さくら さく

　公園の桜の枝にぽつりぽつりと白い花が咲き始めた。なんだかポップコーンが弾けるような、待ってました！というような弾けっぷりに見える。この三日程で一気に花が咲きそうな気配だ。

　公園の桜も素晴らしいが、我が家にもさくらが咲いた。まずはチビ子の発表会。色々と気を揉みながら迎えた本番。お父さんの猛特訓に耐えた成果が現れたようだ。ノーミスで見事「花のワルツ」を弾きこなした！よくやったぞ、チビ子！！
　舞台を終えて私の顔をみるなり、にやり・・・と勝ち誇った笑顔を見せた。何かにつけ自信のない我が娘が、あんな顔を見せるのは珍しい（笑）。本人としても会心の出来だったのだろう。その後しみじみと、
「やっぱり心で違うんやなぁ。最初の発表会は『きっと失敗するわ』って思ってたら失敗して、去年は『また失敗したらどうしよう』と思っていて失敗してん。でも今年は何でかしらんけど『絶対いける』って思っててん。そしたら完璧やったわ～。」
　と言っていた。そうだよ、その通りやで、チビ子よ。その意気で新しい環境に臨んでおくれよ。

　そしてもう一輪、さくらが咲いた。実家の母が介護福祉士の国家試験に合格した。二年かけてNHKの通信講座に取り組み、この一月に国家試験を受けたのだ。この四年ほどの間に住環境コーディネーター２級と介護福祉士の免許を取った。
「全部取る頃には自分が介護される側になってるで～。」
　と、最初はからかっていたのだが、六十歳を越えているにも関わらず、父の介護と弟の店の手伝いをしながらよくもまぁ、やり遂げたものだ。自分の親とは言え、大したものだと感心する。
　父の介護がようやく終ってまた他人の介護をするという・・・。偉いというか物好きというか（笑）。仕事にどっぷりハマルつもりはないらしいが、ぼちぼち探していくらしい。
　楽しく働けたらいいね。でも孫の子守もよろしくお願いしますぜ！

　そんなこんなで私の周囲ではささやかな花が咲き始めている。・・・私も一花咲かないかな～。