丘を越えて~高遠響と申します~

ようおこし!まあ、あがんなはれ。仕事、趣味、子供、短編小説、なんでもありまっせ。好きなモン読んどくなはれ。

十五夜~月へのオマージュ

2005年09月19日 | 季節
 今夜は仲秋の名月だ。家の近所にある市の情報センターでお月様の観測会をしていたので一家総出で月見をした。思った以上に大きい天体望遠鏡が屋上に設置されていて、それを覗くと、眩しいくらいの大きな月が図鑑やテレビで観るようなお馴染みの表情で観る事が出来た。大小さまざまなクレーターや海と呼ばれる平原は、とても神聖な地のようだ・・・。

 私は月夜が好きだ。よく月のきれいな晩に一人ベランダで月を眺める。子供の頃はカーテンを開け放して、月の光を全身に浴びながら眠った。月の光は白くて透明で冷たい。その冷たさは静謐という言葉がふさわしく、その光に照らされていると自分の中の澱んだものがゆっくりと洗い流されるように思う。
 真夜中の中空高く浮かぶ月は孤独な存在だ。月の光は思いのほか明るくて、周りの星は影を潜めてしまう。白い光は意思を感じさせるような明るさで、全てを照らす。家々の屋根も木々も山の稜線も、全てがはっきりと見て取れる。しかし昼間の表情とはまた一味違っていて、視界に入る全てのものがゆっくりと息づいているかのように感じさせる。全てのものに精霊が宿っている事を信じさせる。月の魔力だ。
 ドビュッシーの「月の光」というピアノ曲がある。ゆったりとした旋律ときらきらしたピアノの音は聴くものを違う世界に誘う。そして、あの曲は私の中の月のイメージそのものだ。ドビュッシーもまた、月の魔力に魅せられた人なのだろうか。

 萩と月見団子を窓際に供えた。今夜の月は本当に美しい。ゆっくり眺めながら、夜更かしをしよう・・・。

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