OGUMA    日々軌 小熊廣美の日々新

規格外の書家を自認している遊墨民は、書は「諸」であるという覚悟で日々生きている。

気楽に綴らせていただきます。

2センチ

2010年02月28日 | 書道・筆文字
見慣れていいものは……なに?
見慣れてしまうと、いいも悪いもわからなくなる。

いつも見える周りの景が、昨日と同じものにみえてしまうことを恐れ、朝起きるのが恐い。というようなことを言ったのは室生犀星だったか。

わが愛する小川町和紙体験学習センターの建物の一部は、今、改装中。
古い建物の良さを生かしながら、ケレンしてペンキを塗って、テーブル換えて……と暮れからやっているが、今、そのほとんどは、小川にアトリエを構える現代美術家の伊東さんの手に委ねられている。

「いやー、よくなったねー。見慣れているとわかんなくなっちゃうんだけど、とってもいい空間になった」と素直な感想をのべると「いやあー、あの(ランプの)コード、2センチ長いなー」と手直しを考えている伊東さん。
空間の見かたの鋭さは相も変わらずお見事。感心する。

建物も作品も、空間を見るんですね。

家に帰って、「開館中」「本日閉館」を、二三版和紙に書く。それが私の今日の仕事。
ちょっとデフォルメして今風になったと勘違いするのもいいけれども、これも書の使命なのだ。

みんなでいい空間にしよう、としている場に、ふさわしい字でありたい。




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