丘を越えて~高遠響と申します~

ようおこし!まあ、あがんなはれ。仕事、趣味、子供、短編小説、なんでもありまっせ。好きなモン読んどくなはれ。

十二年

2007年01月18日 | 四方山話
 阪神淡路大震災から十二年が経つ。ひどい地震だった。私が住む南河内では震度4ほどで大きな被害は無かったが、それでも今のところ経験した中では一番よく揺れた地震だ。

 ちょうどテストの初日で神経内科の勉強をしている最中だった。地鳴りが聞こえた。初めは大型トラックが走ってくる音だと思った。家は大きな道に面していたので、よく大型車が通る。いつものトラックだと思ったのだ。それがどんどん大きくなり、「どんなデカいトラックや?」なんて間抜けな事を考えた途端、大きく揺れた。ゆらゆらと揺れる食器棚とガチャガチャという食器の音。石油ストーブの上の鍋が大きく揺さぶられて湯を撒き散らし、シュンシュンと蒸発する音が響いた。とっさに食器棚を倒れないように押さえ、ストーブの非常消火ボタンを足で押し、冷汗をかきながら揺れが治まるのを待っていた。
 テレビをつけるとブラックアウトしている。故障か?と思いきや、パニックになったスタジオの音声だけが聞こえてくる。「テレビはダメや。」ラジオに切り替えると、東京発信の番組が流れていて、地震なんて何処吹く風・・・。「あかんわ、こりゃ。」
 六時を過ぎてようやくラジオが大阪発の番組に切り替わった。パーソナリティが到着してない。携帯電話でスタジオのアシスタントに連絡が入った。
「神戸は大変な事になっています。阪神高速が倒れています!」(毎日放送)
 悲痛な叫び。耳を疑う内容。後日知った事だが私の聴いたこの放送が、あの震災の様子を伝える一番最初の報道だったらしい。
 状況がわからないまま、とにかくすぐに家を出た。何故か動いている近鉄南大阪線(笑)。それに乗ってとりあえず阿部野橋まで出たが、そこで全てが止まっていた。地下鉄はシャッターが下りて、JRは水漏れで構内はべちゃべちゃ。天井からはなにやら太いパイプが傾いて落ちかけている。右往左往する人々。信号は止まり、車もまばら。交通機関は完全に麻痺していて、そこから先には一歩も進めない。北摂にある学校になんて行ける訳もない。テストも勿論延期で、全員自宅待機・・・。

 学校が再開してからも地震の痕跡はあちこちに長く残っていた。JRから見える阪急の車庫では恐らく倒壊した伊丹駅から回収したのであろうボロボロに破壊された車両がいくつも運び込まれていた。大阪駅では着の身着のままの疲れ果てた人々が大きな荷物を持って、避難先へと向かう姿が多く見られた。
 実習で行くはずだった西宮の病院は大きな被害を受け、実習先が変更された。

 全てが昨日のことのように思い出される。

 当時は私は独身だった。言ってみれば身軽な立場だ。でも今は違う。子供達がいる。もしもう一度、あんな災害が起こった時、私はどうしたらいいのだろうか。子供達を守りきれるだろうか。仕事中に起こったらどうしたらいいのだろう。全てをほっぽって子供達の元へと走るのだろうか。それとも目の前の利用者や負傷者のために奔走しているのだろうか・・・。子供達の安否を気にしながら、動けない状況にいるという事も大いに考えられる。改めてそんな事を考えるととても恐ろしい。
 東南海地震が近いと言われている昨今。具体的にどうしたらいいのかを考えていく必要があるのだろうな・・・。そんな事を考えさせられた十二年後の今日だった。
 


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4 コメント

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運命の日。 (アクア)
2007-01-18 01:49:43
ちえぞー様こんばんわ。

あの日からもう12年も経過したのですね。
本当に昨日の事のようです。
色んなことを結構忘れていく性質なのですが
あの地震の感じだけは忘れられません。
ちえぞー様は当時学生だったのですね。
私は社会人一年生で映画館勤めをしていた頃です。
当然上映していてもお客さんは入らず
なんだか映画館で働いている事が少し罪悪感すら
感じていた様な記憶があります。
そしてしばらく経ってサリン事件・・。
天災は防ぎようがないけれど人災だけは
発生しない事を(天災も嫌ですが)願うばかりです。
長々と失礼しました。
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時は経てども・・・ (machiko)
2007-01-18 10:07:06
 私もブログに大震災の話を書きました。やっぱり忘れられない出来事です。幸い大きな被害は無かったけれど、自分に何ができるかと考え、結局ぬくぬくとした家で現地の様子を眺めることしか出来なかったことを憶えています。もうあれから12年なんですね。でもつい昨日のことのように思い出すのは、それだけ沢山の人の命が失われたからでしょうか。天災は避けがたいことだけれど、災いが無い1年を祈りたいと思います。
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人事とは言えない (takky)
2007-01-18 11:45:06
うちは関東大震災の被害が大きかったところで、ここ80年くらい大震災が起きていなく、いつ大地震にみわれてもおかしくない地域。
明日はわが身かも知れない。海も近いので地震が終わった後は津波の心配もしなきゃいけない。
避難所まで10分かかるので、その間に津波に襲われる可能性は大有りだ。
毎年する、初詣では家内安全を願っている。天災には神頼みしかないかな・・・。
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天災は忘れた頃にやってくる (ちえぞー)
2007-01-18 23:44:07
アクアさま・machikoさま・takkyさま
 関西人には多かれ少なかれ忘れられない記憶ですよね・・・。関西には大地震は来ないという、妙な自信が見事に打ち砕かれた日でもありました。
 政府が東南海地震や首都圏を襲う直下型地震の警告をこの十年いやというほど出していますが、どれほど私達は真剣に受け止めているかは正直疑問ですよね・・・。だってその証拠に家具の地震対策、出来てないもん(汗)。
 何か起こっても、なんとか生き延びて明日につなげていきたいですね。うん。
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