髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

天使の吐息 #17

2009-07-27 20:08:13 | 天使の吐息(詩)
早朝、布団に入っている小学生がいました。

「おい!起きろ!朝だぞ!」

「眠らせてよ~」

「今日もラジオ体操だろ?」

「いいよ!ラジオ体操なんて!行っている奴なんて殆どいないんだしさ~」

「だからこそ行く価値があるんだろ!」

ヒュウ

「分かったよ~行くよ。行くよ~」

朝が早いお父さんに起こされて、着替えて近くの公園に向かいます。

「ほら~。誰もいないじゃん」

おじさんが一人いるだけで誰もいませんでした。

「お!来た!来た!誰も来ないと思ったのにな」

それからだるいと思いながらラジオ体操をやりました。

終わったらスタンプを押してもらいます。

「凄いな~。パーフェクトなのは君だけだぞ」

「ぼくだけ?」

「そう。そう。このまま終わるまで頑張ってみたらどうだ?」

『ぼくだけか・・・』

あまり知らない人から誉められるのは嬉しかった。

「ようし!このまま全部押してもらうぞ!」

「そうだ。その意気。その意気」

おじさんはおじさんで来てくれる子がいてホッとしたのでした。

天使の吐息 #16

2009-07-20 20:07:05 | 天使の吐息(詩)
終業式が終わり、通知表も配られこれから夏休みが始まるという時です。

ですが、一人、机のところで呆然としている小学生がいました。

「どうしよう・・・」

通知表の成績は決して悪いわけではありませんでしたので両親に起こられるという訳ではありません。

「うわぁ!バカだ!だからちょっとずつ持って帰ればよかったのに」

机の上には持って家にもって帰らなければならない物が山積みです。

絵の具、笛、ピアニカ、道具箱、体操着、朝顔の鉢

「な?ちょっと手伝ってくれない?」

「俺だって重いのに持って帰っていたんだよ。持って帰れないお前が悪い」

そう言って友達は誰も手伝ってくれませんでした。

幸い、今日は終業式という事もあり、持ってくるものが少なく、できるだけランドセルの中に物を押し込み、手で持つ物を減らします。

それでも、ランドセルに入らない道具箱、朝顔の鉢はどうにもなりませんでした。ピアニカは上手くランドセルに引っ掛けました。

「これ以上はどうしようもない!ええい!持って帰ってやる!」

炎天下、両手に道具箱、その上の朝顔の鉢

周りの児童はクスクスと笑っていました。

「暑い・・・重い・・・疲れた・・・帰りたい・・・って帰っているんだけど・・・」

何度か木陰で休憩しながら帰ります。普段ならポケットに500円を入れているものなのですが忘れてしまい、自動販売機でジュースを買う事も出来ません。

「ぐぅ・・・公園だ・・・でも、後ちょっとで家だから!」

汗が滝のように出て、喉が渇きます。ちょっと道から逸れれば公園がありそこで水が飲めるのですが、そこまで行くのが面倒くさくなってそのままうちを目指しました。

ガチャ

「はぁ~・・・」

スタスタ・・・

「どうしたの?帰ったらただいまでしょ?わ!そんなに荷物があったの?」

『ただいま』を言う気力もありませんでした。

ヒュウ

「ハイ。麦茶」

『あんまり麦茶好きじゃないんだよな。でも、喉乾いたから」

ゴクゴクゴクゴク!

「おかわり!!」

「はいはい。この暑いのに良く頑張ったね」

ゴクゴクゴクゴク!

「でも、冬休みの前は少しずつ持って帰ってこようね」

天使の吐息 #15

2009-07-14 21:03:45 | 天使の吐息(詩)
ある暑い日、幼稚園児がスーパーにおいてあるベンチに座って棒アイスを食べていました。

「垂れている!垂れている!早く食べないと落ちちゃうよ!」

「ゆっくり食べているの!」

手の方にアイスが垂れてきていました。

「右の方ばっかり食べていると重さで落ちちゃうって!」

「いいの!」

ボテッ!

「ああ!」

アイスの1/3ぐらいが地面に落ちてしまいました。

「ああ~アイスが・・・僕のアイス~」

土の上に落ちてしまったのでもう土まみれです。

「だから言ったじゃないの!もう買ってあげないからね!」

「うう~」

「ママ、買い忘れたものを買ってくるからここにいなさいね」

ママはそのままスーパーに入っていきました。

「アイス~。アイス~」

ヒュウ

「ん?」

じ~

「お!?」

落ちたアイスを見ていると蟻がアイスに集まってきました。

虫が好きな彼には面白い光景です。

「蟻さん美味しい?冷たい?」

列をなしている蟻を見ていると何だかワクワクしてきました。

アイスを落っことしたのは良かったんじゃないかと思えてきたぐらいです。

「何しているの?」

「蟻さん」

「気持ち悪い!ああ!勿体無い。蟻にアイスを上げたわけじゃないのに~」

彼はニコニコしながら蟻を見ていました。

でも、今度、蟻の為にアイスをあげたら怒られそうです。

天使の吐息 #14

2009-07-07 21:47:08 | 天使の吐息(詩)
20代女性がいました。

夕方の仕事帰りです。疲れ気味です。

駅前の大きな七夕飾りを下を歩いていると声をかけられました。

「あの・・・短冊書いてみませんか?」

お祭りのはっぴを着た人が短冊とペンを差し出してきました。

話を聞くと、短冊が余っているから書いて欲しいという話。

「短冊なんて10年以上書いてないなぁ?何を書こうかな?宝くじを買って『宝くじを当たりますように』というのにしようかな?いや、私、一生懸命、仕事しているけどあんまり評価してくれないから『みんなが私を認めてくれるように』にしようかなぁ?」

あれこれ考えますが決まりません。

ヒュウ

「そうだ。他の人を見てみようっと」

沢山飾ってある短冊を見上げます。

「『お金持ちになれますように』字は子供なのにお金ってねぇ~」

「字ばっかじゃないの!『いい成績になれますように』『サッカーが上手くなれますように』『友達が増えますように』『小遣いが増えますように』欲張りすぎ・・・」

「『夢が叶いますように』その夢を書いてくれなきゃ叶えようがないよ」

「『お父さんお母さんが喧嘩せず仲良くしますように』なんか軽く重くない?」

「『七夕が晴れますように』へぇ~いいな。何か自分の事ばかりじゃない感じが・・・」

様々な短冊をみて考えます。笑ったり、考えさせられたり

「ようし!コレにしよう!」

短冊を書いて吊るして帰りました。

『みんなの願いが叶いますように』

天使の吐息 #13

2009-06-29 22:36:26 | 天使の吐息(詩)
10歳の少年がいました。

学校から下校しようと玄関までやってきた所です。

「くそっ!傘を持って無いのに雨が降っていやがるんだ!」

朝、雨が降ると天気予報で言っていたのに忘れてしまったのです。

「みんなして傘を持ってきやがって・・・こんなにあるのなら一本ぐらいパクったって構いやしないだろう」

いざ、選ぶとなるとどれにしようか迷ってしまいます。

「どれにしようかな~。どれでもいいって思うとちょっと楽しくなってきたぞ。これにし~よっと!」

良くある一本の紺色の傘です。

ヒュウ

「ううぅ・・・何かトイレに行きたくなったぞ。家まで遠いししていこう」

トイレに来て用を足しました。

「ふ~。さて、帰るぞ」

また玄関に戻ってきたときに気付きました。

「あ、パクッた傘忘れた。何、やってんだ~俺」

そんな事をしていると傘立ての前で駆け回っている気の弱そうな少年がいました。

「ない!ない!ない!ない!」

「どうしたんだよ」

「ぼ、僕の傘がないんだよ~!」

「傘がない?どんなのだ?」

「紺色の傘なんだけど・・・」

『まさか・・・』

「昨日、買ってもらった傘なのに、お母さんに怒られる~」

「良く探せよ。紺色なんて沢山あるんだからよ」

「うん」

気の弱そうな少年は必死に探しています。

『便所に忘れてきて良かったぜ。今、持っていたら完全にアウトだった。でも、どうする?便所に置いたままにして今ここで別の傘をパクッて帰っちまうか?』

でも、さすがに、二本目の傘を盗むのは気が引けました。それよりも今にも泣きそうな顔をしていました。

「酷い事をする奴もいるもんだな。雨の日に傘をパクッたら誰かが必ず困るってのによ~」

「うん」

「・・・。あ、俺、忘れ物しちまったよ!」

すぐにトイレに戻って、傘を手に取りました。

「しかし、どうやって戻す?やっぱり無視して帰るべきか?いや、そういう訳にはいかねぇ・・・あ!良い手を考えた」

少年が後ろを向いて探している所に傘を入れました。

「見つかったか?」

「ないよ~。やっぱりないよ~」

「お前そそっかしいからな。別のクラスのに置いておいたんじゃないのか?」

「そんな事ないよ」

「本当にそういえるのか?」

「うう~ん・・・そうだね。探してみる」

「あった!あったよ!コレだ!」

「ほら、だから言っただろ?」

「うん!ありがとう!君が言ってくれなかったらぼくずっと探していたよ」

「そうか・・・良かったな。それじゃ、俺帰るわ」

「あれ?傘は?」

「ああ・・・傘、忘れたんだよ。全く雨が降るってのにドジなんだよな~俺」

「じゃぁ・・・一緒に帰らない?」

そのように言われた少年はビクリと震えました。

「バカが!男と一緒に傘で帰れるか!それに俺は急いでいるんだよ!友達と約束しているからな。じゃぁな!」

そう言い終わる前に、玄関を飛び出していました。

不思議なぐらい雨が冷たく感じられました。

「雨が降っていて良かった」

そんな少年の目の端に雨粒が溜まっていました。

天使の吐息 #12

2009-06-22 20:40:07 | 天使の吐息(詩)
40代中年男性がいました。

風呂上りで脱衣所で体を拭いています。

スタスタ・・・チラッ

「あ!だから脱衣所のドアは閉めておいてって言っているじゃない!」

娘から明らかな嫌な顔をされてドアをバタンと激しく閉められる。

『昔はあんな娘じゃなかったんだけどな~。嫌がるどころか一緒にお風呂に入りたがった事があるぐらいだもんな。今じゃ、顔を見せるだけで席を立とうとする。同じ部屋の空気を吸いたくないといった感じだ。昨日の父の日だって毎年恒例のネクタイをもらっただけだ。そんな物より家族一緒で楽しい食事に行く方がよっぽど嬉しいんだけどな・・・」

娘の昔の面影を自分の記憶から必死に手繰り寄せていた。

「いつまでそこにいるの~!」

どうやら脱衣所の隣のトイレを使いたいようだ。

「あ、ごめんごめん」

そそくさとパジャマに着替えて脱衣所を出る。今まではパンツ一枚でうちの中を歩いても何も言われなかったのだが・・・

『はぁ~』

ヒュウ・・・

「アアアァァァ!!」

娘の声が聞こえるや脱衣所から飛び出してきた。

「お父さん!虫が!気持ち悪い!どうにかして!」

娘は虫が大の苦手だ。

「分かった。分かった」

脱衣所に行くと子蜘蛛がいた。

「ゴキブリならともかく、こんな小さい蜘蛛なのにな・・・蜘蛛はハエや蚊とかの他の小さい虫を捕まえてくれるのにな~」

殺すのは可哀想だと思って手に乗せて窓から外に出した。

「驚かせてすまなかったな。けど、たまに頼むな」

ガチャ

「蜘蛛は?」

「外に追い出したから大丈夫だよ」

「良かった~」

こういう時だけ男を見せる事が出来て満足な父親でした。

「いい加減、こんな虫が出るうちから引っ越したいけどね」

「そうだね」

最後の一言は耳が痛かったが・・・

天使の吐息 #11

2009-06-15 19:02:07 | 天使の吐息(詩)
30代男性がいました。

今はベッドの中で夢見心地です。

ジリリリリリ!!

「うおぉぉ!うるせぇ!」

バシ!

目覚ましの頭にあるスイッチを叩いて止めて、側面部にあるスヌーズのスイッチも消した。

『今日は日曜日って事を忘れていたなぁ・・・さて、もう一眠り』

ヒュウ

『待てよ。本当に今日は日曜日か?確か昨日はサザエさんがやっていてちょっとやっていたような気が・・・』

ガバ!

『取り敢えずテレビをつければハッキリするか・・・』

パチッ

テレビをつけるといつも見飽きたキャスターが出ていました。

「うわ!やっぱり月曜だ!時間は!!」

バタバタしながらも何とか遅刻せずに済みそうな月曜日の朝でした。

天使の吐息 #10

2009-06-08 18:39:29 | 天使の吐息(詩)
30代の主婦がいました。

皿洗いをしています。

「何、やってんだろ?私」

旦那さんは会社に行き、子供はここ最近、幼稚園に通うようになって朝のバタバタを乗り切れば時間が出来る。

時間が出来たら何故か空しくなって来て自問自答をするようになっていました。

いざ、時間が出来ても何をしていいのか分からない。

「あ、これはあの子のストロー」

子供は最近、ストローが気に入っていて暇があると咥えている。

ジュースを飲むときは必ず使う。前、味噌汁を飲むときに使って軽く火傷したことがあったぐらいである。

ヒュウ・・・

「あ!」

手元に洗剤の泡

丁度ゴミ箱に捨ててあったヨーグルトの器に洗剤を入れて水で薄める。

ストローの先端を薄めた洗剤にストローをつけて息を吹きかける。

ぷ~っ

大きくなるシャボン玉

「ここじゃダメね」

ベランダに出てシャボン玉を飛ばした。

結構強い風が吹いていたのですぐに割れてしまうがたまに遠くまで飛ぶ。

「頑張れ。もっといけ。もっといけ」

他にもこんな事をする。

ゴボゴボゴボゴボ・・・

洗剤につけたままで息を吹きかけると容器から泡が溢れた。

「ははははは」

愉快になって何となく笑った。

そんな童心に帰った午前中の出来事でした。

天使の吐息 #09

2009-06-01 19:01:26 | 天使の吐息(詩)
小学4年生の男の子がいました。

「何だよ・・・雨って言っていたのに曇りか・・・」

今日は運動会。

運動神経が鈍いのであまり活躍が出来ない彼には運動会は大嫌いでした。

だから雨になる事を祈り、逆さてるてる坊主を作ったぐらいでしたが天気は曇りで運動会は決行されました。

それだけならまだ良かったのですが父親に去年の運動会の時に叱られていたのです。

「勝てないと分かっていたからってダラダラ走りやがって・・・上手くできないからと言ってやらなければならないことに手を抜く人間は最低だ。結果が全てじゃねぇんだよ!」

その事を覚えているか分かりませんがお父さんは今日は仕事の為、運動会を見に来られません。

『ふん。お父さんにはぼくの気持ちなんか分かりっこないんだ』

徒競走の時間になって自分の番に来るまで待ちます。

周りはみんな早い子ばかり。今年もビリは殆ど確定と言った所でした。

『お父さん。今日は来てないし、去年の事なんか覚えていっこない』

順番がようやく回ってきてスタート地点に着きました。

「・・・」

ヒュウ

『ああぁぁ!ヤケクソだ!走ればいいんだろ!走れば!』

パン!!

ピストルが撃たれみんな一斉にスタート。

どんどん開いていく差

でも、そんなことは気にせず一生懸命走りました。

ゴール。

結果はビリ。

誰か転んで順位が上がるなんて偶然は起こりませんでした。

「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!」

「ビリって分かっているのにあんな頑張って走ったって無駄なのに・・・」
「バカなんだろ?」

こちらを見てヒソヒソ話をしている子が遠くにいたみたいですが疲れていたのでそれどころではありませんでした。

お昼になって、運動会に来ていた母親の所に行きました。

その時、毎年同じような事をお母さんが言います。

「得意不得意は誰にでもあるからね。でも、今年は頑張っていたじゃない」

『一生懸命やってもビリになっちゃ、疲れる分、バカらしいじゃないか・・・』

お母さんが作ってくれたお弁当を食べます。

「あ・・・美味しい」

何だか今まで運動会の時に食べたお弁当の中で一番美味しい気がしました。

「おにぎりもう1個食べるよ」

「おかわりするの?へぇ~」

お母さんは微笑ましく男の子を見つめるのでした。

天使の吐息 #08

2009-05-25 21:33:31 | 天使の吐息(詩)
とある牛丼のチェーン店で一人で食事をしている女性がいました。

『給料日前でお金が無い。みんなはオシャレな店でランチかな?』

「お待ちどうさまです」

前に出てくる牛丼並盛

『一人でこんな所来るぐらいならコンビニで菓子パンにでもすればよかった』

割り箸を割って食べ始める。

『今月は急な出費が続き過ぎるのが悪い!うちのパイプが詰まるし!うちの犬は風邪を引くし!自転車盗まれるし!自転車は戻ってきたけど、放置自転車置き場に取りに行くはめになるし!しかも返還料がかかったし!昨日は晴れって予報だったのに急に雨が降ってくるからビニール傘買うはめになるし!』

ガツガツガツガツ!

『どうしてこうも悪い事が重なるの!もう!』

食べ終えてお会計を済ませようとしたのだが

ジャラジャラ

お金を払おうとすると丁度100円玉が見つからない。

『10円玉ばっか!えっとシルバーのコレは・・・うわ!50円玉!』

小銭を探すのに手間取り別の食べ終えた中年男性が腕組みしてこっちを見ていた。

『ない!ない!確かあると思ったのに・・・しょうがない』

仕方ないので500円玉を出した。

おつりが来て更に財布が重くなる。

『ああ!どうなってんの!?』

ヒュウ



『あ・・・この曲は・・・』

自分の好きな曲が店内に鳴り響いた。もう10年以上も前の曲である。

『こんなにお客いるけどこの曲が好きで気にしているのはきっと私だけだろうな』

ちょっと優越感に浸りながら、お店を出た。

つまらなければ押すんじゃない。

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