。
西の風なのだが正確に言うと南西の風である。
だから俺また向かい風となって襲う。
と、後少しで北上から西への曲がり角に差し掛かる。
髭人「俺が西へ行くからという事の最後の悪あがきか?」
→→→→ややギレンっぽい。
12時前ぐらい。お腹も減ってきた時間帯である。
前に「吉野家」が見えてきた。
腹ペコというほどではなかったが空腹感がしたので
髭人「そろそろ昼にするか?」
そう思って吉野家に入ることにした。
店内に入ると冷たい風。エアコンの涼しさは体をおかしくしそうなほどである。
髭人「何を食うか?」
メニューを見て、豚汁が好きだから豚汁定食を頼んだ。ほどなくしてやってくる豚汁定食。
割り箸を割り(当時は、割り箸だった)豚汁を取り、何の気なし口をつけた。
不意打ちだった。もはや突然殴られたぐらいの衝撃だった。体がビリリッと震え、自分の沸き上がる感情に戸惑った。
髭人『旨すぎるゥゥゥッ!』
その感覚は一瞬で全身に上がり抑えがきかなかった。何と突如として涙が溢れ出ようとしていた。
髭人『やべぇ!こんな衆人環視の中、泣けるかぁ!』
今は昼食時、カウンターには空きがないほど客がいてお昼を食べていた。そんな中、
客『何、コイツ。豚汁飲んで泣いているよ…』
と、ドン引きさせたり、笑いのネタにされるのは耐え難かった。
上をむき、口は閉じて歯を食いしばり今までの人生でないほど力をまぶたに入れて閉じる。
暫く空前絶後の旨さに対する感情に耐え、何とか涙を流さずに済んだ。
→→→→涙を見せずに済んだものの、挙動不審だったはずである。客の中でもコイツ変だと気づいた人はいるだろうし、
店員は間違いなく『何だコイツは…』って思ったに違いない(笑)
豚汁に感動し、牛丼は普通に頂き、出発。感動的な昼食を行い元気がでた。
足は痛むけどゆっくりと進む。時間は午後になる。ようやく、房総半島を横切るところまで来て
ここからは北ではなく西に向かって走ることになる。
コンビニに寄り適度に水分を取りながら進む。
んで近くにマックがあったからそこで軽食を取るべくマクドナルドに寄る。
しかし水分を結構取りすぎていたという理由とLを頼んでしまった事が重なり食べきれなかった。
髭人「こりゃ持ち帰るしかないな」
と思った。
俺は残ったポテトをどうにか外に出ない状態にしてバッグに入れた。
髭人「お持ち帰りだ」
という所である。西の道。
髭人「昨日は向かい風とかで悪魔の調べだったが今日は追い風となって天使の調べになるだろう」
と思いペダルに足をかけ走り始める。予想通り追い風で少し漕いだだけで思いのほかスピードが出る。快適快適。
髭人「おお~」
とそのスピードに酔いしれながら走った。するとお土産屋らしき店を発見。
髭人「ここなら何か売っているか?」
と中に入り見ているとキーホルダーとか適当にお土産になる物が並んでいた。
髭人「どれにしようか...」
と悩んでいたがあんまり考えていてもしょうがないかと
似ているようなものを幾つか買った。どうせ、同じ人に2個も3個も渡す訳でもないしな。
出発、追い風が味方するものの坂は歩く。体は休めないとね。
んで昨日暑さ、風、体力の激減という要因が重なって地獄と化した道を走る
暑さはあるものの風は追い風で体力はあるからめちゃめちゃ速い。
髭人「昨日なんであんなにトロトロ走っていたんだろ?」
疑問に思うばかりだった。
髭人「うわ!昨日あそこで休んでここで休んだけどあれしか進んでなかったのか?」
パワーダウンしてからの移動距離の短さに驚く。
30分そこいらで千葉市に着いた。昨日は2~3時間はかけていたというのに…
つづく…