脚本:井上ひさし、演出:蜷川幸雄、出演:唐沢寿明・藤原竜也・篠原涼子・夏木マリ・高橋恵子・勝村政信・木場勝己・白石加代子・西岡徳馬・毬谷友子・他いっぱい
この面々を見ただけでも、ちょっと演劇に興味がある人は「うひゃ~!こりゃ見なくちゃ!!」と思うだろう・・・。そんな訳で目が飛び出る程の値段(16800円)ではあったけれど先行予約でチケットをゲット。千秋楽に行った。総括を最初に言ってしまうと、賑やかで勢いがあって、とても楽しめた舞台だった。
さて、物語の大筋はというと、天保十二年の下総は清滝村という宿場町を舞台に、紋太一家と花平一家の血で血を洗う抗争が繰り広げられ、その混乱を踏み台にして上り詰めていく男の話になっている。題名の通り、シェイクスピア全作品37作があちらこちらにちりばめられており、中心となっているのは『リア王』『ハムレット』『マクベス』『ロミオとジュリエット』『オセロー』である。これらのエッセンスが入れ替わり立ち代り縄を綯うように組み上げられて展開していき、最後には主要人物全員が死んでいるというシェイクスピア悲劇にふさわしい(?)怒涛の大団円を迎える。その物語が宇崎竜童の時にはタンゴ、ある時はボサノバ、またある時には歌謡曲なバラエティに富んだ歌と音楽に乗って勢い良く繰り広げられていく。4時間の長丁場だが、テンポ良く、笑いもたっぷりなので長さを感じさせない(お尻は痛い!床ずれになるかと思った・・・)。
何が凄いってアナタ。もの凄く猥雑というか下品というか、露出度が高くてびっくり。藤原竜也はあの可愛らしい顔で唄い踊りながらマイケルも顔負けの勢いで腰を振りまくり、唐沢寿明はとってもふくよかな女郎(栗田愛巳さん・多分)の生乳をもみしだき、前から後ろから・・・うぅ、これ以上は表記できない(汗)。(この女優さんはその後やっぱりオッパイ放り出し状態で藤原竜也にも押し倒されて組み敷かれていたという、大変な役・・・)流れてくる歌は「これはNHKでは放送でけへんやろ・・・。(*)」というようなかなり卑猥な内容の歌詞。舞台全体が「WAHAHA本舗の舞台ですか、これ?」と一瞬思うようなエロエロぶり。でも、これがなんと言うかお祭り状態で、良い感じ(笑)だったりする。考えてみればシェイクスピアの芝居も本来は庶民の楽しみだったわけで、これくらい猥雑だとしても許されるかな?という気になる。
個性的な俳優さん達ばかりなのでどの人も物凄く存在感があるのだが、個人的には白石加代子と夏木マリに目が行った。白石加代子の役回りは『マクベス』の魔女と『夏の夜の夢』のパックを兼ねた老婆なのだが、妖怪女優(笑)にふさわしい妖怪ぶりで笑える。夏木マリは『リア王』のリーガンと『マクベス』のマクベス夫人的なポジションだった。マクベス夫人が好きなキャラクターであるのと、夏木マリが何故か好きというそれだけの理由だがとてもチャーミングだった。ちなみに私は夏木マリと誕生日が一緒だったりする(笑)。どの役者さんについても一言二言コメントできるくらい、どの人も印象に残る仕事だった。素晴らしい!ブラボォ!!
ただ、シェイクスピア好きの人には少々味気ないというか物足りなさを感じさせるかもしれない。私も子供の頃からシェイクスピアが結構好きなので、ハムレットやらリア王やらを色々な演出で見ているし、戯曲を読んだりしたクチだ。シェイクスピアの醍醐味は物凄い勢いで流れてくる言葉の濁流に飲み込まれ押し流され、あれよあれよという間に話に引き込まれ、人間の愚かさ、哀しさ、滑稽さといった普遍的な人間の本質のようなものを思い知らされるところだと私は勝手に思っている。が、この作品はいわば「シェイクスピア・メドレー」なので、「このセリフはアレだな。このシーンはアレだね。」という宝物探し的な楽しみはあるのだが、それで終始してしまう感があり物語自体に感銘を受けるという類の芝居ではないように思った。だから16800円をもう一回払って再演を見に行くかと聞かれると多分「NO」というだろう。(10000円なら行くかもしれないけど。)
それとおまけの文句を。今回二階のテッペンというとてつもなくイケテナイ席だった。役者が花道に下りたら何も見えない。にもかかわらず、一階席も二階席も同じ値段、全席同じ値段というのは頂けない。これだけの顔ぶれだからギャラも相当だろうが、だったらカーテンコールの一回は二階席まで上がってくるとか、もうちょっとサービスしてほしいものだ。その辺は劇場側にクレームですな。
ま、少々辛口なコメントではありましたが、たくさん笑えて面白かったというのは本当だ。・・・でも私はやっぱり普通にシェイクスピアを楽しむ方がいいかな(まだ言うか)。
*NHKでは放送できなくてもWOWOWでは放送するようです。十二月二十三日(祝)放送予定だそうで・・・。うちは見られないけど・・・。
舞台みてきたのね。楽しかったようですな~。
ワタシはWOWWOWで見ます。(しかも 実家の母に頼んで録画したやつ)
年明けは レ・ミゼ!やっぱ、舞台は高いけど
こちらは イケテル?席ですぜ~。一緒にどっぷり楽しみませう。
レ・ミゼはメチャメチャ楽しみですよ。またしても号泣するのかと思うと、バスタオル持参でしょうかね、今回も。そして一週間は車の中で歌いまくっている事でしょう。気分はエポニーヌってか~?
本田美奈子嬢はお気の毒でした。彼女のエポもしくはフォンティーヌを見てみたいものでした。合掌。
レミゼは先行で取りましたが1階ど真ん中って感じですが、一番舞台を観るにふさわしい席かと…思って喜んでいます。
また感想なんぞボチボチ覗きに来させていただきます
もこ☆もこさまも、レミゼ・バスタオル同盟(?)に名を連ねて下さいませ。ちなみに会員は私だけですが(笑)。
冗談はさておき、生の舞台はなかなか値がはりますので、そうそう気軽にはいけません。専ら他人の感想を読んで観に行った気分にひたっております。もこ☆もこ様の感想もまた楽しみにさせて頂きますね。
パソコンが壊れてしばらくご無沙汰しておりましたが
お元気でしたでしょうか?
『天保~』ご覧になったんですね!
NHKでは無理な感じだったんですね・・。悲しや
とても満喫されたみたいで。でもチケット代が痛いですよね。。せめて2階席は半額くらいにして欲しいですねぇ。
ほんまに、高いですよ。せめて二階の通路に役者さんが上がってくるサービスでもあれば許したる!って感じですが。