今日の一枚

 小さな幸せを
見つける名人になりたい

楽園(宮部みゆき)

2007-10-12 14:34:47 | 写真日記
 『宮部みゆき』は大好きな作家です。
久しぶりに長編のサスペンス物を読みました。

以前、「模倣犯」を読んだ時のドキドキ感が蘇ってきました。
この「楽園」もその時の登場人物が出ています。
メインの『前畑滋子』『秋津刑事』。
物語りも「模倣犯」で果した前畑滋子の役割が
時々、障害であったり、役にたったりと見え隠れします。

頭の中に入ってくる、人の暗い部分、
もちろん楽しい部分もなのでしょうけど、
人の記憶を読むことが出来る能力を持った少年。
彼は死んでしまったけど、それを本当に持っていたのか?と
それを知りたいと思う母。
たった二人で、生きてきた母は死んだこの子を、もっと知りたいと思う。

そんな事があるのか、どうかは解らないけど
前畑滋子の調べて欲しいと願うのです。

少年の見る世界は、絵の中に残されている。
残した絵には、悲しい少女の死が暗示されている。
実際にそれらしい事件は、報道されていた。
だからもしかしたら・・・この子がサイコメトラーかも。

この少年の、力の有無を調べることで、
明かされていく、事件の深層。

 話のはじめからサイコメトラーという、
とっぴのない事柄から始まる話に、なんとなく面白いのかな?
って思いながら、読み始めました。
私も不思議なものって、まったく興味がないわけではないのですけど。

それでも、内容はそのサイコメトラーの証拠集めが
トンでもない凶悪な事件へと繫がっていくのですから・・
宮部みゆきさんは、いつもすごいな~~って感じます。
悲しい母と子。
悪くなっていく子供の気持ちがわからない。
止められない素行。
どんどん、落ちていく子供。
もう、知らない、好きになれ、どうにでもなれ・・・
そう言えない、出来ない母。
そんな葛藤の中で、起こってしまった少女の死。

ほんとに、どうなるんだと最後まで息をつかせぬ展開でした。
解決することの出来ない家族の問題が
重く、重く心に残っています。

私は子供が三人。
長男、次男、長女。
曲がりなりにも、無事に成人しています。
それぞれに独立して、生活も営んでいます。
これはきっと、大変幸せなことだと思います。
いろんな心の揺れを、おかげさまで上手く乗り越えることが
出来たということでしょうか。
兄弟間の葛藤もあったことでしょう。

わが子が、手の施しようのない悪になっていたら・・
捨てることも、救うこともできない状況を
どう解決していたのでしょうか?