丘を越えて~高遠響と申します~

ようおこし!まあ、あがんなはれ。仕事、趣味、子供、短編小説、なんでもありまっせ。好きなモン読んどくなはれ。

そして時代は流れるのだ

2010年03月25日 | 四方山話
 アメリカで電子書籍を見るためのポケットサイズの電子機器が着々と成長しているらしい。だいたい単行本サイズの大きさで、厚さは一センチもなさそう。重量も本ほどはなさそうだ。携帯電話や電子手帳と違って、ボタンが少なくて操作が簡単。でもインターネットにつながってその機械で直接電子書籍が購入できて、読めるらしい。これって、要するに、i-podみたいなモンなんですかね? って、i-podは持ってないですけど(笑)。
 あまり電子機器に興味のない、超アナログの私ではあるが、この商品には少々気を惹かれた。
 まず視覚的に本のページを見る感覚で画面を見ることが出来るというところ。この機械なら、画面に本のページがそのまま映っている感じなので読みやすそうだ。それも、フォントを変更できるという。老眼でも読めるぢゃないか!
 小説をまがいなりにも商品として「出荷」している身なのでこれは重要なのである。「薔薇の紋章」も電子書籍化しているが、これは正直売れるはずがないと思う。
 そもそもケータイ小説というのは携帯電話で読むことが前提なので、普通の本を電子書籍化したものを携帯電話で読むと気が狂いそうにしんどい。私の作品は皆さんご存知の通り、結構一文が長いし、まわりくどい書き方や描写が多いというのも特徴なので、こんなモン携帯の画面ではとても読む気にならないと思う(自分で言ってどうするよ)。だからといって、全ての作品をケータイ仕様で書くというのは有り得ない。ケータイ小説を否定する訳ではないが、やはりああいう短文と行間で構成されている文章では日本語本来の豊かな表現が収まりきらない。三島由紀夫をケータイ小説風に書いたらどうなるか。絶対に訳がわからなくなるって(笑)。それでは本当に書きたいことの十分の一も書ききれない。
 それから価格設定! 例えば1400円の単行本を電子化すると、その価格は実に500円程度に抑えられる。1400円が500円でっせ! で、印税は一緒(爆)。
 それはいわずもがな、中間業者がないから。
 作家→出版社→印刷所→取次店→書店→読者 という工程が、
 作家→出版社→読者 にまで縮まる訳だ。
 それに加えて、紙代、印刷代、運送代、倉庫代が省ける。そら、価格も安いっちゅうねん。
 私の周辺なんぞは「大阪は踊る!」を見て、
「高いねん! 図書館で借りるわ」
 と、著者を前にしゃあしゃあと言ってのける人(笑)ばかりなので、こういうルートで購入出来るなら皆買ってくれるに違いない。……多分。

 もっとも少々気になるのは電子書籍になると低品質の本がバンバン流通していくだろうということだ。コストがかからない分、出版社も校正なんかにあんまり力を入れないでポッポッポッポと出版してしまうのではないか? 正直、ケータイ小説の世界なんぞはあまりにたくさんありすぎて、いい作品もクズみたいな作品も一緒になってしまっていて、いい作品を見つけるのが至難の業だ。だとすると、せっかく睡眠時間と体力を削って生み出した作品が結局存在感なし!という事も大いにありうる。これはもう、出版社さんに気合を入れて管理してもらうしかないね。

 しかし、こうして時代は変わっていくのですな。携帯電話が普及して公衆電話が世の中から消えたように、携帯やi-podが普及してきてどんどんCDが売れなくなっているように、紙の本ももう二十年もしたらこの世からなくなっているかもしれない。
 ただでさえ厳しい出版業界だが、この流れにどう乗るかで生き残れるかどうかがかかってくるのだろう。
 ……大丈夫かな、アルファポリスさん。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (miyu)
2010-03-29 12:41:07
うん、うん、大丈夫か、うちの会社

あ、ども、ご無沙汰してましたmiyuです
ちえぞーさん、元気そうでよかったです
返信する
お久しぶりです (ちえぞー)
2010-03-29 16:09:50
miyuさま
お久ぶりです~。
そうだ、miyuさんは本屋さんでした。
本屋さんにも厳しいツールですよね……。
子供の頃、近所の本屋さんで
二時間三時間立ち読みしてました。
それも週に二回くらい(笑)。
でもオッチャンは嫌がらずに
「また来たんか~」
と温かく迎えてくれました……。

その本屋さんも私が大人になる頃には
閉店してました……。

本当はやっぱり本が好きなんですけどね……。
返信する

コメントを投稿