そして、次の日に再び全員を結集する事にした。場所は勇一郎にただの喫茶店に来るように指定した。元気の自宅や小屋となると居場所を知っている彼らが対応できるからである。
「どうかしたんですか?元気さん。こんな所に集まるなんて始めてじゃないですか?」
剛の怪我は癒えたらしく体調はすっかり良くなっているようにみえた。
「重大な発表をしようと思ってな・・・」
「また何かあったんですか?」
「ああ・・・それで、会ってもらいたい人がいるんだ」
「まさか!あの市山 満生って奴じゃ?」
誰もが満生の顔を思い浮かべた。悠希に関しては一瞬、身を震わせた。
「いや、そいつではない」
「じゃぁ、誰なんです?」
何時になく目がマジになる元気。それを見て、誰もがただ事ではないと思う。今日は態と、冗談を言うような雰囲気ではなかった。
「田中 勇一郎さんだ」
「た、田中 勇一郎!あの冴えないハゲのサラリーマンのオッサン!?」
「・・・。そうだ・・・」
港のあからさまで配慮にかける言葉に短い沈黙の後に口を開いた。
「そいつは一体、どこにいるの!?」
「会ってどうするんですか?これからあの人たちに協力するなんて言うんですか?」
悠希は周囲を見回し、和子は、かなりの迫力で言って来た。周囲の客もこちらを見てきた。元気は二人の質問に直接は答えず、あうことに決めた経緯を説明していった。
「あのサラリーマンが色々と情報をくれたんだ。俺達を襲った連中の情報を・・・恐らく、あのサラリーマンも連中に追われることになるだろう。それでも、俺達に伝えようとした気持ちをお前達にも見せてやろうと思ったのだ」
「そんな事!分かるものではないでしょうが!!ただの罠に決まっているよ!」
「だから、こうして来てもらったわけだ。ちょっと待ってろ。便所に行って来る。」
元気は男子トイレの中に入ると、すぐに元気に引き連れられて申し訳なさそうな顔をして田中が現れた。
「コイツもアイツらと一緒・・・」
「ちょっと待て。俺だってお前らだけじゃなく、あいつ等に対して怒りが増している。本音を言えばこのオッサンでこの怒りを晴らしたい所だった。だがよ。そんな中で田中さんは現れた。ノコノコ俺達の前に現れれば殺される事を考えた上でな。何故、そこまでして会おうとしたのか気にならないのか?何か行動を起こすにしてもそれを聞いてからでも遅くないだろ?」
元気の視線は田中の方に向く。田中は一瞬、元気が翻意させたのではないかと身を竦ませた。
「私達にそう言えば襲ってこないだろうって思って、ハメようって企んでいるんじゃないの?」
確かに悠希の言うように、慶などの情報を集めればこちらが怒っていても故意に人殺しをするような人間はいない事は分かるかもしれない。
「そ、そう思われても仕方ないのかもしれませんが・・・私は彼らのやっている事に納得できなくなったのです」
田中は、彼らとのつながり、彼らがやった事、自分自身の気持ちなど元気に伝えた事を全員に言った。全員は、勇一郎に集中していた。時には目元がピクピクと動き、身を震わせて、場があまりにも張り詰めている事が分かった。
「この話を聞いて、どうするか聞きたい」
「そんなの決まっている」
悠希は堅い決意を見せる表情をしていた。元気が尋ねると簡単に答えた。
「病院に行って関係者を全員、この手で!」
「それは、俺も考えた。だが、そんな事をしたら俺達はただではすまないぞ」
「そんなの関係ない!昌成君を殺した奴を同じ目に遭わせる!それしかない!」
「ちょっと・・・ちょっと・・・物騒な事は言うなよなぁ~。悠希さんよ~」
悠希の目は血走っていた。完全に冷静さを欠いているようであった。元気が宥めるように言うがあまり効果はないようであった。店員達がチラチラとこちらを見ているのが気になった。
「でも、その情報が真実だっていう証拠はあるんですか?全部、私達を信用させる為のでっちあげだとしたら?」
港はソウルドを持たない者としてそれほど感情的にはなっていないようであった。
「俺は正確だと思うがな」
「俺達の情報だけ真実で他はでたらめという事は考えられませんか?」
「あ、言われて見ればそうだな」
「これは本当ですよ。信じてください!罠でも何でもなく真実なんです!」
勇一郎が必死に言う。流石にわざととは思えなかった。
「それで、皆さんどうするんですか!俺も悠希さんと同意見です!」
剛は話がまとまらない事に苛立っているようであった。
「剛。そう決定を急ぐなよ。その行為は俺達だけじゃなくて家族などにも影響を及ぼすんだぞ」
「家族だってそれを聞けば許してくれます!ですからやります!」
剛が力強く言った。迷いなどないようであった。
「元気さんはどうするんです?」
「俺はやるに決まっている。ポチッ鉄には世話になったし、家族に関しては俺を見捨てたからな。復讐みたいなものでな」
「俺もやりま・・・」
元気が言葉を遮って発言した。
「港、お前はやめておけ。お前はソウルドが使えないし、ポチッ鉄の時、助けてくれたというだけだ。態々、面倒に首を突っ込む必要も無いよ」
「ですが・・・」
「そういう態度だからやめておけと言っているんだ。変に気を使うな。みんなが行くから俺も行くっていう気持ちだと後で後悔するぞ。後、和子ちゃんもやめておきな」
「え?どうして?」
「家族を無視できるのか?個人的な気持ちで迷惑をかけちゃいけない。大体18年間育ててくれた両親なんだからね」
「は・・・はい・・・」
「宜しい。後は、いちどー。お前はどうする?
和子と港は考え込んでいるようで、元気の言う事に反論する事は出来なかった。
「え?あ?何がどうしたんです?」
話を聞いていず、論外であった。完全に呆けてしまって以前の凛々しさはどこへ行ってしまったのか。これではこれから起こり得るであろう戦いに耐えられるわけがないだろう。
「慶にも関係する事だぞ。お前がそんなんでどうする?病院に行くのか?行かないのか?」
「行きますよ。そういう話だったでしょ?」
覇気を殆ど感じなかった。まるで他人事を言っているようにも見えた。
「俺達と決めた約束の件は置いておこう。お前自身行きたいのか行きたくないのか?お前の個人的な事情だけで身内を巻き込むという事も踏まえて聞いている」
「それは・・・」
「なら、行くな。お前はいつか慶を倒せ。それでいい。そんな気持ちで入られてもこっちが迷惑する」
一道も何も言い返す事が出来なかった。
「じゃぁ俺達3人だけだな。まずは作戦会議だ。じゃぁ、お前ら帰ってもらえるか?次に会うときはどうなっているか分からないからな」
元気は冗談っぽく言うがその言っている事は非常に怖い事であった。元気は田中からもらった多くの資料を取り出して検討を始めた。一道、和子、港、勇一郎の4人は喫茶店から出て歩き出していた。
「和子さんはどうするんですか?」
「どうするって・・・そんなの簡単に決められないよ」
「ですよね~。一緒に着いていけば犯罪者。やめれば狙われ続けて、アイツらに協力するなんて事になれば自分達の身は分からない・・・ああーーーー!!」
港は頭を抱えているようであった。一道は近くで何やら話す和子と港が何やら話しているが遠くで言っているようで聞き取れなかった。
「慶・・・お前は今、どこで何をしているんだ?」
一道にとってはその事だけが頭を支配していた。
「どうかしたんですか?元気さん。こんな所に集まるなんて始めてじゃないですか?」
剛の怪我は癒えたらしく体調はすっかり良くなっているようにみえた。
「重大な発表をしようと思ってな・・・」
「また何かあったんですか?」
「ああ・・・それで、会ってもらいたい人がいるんだ」
「まさか!あの市山 満生って奴じゃ?」
誰もが満生の顔を思い浮かべた。悠希に関しては一瞬、身を震わせた。
「いや、そいつではない」
「じゃぁ、誰なんです?」
何時になく目がマジになる元気。それを見て、誰もがただ事ではないと思う。今日は態と、冗談を言うような雰囲気ではなかった。
「田中 勇一郎さんだ」
「た、田中 勇一郎!あの冴えないハゲのサラリーマンのオッサン!?」
「・・・。そうだ・・・」
港のあからさまで配慮にかける言葉に短い沈黙の後に口を開いた。
「そいつは一体、どこにいるの!?」
「会ってどうするんですか?これからあの人たちに協力するなんて言うんですか?」
悠希は周囲を見回し、和子は、かなりの迫力で言って来た。周囲の客もこちらを見てきた。元気は二人の質問に直接は答えず、あうことに決めた経緯を説明していった。
「あのサラリーマンが色々と情報をくれたんだ。俺達を襲った連中の情報を・・・恐らく、あのサラリーマンも連中に追われることになるだろう。それでも、俺達に伝えようとした気持ちをお前達にも見せてやろうと思ったのだ」
「そんな事!分かるものではないでしょうが!!ただの罠に決まっているよ!」
「だから、こうして来てもらったわけだ。ちょっと待ってろ。便所に行って来る。」
元気は男子トイレの中に入ると、すぐに元気に引き連れられて申し訳なさそうな顔をして田中が現れた。
「コイツもアイツらと一緒・・・」
「ちょっと待て。俺だってお前らだけじゃなく、あいつ等に対して怒りが増している。本音を言えばこのオッサンでこの怒りを晴らしたい所だった。だがよ。そんな中で田中さんは現れた。ノコノコ俺達の前に現れれば殺される事を考えた上でな。何故、そこまでして会おうとしたのか気にならないのか?何か行動を起こすにしてもそれを聞いてからでも遅くないだろ?」
元気の視線は田中の方に向く。田中は一瞬、元気が翻意させたのではないかと身を竦ませた。
「私達にそう言えば襲ってこないだろうって思って、ハメようって企んでいるんじゃないの?」
確かに悠希の言うように、慶などの情報を集めればこちらが怒っていても故意に人殺しをするような人間はいない事は分かるかもしれない。
「そ、そう思われても仕方ないのかもしれませんが・・・私は彼らのやっている事に納得できなくなったのです」
田中は、彼らとのつながり、彼らがやった事、自分自身の気持ちなど元気に伝えた事を全員に言った。全員は、勇一郎に集中していた。時には目元がピクピクと動き、身を震わせて、場があまりにも張り詰めている事が分かった。
「この話を聞いて、どうするか聞きたい」
「そんなの決まっている」
悠希は堅い決意を見せる表情をしていた。元気が尋ねると簡単に答えた。
「病院に行って関係者を全員、この手で!」
「それは、俺も考えた。だが、そんな事をしたら俺達はただではすまないぞ」
「そんなの関係ない!昌成君を殺した奴を同じ目に遭わせる!それしかない!」
「ちょっと・・・ちょっと・・・物騒な事は言うなよなぁ~。悠希さんよ~」
悠希の目は血走っていた。完全に冷静さを欠いているようであった。元気が宥めるように言うがあまり効果はないようであった。店員達がチラチラとこちらを見ているのが気になった。
「でも、その情報が真実だっていう証拠はあるんですか?全部、私達を信用させる為のでっちあげだとしたら?」
港はソウルドを持たない者としてそれほど感情的にはなっていないようであった。
「俺は正確だと思うがな」
「俺達の情報だけ真実で他はでたらめという事は考えられませんか?」
「あ、言われて見ればそうだな」
「これは本当ですよ。信じてください!罠でも何でもなく真実なんです!」
勇一郎が必死に言う。流石にわざととは思えなかった。
「それで、皆さんどうするんですか!俺も悠希さんと同意見です!」
剛は話がまとまらない事に苛立っているようであった。
「剛。そう決定を急ぐなよ。その行為は俺達だけじゃなくて家族などにも影響を及ぼすんだぞ」
「家族だってそれを聞けば許してくれます!ですからやります!」
剛が力強く言った。迷いなどないようであった。
「元気さんはどうするんです?」
「俺はやるに決まっている。ポチッ鉄には世話になったし、家族に関しては俺を見捨てたからな。復讐みたいなものでな」
「俺もやりま・・・」
元気が言葉を遮って発言した。
「港、お前はやめておけ。お前はソウルドが使えないし、ポチッ鉄の時、助けてくれたというだけだ。態々、面倒に首を突っ込む必要も無いよ」
「ですが・・・」
「そういう態度だからやめておけと言っているんだ。変に気を使うな。みんなが行くから俺も行くっていう気持ちだと後で後悔するぞ。後、和子ちゃんもやめておきな」
「え?どうして?」
「家族を無視できるのか?個人的な気持ちで迷惑をかけちゃいけない。大体18年間育ててくれた両親なんだからね」
「は・・・はい・・・」
「宜しい。後は、いちどー。お前はどうする?
和子と港は考え込んでいるようで、元気の言う事に反論する事は出来なかった。
「え?あ?何がどうしたんです?」
話を聞いていず、論外であった。完全に呆けてしまって以前の凛々しさはどこへ行ってしまったのか。これではこれから起こり得るであろう戦いに耐えられるわけがないだろう。
「慶にも関係する事だぞ。お前がそんなんでどうする?病院に行くのか?行かないのか?」
「行きますよ。そういう話だったでしょ?」
覇気を殆ど感じなかった。まるで他人事を言っているようにも見えた。
「俺達と決めた約束の件は置いておこう。お前自身行きたいのか行きたくないのか?お前の個人的な事情だけで身内を巻き込むという事も踏まえて聞いている」
「それは・・・」
「なら、行くな。お前はいつか慶を倒せ。それでいい。そんな気持ちで入られてもこっちが迷惑する」
一道も何も言い返す事が出来なかった。
「じゃぁ俺達3人だけだな。まずは作戦会議だ。じゃぁ、お前ら帰ってもらえるか?次に会うときはどうなっているか分からないからな」
元気は冗談っぽく言うがその言っている事は非常に怖い事であった。元気は田中からもらった多くの資料を取り出して検討を始めた。一道、和子、港、勇一郎の4人は喫茶店から出て歩き出していた。
「和子さんはどうするんですか?」
「どうするって・・・そんなの簡単に決められないよ」
「ですよね~。一緒に着いていけば犯罪者。やめれば狙われ続けて、アイツらに協力するなんて事になれば自分達の身は分からない・・・ああーーーー!!」
港は頭を抱えているようであった。一道は近くで何やら話す和子と港が何やら話しているが遠くで言っているようで聞き取れなかった。
「慶・・・お前は今、どこで何をしているんだ?」
一道にとってはその事だけが頭を支配していた。