丘を越えて~高遠響と申します~

ようおこし!まあ、あがんなはれ。仕事、趣味、子供、短編小説、なんでもありまっせ。好きなモン読んどくなはれ。

そこにいる……

2010年05月27日 | お仕事
 仮にAさんとしよう。彼女は私の担当する利用者さんのお一人。九十歳近いので身体はあちこち痛いところだらけだが、頭の方はいたってしっかりしておられる。
「あんた~、先週休みやったなぁ。確かその前には休むとか言うてなかったから、どないしたんやろって思っててんで!」
 それくらいしっかりしたお姉様である。
 今日も世間話をしながらお姉様のリハビリをしていると、しみじみとこうおっしゃるのだ。
「最近なぁ、死んだ人ばっかり見るねん……」

 老年期になると死んだ人がよく夢に出てくるようだ。他の利用者さんもよくそうおっしゃっている。

「ちゃうで、何言うてんの」
 Aさんは口をとがらせる。
「夢ちゃうがな。この部屋におるんやがな」

 ……はい?

「死んだ金物屋のネエチャンが、おるやんか」

 おるやんかって、ここに?

「アンタのとこ!」

 はい??

「アンタの後ろに立ってるがな」

 ……。

 慌てて振り向くが、そんなモンがいるはずもなく。

「ようけ来てはるがな。横にもほら。ベッドのところにもいはるし」

 やめて~~~~~(涙)。そんな怖いこと、言わんとって! サブイボ立つわ!!
頼むから、うちに憑いてこんように言っておいてね。

「アンタに憑いて行ってもエエって言うとこか?」

 や・め・て……。そんな怖すぎる……。こんな寒い日に、そんな寒い話をするなんて、Aさんのいじわる(涙)。

 帰りの車に乗った時、思わずミラー越しに後部座席をチェックするのでありました(笑)。


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