丘を越えて~高遠響と申します~

ようおこし!まあ、あがんなはれ。仕事、趣味、子供、短編小説、なんでもありまっせ。好きなモン読んどくなはれ。

さみしいぜよ~!

2010年11月29日 | レビュウ
 龍馬伝、終わりましたねぇ……。暗殺されるとわかっていてるのに、ドラマが進んでいくのがなんだか切なくて……。ぐすんぐすん。とは言いながら、壮絶な最期のシーンを意外なくらいに冷静に見ていて、あんまり涙がでることもなかったのが不思議でした。「ああ、時代はこうして流れて行くのね……」などと、妙にさみしい思いを噛みしめながら、血まみれの龍馬が息絶える様を眺めていました。

 それよりも、やってくれましたよ~! 期待通り!! 岩崎弥太郎~~~!!! 待ってました、名優・香川照之! あんたはえらい!!

 強すぎる太陽を憎々しげに見上げながら、地べたを這いずり回って、時々太陽に向かって悪態ついて、唾吐いて……。太陽の光が強ければ強いほど、地面に落ちる影の濃さもまた濃いのですよ。弥太郎の屈折した龍馬への憧れと尊敬と信頼を、見事に体現しておられましたなぁ。龍馬をつけ狙う見廻り組へ龍馬へのコンプレックスをぶつける弥太郎。その直後に龍馬のために必死でとりなす弥太郎。土砂降りの中、必死の形相で近江屋へ向かう弥太郎。龍馬の死を知って泥の中で泣き叫び悶える弥太郎。晩年、龍馬を罵倒しながら賞賛する弥太郎。豪華なベッドの上で、目を見開いて、歯をむいて、生きざまそのままに死んでいる弥太郎。
 正直なところ、龍馬が死んだ時には泣かなかったけど、弥太郎の一挙手一投足にやられました。色々な意味で、彼がいたからこそ福山龍馬が余計に輝いて見えたのです。それは間違いない。

 ええ~い! こん畜生め! 美味しいところ全部持っていっちまいやがって~~! 持ってけ、どろぼ~~!!
 
 弥太郎を観ているといつも思い出すのが、映画「アマデウス」のサリエリ。モーツァルトのあふれるばかりの才能と、天真爛漫な子どものような純真さに、とことん憧れ、嫉妬し、憎んだサリエリととてもかぶるのです。サリエリはモーツァルトの命を奪うという行為に確か及んだはず(なんせ大昔に一度観ただけなので記憶があやふや)ですが、弥太郎は自分を駆り立てる原動力にしていたのが大きな違いではありますが。
 普通は皆こっち側の人間なんですよね……。そう、強すぎる太陽を見上げる側の……。

 でも、太陽がなければこの世は暗いのです。龍馬~! 終わっちまってさみしいぜよ~!



 ところで話は変わりますが、幕末のうねりを作っていたのは三十歳前後の若者が中心なんですよね。確かに屍の山を築いて、それを踏み越えて作り上げた時代です。が、若者だからこそ出来たことでもあるのでしょう。
 混迷度で言えば、今の日本も幕末に変わらないくらいの混迷ぶりです。外国にはとことん弱く、国内では民のための政治ではなく、主権を誰が握るか、そればかりに時間を費やしている。幕末ととってもよく似た状況のような気がします。
 こんな時代だからこそ、やっぱり若い人たちがもっと真剣に「どうにかしなくちゃ」って思ってほしいですなぁ。公に対して、もっと怒りを持って欲しい。クーデターを起こせと言っているわけではなく、年寄りにまかせて、年寄りの作り上げたシステムで生きる事に甘んじていてはならんという事です。そりゃ、今の年寄りも昔は若者だったんですけどね。時代は生き物ですから、いつまでも自分達が若い時の時代の観念がすべてではない。それをわからせるのは、やっぱり次の世代を担う若者だと、おばちゃんは思うのですよ。ちなみにおばちゃんは十年後、二十年後の若者を今育てている最中です。もう少し待ってくださいな(笑)。それはともかくとして、まずは今の若者が、すっくと自分の足で立って欲しいですねぇ。太陽の光を受けて輝く星ではなく、自分自身が太陽になって欲しいものです。
 このぐちゃぐちゃになって滅びそうになっている日本を、明るい方向に導いてくれる龍馬のような若いパワフルなナビゲーターは今どこにいるのでしょうか……。その辺の植木鉢の下にでも隠れているのでしょうかね。早く出てきてほしいものです……。
 


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2 コメント

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Unknown (NAO)
2010-12-04 19:09:34
大河、終わっちゃったね~。今日お昼の再放送でまたみちゃったよ、最終回。一年ほんとはやいよね~。

龍馬と弥太郎、確かに 「アマデウス」のモーツァルトとサリエリ的な描き方でした。結局弥太郎がおいしいとこ持ってったのは 「ガラスの仮面」二人の王女で マヤ演じる光の王女アルディスより 亜弓さんの闇の王女オリゲルトの方が 役として美味しかった…とゆーエピソードを思い出したり…。

新撰組!作者さまが昨日の朝日夕刊のコラムで 龍馬と弥太郎は所詮どちらも勝ち組じゃん!ってなことを書いてて確かに…とちょっと笑いました。史実を色々脚色しているのはどちらも同じなのに龍馬は絶賛、自作は色々叩かれたことを今も悔しく?思っておられるみたいでした。結局 作家の品格の差?!とゆーオチでしたが…
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わはは (ちえぞー)
2010-12-04 23:21:50
>NAOさま
三谷さん、妬いてるのねwww。
別にいいじゃんね~。
新撰組!は、あれはあれで面白かったし、その後、あそこに出ていた役者達はかなり羽ばたいてるし、業界への影響力は大きかったんじゃないのかなぁ。
まあ、一般ウケはしなかったのかもしれないけど。

新撰組!は舞台の楽しさだったよね。
龍馬伝はドキュメンタリー的な醍醐味を味わえたかな。(カメラワークの勝利!)

どっちも良かったよ。うんうん。
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