丘を越えて~高遠響と申します~

ようおこし!まあ、あがんなはれ。仕事、趣味、子供、短編小説、なんでもありまっせ。好きなモン読んどくなはれ。

我が子

2009年04月30日 | お子様
 このところ立て続けに子供が虐待の末、殺されるという事件が続いている。いずれも母親の連れ子だ。どちらの母親も新しい夫の気持ちを繋ぐ事と我が子の命を天秤にかけた。「母」よりも「女」である事を選んだ末の事件とも言える。
 動物の世界では、時々オスが子供を殺してしまうということがある。メスが子育てをしていると発情しないためだという。それはともかくとして、発情したメスが自分の子供を殺してオスと交尾するなんて話はあまり聞いた事がない。子育ての期間、生物は基本的に「母」という役割を優先するのだ。
 が、この母親達は母という立場よりも女を優先してしまった。それは人としては勿論、生物としてもおかしいのではないか。いや、そんな事ではなくて、なんで母と女の両立が出来なかったのか……。

 母性愛神話を信奉する訳でもないし、それを他人に押し付けるのも趣味ではない。だが、自分で生んだ命でも、それは自分のものではない。子は個であり、独立した人間だ。その命を身勝手な理由で奪う権利は誰も持ち合わせていない。育てられないなら、いっそどこかの寺の前に捨てる方がまだましだ。その子は自分の人生を歩むチャンスがまだ残っているのだから(捨て子を奨励している訳ではありませんよ、蛇足ながら)。
 母親に虐待されながら、それでも全身全霊で母を求め慕い、いつかは抱きしめてくれると信じ、そして力尽きた子供の心情を考えると胸が痛む。そして同時にその母親達に対して、言葉に尽くせない怒りを覚える。
 
 母子関係は、問題が顕在化した母子だけの問題ではない事が多い。多くは、その上の世代、そのまた上の世代から何らかの問題を抱えて、それが水面下で綿々と引き継がれていくケースが少なくない。問題を起こした母親が、どういう成育歴だったか、それを遡って追跡していく必要はあるだろう。
 しかし、それはそれとして、こういう事件をなんとかして未然に防いで欲しい。恐らくまだ発覚していないだけで、同じような境遇にある子供達はまだまだたくさんいるはずだ。その子供達をなんとか救い出して欲しい。そうしなければ、その母親もまた救われない。そして、命を落とさないまでも、虐待の中で愛されることを知らずに育った子供達が、次の世代で加害者とならないためにも、この負の連鎖をどこかで断ち切らなければならない。そのために第三者がすべき事はなにか……。もし、知り合いの子供が同じ境遇にあるなら、私はその母子のために何をすべきか……。


 子供達が一心不乱にご飯を食べている時、何の穢れも知らない真っ白な寝顔を眺めている時、この子供達の姿を守ることが出来るのは親である私だけだという気持ちがあふれ出る。それと同時に子供達を守るために何が出来るだろう、そんな不安も覚える。未熟な私に何が出来るだろうか、守りきれるだろうか。自信があるわけではない。
 しかし、完璧である必要はないとも思っている。子供と親は同い年だ。一緒に成長すればいい。同じ方向を見ながら、時には並んで、時には少し遅れて、時々は手をつないで一緒に歩いていく。まっすぐ向き合い、目を見て話す。そうすれば特別な事をしなくても、子供達はきっとまっすぐ歩いて行ってくれる。そう信じている。

 今一度、子供達を抱きしめよう……。


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2 コメント

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Unknown (弥勒ぼさつ)
2009-05-03 11:09:14
 真剣にみていると、ご飯が喉を通らなくなりそうなんで、食事時はTVオフしています。

 昔は「しつけ」、でもそこには愛情がありました。私も、叱られて外へ出されたことはありますし、押入れに入れられたこともあります。
でも、ようく思い出してみると、母はいつも泣きそうな顔をしていました。母は母なりに一生懸命、幼かった私へ社会のルールを教えようとしてくれていたのだと実感します。

 行き過ぎた愛情か?果たしてそこに、愛はあったのか?当事者ではないので、深い事情はわかりかねますが、尊い命を奪ったということは、それが親であろうと子であろうと、反省の余地がなければ、厳罰に処せられるべきでしょうね。

 被害者のご家族に、心から哀悼の祈りを捧げると共に、今後はこのような悲しいニュースが
少しでも減っていくように、願ってやみません。
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愛情? (ちえぞー)
2009-05-03 21:47:28
>弥勒ぼさつ様
最近の虐待事件で必ず加害者の親が言うのが「しつけの一環で」なんですよね。

体罰を全面否定はしません。自分も体罰を受けた事はあるし、自分の子供にも手を上げる時はあります。でも、「かっとなって」「発作的に」手を上げることだけはないよう、心がけています。

少なくとも子供の身体に傷を残したり、命の危険を伴うような躾なんてもんはありえないと思います。

子供、守りたいですよね……。ほんとに。
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