髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

天使の吐息 #26

2009-09-28 19:13:34 | 天使の吐息(詩)

20代の女性がいました。

チッチッチッチ

「うう~ん。眠れない」

秒針の音がうるさく感じて目が覚めてしまいました。

何年か前に買った時計で今までは気にならなかったのに急に気になりました。

「はぁ・・・」

彼女は数日前に彼と別れたのでした。

些細な言い争いが原因で先に謝ればよかったのですが売り言葉に買い言葉で口汚い罵りあいになり

最終的に分かれることになってしまったのです。

寂しいけども彼が悪いのであって別れた事に後悔はしていないと自分に言い聞かせる日々です。

「目が覚めちゃった。夜風に当たれば眠くなるかな?」

ヒュウ

夜風に当たりたくなって、カーテンを開けるとぽっかりとまんまるのお月が浮かんでいました。

「そういえば十五夜だったっけ?」

柔らかい光が部屋の中を照らします。

「なんだかやさしい光・・・」

彼女は普段、見ないので久しぶりに見る月にうっとりと見とれているのでした。

太陽や蛍光灯とは違った淡い輝きが彼女の心は潤い、癒してくれました。

「あれ?どうしたんだろ?私・・・」

でも、何故か不意に彼女の頬に雫がこぼれたのでした。

天使の吐息 #25

2009-09-21 21:28:37 | 天使の吐息(詩)
20代の男性がいました。

遊びに行く途中で自分の先祖が眠るお墓の近くを通りかかりました。

普段なら気にもかけず通り過ぎていた事でしょう。

ヒュウ

「30分ぐらい早く着きそうだな。時間があまるのも何だしたまには寄ってみるか?」

ここ何年も墓参りなど訪れた事もありませんでした。

『石に手を合わせて何になる』

と、思っていたので親から連れて貰わなくなってからは行く事はありませんでした。

殊に彼が生まれる前に祖父母は亡くなっていたので先祖についての意識はかなり低かったのが理由です。

「ああ・・・やっぱ線香くせぇな・・・」

お墓の前から立ち上る煙。これもまた、墓参りが嫌だった理由の一つでしょう。

「花もお供え物持って無いが別にいいだろ?大切なのは気持ちだ。気持ち」

そんな事言いつつ、あまりその気はないのですが・・・

バイクを駐車場に止めて、置いてあった手桶に水を汲み、柄杓を取ってお墓に行きます。

「えっと、確かこの角を曲がって・・・あった。あった」

10年ぐらい前の記憶を頼りに歩くとお墓に着きました。

「花が飾ってある。親父かお袋でも来たのかな」

掃除も行き届いていて、誰かが手入れしている事が伺えました。

「無駄な労力を・・・」

水をかけて立ち去ろうと思うと、そこにあった墓誌が気になりした。

「俺の先祖の名前と亡くなった日が彫られているのか・・・何か良くわからん名前が並んでいるな」

名前は戒名で刻まれているので彼にはわかりませんでした。

「何人も彫られているな」

10個弱は並んでいました。

「この連なっている一人の誰かが欠けたら俺は存在しないんだよな」

柄杓で墓石に水をかけました。

「!!先祖がいなければこうして水が手にかかって冷たいとも思わない・・・か・・・」

妙に感慨深くなりました。

「ああ・・・時間がないな。じゃぁ帰るか」

そう言って、歩き出しました。

「気が向いたらまた来るよ。じゃぁな。ご先祖さん」

そう言って、バイクに跨り走り去っていくのでした。

天使の吐息 #24

2009-09-14 20:58:59 | 天使の吐息(詩)
20代ぐらいの女性がいました。

夕方の帰り道、携帯電話でメールを打っていました。

「わ!」

自転車が彼女のすぐ脇を通り抜けていきました。

「危ないじゃないの!どういう運転しているの!」

自分が悪い事は棚に上げて駆け抜けていったおじさんに文句を言っていました。

ピッピッピッピ・・・パッ

『電池が不足しています。充電してください』

「わ!待ってよ!保存するから!」

文句を言ったのが悪かったのかタイミング悪く携帯電話の電池が切れてしまいました。

「ああ~。忘れちゃったの痛いな~」

携帯音楽機を忘れてしまい、手持ち無沙汰になってしまいました。

ヒュウ

リーリーリー

「そういえばもう秋だったよね」

秋の虫が近くの草むらで鳴いていました。

「たまにはこういう音楽を聴きながら帰るのもいいかな?」

彼女は夏も過ぎ去り、秋の深まりを感じるのでした。

天使の吐息 #23 Ver2

2009-09-07 20:34:38 | 天使の吐息(詩)
2日ぶりに学校に行く小学校高学年の少年がいました。

2日間、風邪で休んでいたのです。

学校に着いてクラスメートの様子の異変に気付きました。

「おはよう」

「お、おはよう」

そのように答えるのですが何かぎこちない。

「どうしたんだよ?」

「いや、別にな・・・ちょっと俺、トイレ行くわ」

近づこうとするとみんな避けているようでした。

そう。ここ最近、インフルエンザが流行しており、みんなマスクをしていました。彼もまたマスクをしていたのですがそれでも、みんな彼が近づくだけで離れていきます。

「俺はインフルエンザじゃねぇよ。ただの風邪だって」

「そりゃ、分かるんだけどな。ウイルスって目に見えないしよ。念のためな・・・」

それから授業が始まり、休み時間になりますがみんな自分から離れるのでちっとも面白くありません。

「これなら、今日も休んでいるんだったな」

教室にいても白い目で見られるのが嫌なので外の人気のいない原っぱの方に行きました。

ヒュウ

そこで座っていると、足に妙な感触を覚えました。

「うわ!何だ!?」

足にバッタが止まっていました。

「何だよ。気持ち悪い!」

パッと払いのけると今度は頭の上に乗りました。

「ムカツク・・・でも、今は虫でもいいや。俺に近づいてくれるのはお前だけだから・・・」

少し話しかけてみました。

キーンコーンカーンコーン

するとバッタは休み時間のチャイムと同時に彼から離れました。

「じゃぁな。元気でな」

教室まで戻る中、今日、学校に来て彼は始めて笑いました。

天使の吐息 #23 Ver1

2009-09-07 20:34:04 | 天使の吐息(詩)
2日ぶりに学校に行く小学校高学年の少年がいました。

2日間、風邪で休んでいたのです。

学校に着いてクラスメートの様子の異変に気付きました。

「おはよう」

「お、おはよう」

そのように答えるのですが何かぎこちない。

「どうしたんだよ?」

「いや、別にな・・・ちょっと俺、トイレ行くわ」

近づこうとするとみんな避けているようでした。

そう。ここ最近、インフルエンザが流行しており、みんなマスクをしていました。彼もまたマスクをしていたのですがそれでも、みんな彼が近づくだけで離れていきます。

「俺はインフルエンザじゃねぇよ。ただの風邪だって」

「そりゃ、分かるんだけどな。ウイルスって目に見えないしよ」

授業もあって、それから体育の時間のプールになりました。

まだ病み上がりだから今日は休みなさいと母親に言われて休む事にしてプールサイドで座っていました。

「つまんねぇの」

ヒュウ

すると他にクラスの女子の一人も座っていました。

「どうして休みなんだ?」

「えぇ!?それは!」

その女子は一瞬、信じられないというような顔をしました。

「お前も風邪なのか?」

「あ!そうそう。私も風邪。私も風邪」

「全くみんな、ひでぇよな。ただの風邪だってのにインフルエンザって決め付けやがってまるでばい菌扱い」

「そうだね。言われていたよね」

「お前は、そんな風じゃなかったから良いよな。でも、今、プール休んでいるから言われるぜ。きっと」

「私も?」

「多分な・・・」

みんな楽しそうにプールではしゃいでいます。

「ああ~。プール楽しみにしていたのにな・・・お前もプールに入りたいだろ?」

「うん。泳ぐの好きだから、見ているのって結構、ツライ」

「だよな?でも、今月はまだプールの授業があるから次に入ればいいか?次になる時は体調も万全だろうしな」

「うん」

プールの後、彼が言ったとおり彼女も避けられているようでした。ただそれが男子だけだったのは不思議に思いました。

天使の吐息 #22

2009-08-31 20:31:34 | 天使の吐息(詩)
一人の小学生の男の子がいました。

「暇だ」

一人とぼとぼと近所を歩いていました。

彼は夏休みが終わってすぐに終わらせていました。

友達の殆どは宿題に追われていて遊べません。

終わらせてしまっている友達もいるのですが外出中の為にに遊べませんでした。

仕方ないのでゲームをやりたかったのですが携帯ゲーム機を床に置いていて誤って蹴ってしまい、壊してしまって今は修理中

家にいてもゴロゴロするしかないので外を歩いていましたが退屈で仕方ありませんでした。

「明日から学校が始まる」

憂鬱でした。

毎日のように朝から晩まで遊んでいられたのに明日から学校が始まるのかと思うと気分は沈んでくるのでした。

ヒュウ

シャー

「あ・・・」

意中の子が自転車で走り去っていきました。

こちらには気付いていないようでした。

「そうか。みんなに会えるのか・・・そうだな。夏休みが終わればクラスの色んな奴らに会えるんだな。あの子にも・・・」

同じ友達ばかりと遊んでいたので明日からはちょっと新鮮な気持ちになれるかもしれないと思うと少し楽しみになってくるのでした。

天使の吐息 #21

2009-08-24 19:36:13 | 天使の吐息(詩)
花火をやっている親子がいました。

「ああ~!面白かった!それじゃゲームやるかぁ!」

「私にもやらせて~」

兄妹は花火を終えるやうちの中に入って行こうとしました。

「お~い。花火はまだ残っているぞ~」

「やっていて面白いのが終わったからおしまいなの!」

「おしまい!おしまい!」

バタバタとうちの中に入った兄妹はもうゲームをやってはしゃいでいるようです。

「はい。花火ご苦労様。ビール」

奥さんが椅子に冷えたビールを置きました。

「ああ・・・ありがとな。毎日毎日休みで遊んでいられる子供が羨ましいよ。こっちは仕事が終わって疲れているのにさ・・・色々やってコレだもんな」

父親は水が入ったバケツに残った花火をゴミとして捨てなければなりません。

「何、言っているの?」

少し呆れ気味で奥さんが答えました。

「小学生ぐらいに戻りたいって思わないか?お前だって休みの日は朝昼晩、子供の飯まで考えなきゃいけないだろ?」

「気持ちは分かるね。でも、人にはその時にしかない楽しみを味わえばいいんじゃない?」

「その時にしかない楽しみねぇ・・・」

プシュッ!ゴクッ

ビールを開けて飲みました。

ヒュウ

「そうだな。子供の頃、興味本位でビールを一口飲んだ事があるがあまりの苦さにこんなのを飲んで旨いと言える大人の舌はおかしいって思っていたが今じゃ、コレがないとな・・・」

「でしょ?」

「なぁ?花火やらないか?」

父親は線香花火を取り出しました。

「いいね。私にもビール少し頂戴」

「もう一本持って来いよ」

「一口ぐらいでいいの」

「はいはい」

それから二人はしみじみと線香花火を楽しむのでした。

天使の吐息 #20

2009-08-17 20:57:20 | 天使の吐息(詩)
小学生の少年が家族で海に来ていました。

「姉ちゃんはいいよな。泳げるからさ」

泳ぎが得意ではない少年は、憂鬱でした。

「砂や海水があるからってDS持ってきちゃダメって言われるし・・・」

しかも両親に言われ、携帯ゲーム機をホテルに置いて来る事になったので不機嫌です。

「砂で山でも作ろうかな?」

ヒュウ

「ん?」

暫く砂で山を作っていて一段落したところで手を止めると少し離れた所で同じように砂で山を作っている少年がいました。

良く見るとそっちの少年の方が大きい山のようでした。

ニヤッ

こちらと目が合うと自分の山とこちらの山と見比べてニヤッと笑いました。

『ムカッ!何だ!アイツ!』

暫く山を大きくしていましたが相手も大きくしていたために勝負がなかなかつきません。
面倒になったので山のてっぺんに木の棒を刺してみました。

『なかなかいいな~。なにぃ!?』

ニヤッ

相手の少年はこちらより大きく太い木の棒を刺していました。

『くそ~』

残念な事に周囲に相手の少年より大きな棒は見当たりませんでした。

『じゃぁ』

トンネルを掘り始め、ようやくつながりました。

『これでどうだ?って!おいおい!』

相手の少年は自分よりも大きな穴を掘ろうと必死になっていました。

その時です。

ドシャッ!

山が崩れ去りました。跡形もありません。

『フン。無理して穴を広げるからだ。ざま~みろ』

今度はこちらがニヤッと笑いました。

パタパタパタ

相手の少年は目を泳がせ、再び山を作ろうとしますがそう簡単にできるわけもありません。困惑した顔をしながら作っています。

『・・・』

無言で相手の少年に近づきます。

『!?』

相手の少年と一緒に山を作り始めるとキョトンとしていました。
二人は何も言わず山を作り、さっき一人で作った山よりも大きな山を作りました。

特に言葉を交わしませんが二人で満足げに笑っていました。

「お~い!ホテルに帰るぞ~」

お父さんが呼ぶので帰る事にしました。

その時に、相手の少年に手を振りした。

ブンブン!!

ニヤッ

「アイツ・・・」

少年より相手の少年の方が大きく手を振り、またニヤッと笑うのでした。

天使の吐息 #19

2009-08-10 21:39:01 | 天使の吐息(詩)
20代の男性がいました。

彼は、非常にイライラしていました。

「蒸し暑ぃ~。何でこんな時に限って部屋のエアコンが壊れるんだよ」

昨日の夜からエアコンが壊れてしまい寝苦しい夜を過ごしました。

次の日、軽く寝不足の中、修理屋に電話すると忙しくて修理に来るのは午後3時ぐらいだと言ったのです。

その際、彼は怒鳴りました。

「何ぃ!?一番暑い時間帯に修理が終わってなくてどうすんだよ!!」

電話に出た修理屋の人は謝り、それでも来てくれることになりました。

家にいても暑いだけなので外を出歩いています。

「仕方ない・・・コンビニで涼むか?はぁ・・・曇っているのに蒸し暑い」

見上げると、厚い雲が天を覆っていました。

ヒュウ

ザザザーササーザザー

「ん?」

見上げた視界に見えた木の枝

風に揺れて涼しげな音を立てていました。

「和むな~」

そこは公園であり、下は芝生であったので寝そべってみました。

ザザーササーササー

「なかなか、いいじゃないか?」

ミーンミーン

「セミさん、そこは静かにしてくれると嬉しいんだけどな~」

セミの鳴き声は気になるもののまったり3時まで昼寝することにしました。

天使の吐息 #18

2009-08-04 20:41:36 | 天使の吐息(詩)
近所の神社のお祭りで浴衣を着ている小学生の女の子がいました。

着付けを母親にやってもらいその出来に満足げ

学校の友達と待ち合わせしました。

メンバーは男女3人ずつです。
ちなみに男の子の中には意中の男子はいません。

「浴衣もカワイイけど帯も凝ってない?」

「そう?でも、私のもいいけど」

女の子はお互いを誉めあっていました。
男子は浴衣についてはノーコメント。出店の方が気になるのでしょう。
こういう時に一言でも言えれば印象が違うのですが・・・

「じゃぁいこうぜ!」

神社の鳥居をくぐり、屋台を回っていきます。

くじを引いてみたり、射的をやってみたり、楽しみます。

「おじさん。お好み焼き1つ~」

「あいよ」

ちょっとお腹が減ったのでお好み焼きを買って、ベンチで食べようと思ったときでした。

ドン!

人が多いので大人にぶつかりました。

普段、履かない下駄を履いていたので、バランスを崩してしまいました。転倒は免れましたがお好み焼きが落ちてしまいました。

サッ

「落ちたのは1秒ぐらいだちょっとだけだ!大丈夫!」

男の子の一人がお好み焼きを素早く、取っていました。

運よく、コンクリートの所に落ちたので砂もついていませんでした。

ですが、女の子の様子がおかしいです。

「どうしたんだよ。食えるって!大丈夫!大丈夫!」

男の子は女の子は落としたお好み焼きの事を気にしていると思ったのですがどうやら違うようです。

「あ・・・」

浴衣にべっとりとソースが付いていました。

「すぐに洗えば大丈夫!大丈夫!」

男の子に連れられて神社そばの公園の水道で洗ってみましたが染みは薄くなったのですが広がってしまいました。

「・・・」

自分で選んだお気に入りの浴衣が汚れてしまい、今にも泣きそうです。

「ま、まぁ・・・良かったじゃないか?」

「!?」

この状況で理解できない言動でした。

ヒュウ・・・

「浴衣は汚れちまったけど、お好み焼きでお前は火傷しなかったんだろ?焼きたてって熱いからな」

「・・・」

シャリシャリシャリ!!

「ってぇ~」

男の子は突如、持っていたかき氷を掻き込み、頭痛がしているようです。

「ゾンビ~」

舌を見せるとブルーハワイを食べていたようで真っ青でした。

「ハハッ」

女の子の沈んだ気持ちがちょっとだけ和みました。

つまらなければ押すんじゃない。

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