好きなクリスマスソングはたくさんあるけれど、「牧人羊を」も大好きな歌のひとつ。歌うとなぜか途中から涙声になってしまう。
羊飼いになりたい、と昔から思っていた。飼っている羊の毛を刈って紡いだり編んだりフェルトを作ったりという生活がしたいなあ、と思っていた。
私の母が子供だったころには、家で羊を飼って自家用にホームスパンの布を織ったりするのが北海道の田舎ではわりとありふれたことだったらしい。毛の油で鋏がすぐ切れなくなってしまったことなど話してくれるのを、子供心にうらやましく聞いていたものだ。
カウスティネンの楽器博物館を見学したとき、5弦カンテレの先生だったアンティ・ケットゥネンさんが案内してくださって、ウィローフルートや角笛などいろいろな笛を見せて説明してくださったり、ときどき実際に吹いてくださったりしながら、「ほら、羊飼いは羊を放牧しているあいだじゅう、楽器を作ったり奏でたりする時間がたっぷりあったから、こういう楽器が発達したんだね」とおっしゃったときには、心底、羊飼いになりたいと思った。
アンティさんは5弦カンテレのミックススタイルの名手で、アンティ・ラントネンのマズルカや熊まつりのポルスカを彼に教えていただいた。懐かしい。