インドサイ
200頭からの回帰
インドサイは、ヒマラヤ山脈の南麓、湿地帯や沼地、その周辺に広がる草原に生息する。
高さ7メートルにもなる草の世界で、体長4メートル、体重2トンのインドサイは暮らしている。
インドサイは上唇が指のようによく動き、この口で草や水生植物を主に食べている。
また、下あごの門歯が牙びように鋭くなっており、攻撃には角ではなく、この歯を使う。
水を好み、泳ぎも得意で、長時間、沼地や川に浸っていることがある。
こうした水場は、特定の個体の縄張りではなく「公共の場」になっているらしい。
インドサイの減少が始まったのは、17世紀以降といわれている。特に、19世紀の末には、
草原が開発されて、人がサイの生息地に入り込み、狩猟が激増した。
20世紀初頭に確認された個体数は、200頭以下。
その後、百年にわたる保護は、ここから始まった。
活動の中心は、まず高価な薬の原料となる角を狙った密漁の防止と、いくつかの保護区での管理の徹底である。
WWFも1970年以降、インド、ネパール両政府の取り組みを全面的に支援。
ネパールでは一度絶滅した地域への再導入計画も手がけ、個体数の回復に努めた。
こうした幾多の努力が奏功し、2007年には、インドサイは2575頭まで回復した。
しかし、危機は去っていない。近年は、開発や家畜に放牧による生息環境の悪化が、密漁をしのぐ脅威になりつつある。
外来植物の侵入によって湿地の生態系が失われ、これが出生率の低下につながっているという報告もある。密漁も続いている。
何より、インドサイは、十数か所の保護区以外では、今では見ることができなくなってしまった。
現在の保護区以外の地域に、どうやってサイの生息域を広げてゆくか。
残されている課題は大きい。
分類:奇蹄目サイ科イッカクサイ属
学名:Rhinoceros unicornis
英名:Greater One-horned Rhino
分布:ネパール、インド北東部
WWFマガジンより
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