三者構成自治を否定する坂内副学長の暴挙!
~5・14副学長ミーティングで抗議の声をあげよう!~
来週5月14日(水)に、これまでの定例副学長会合(教育・学生担当副学長と院生・学部生自治会との毎月の会合)を改組した「全学生・副学長ミーティング」第1回が開催されます(16:20~@本館22番教室)。しかし、下記で詳述するように、制度改変にあたってのこれまでの手続きや新たなミーティングの内容には、三者構成自治の原則(注)を真っ向から否定する極めて重大な問題が含まれています。端的に言えば、坂内副学長は自治会との合意形成プロセスや学生委員会の教員の間での議論を完全に無視し、坂内副学長の個人的な見解のみに基づいて制度改変を強行しようとしています。その結果、これまで大学側と学生・院生側が対等の立場に立って大学の意思決定プロセスに関わる場の1つであったはずの副学長会合の位置づけが変わり、大学がトップダウンで意思決定を行うにあたって私たち「お客様」の意見を聞くにすぎない、タウンミーティングのようなものになる恐れがあります。まさに学生自治を否定する暴挙です。
院生自治会理事会は、このように学生・院生の意見を無視して開催される「副学長ミーティング」を到底認めるわけにはいきません。しかし、だからといって「副学長ミーティング」をボイコットするのではなく、むしろそこに出席し、坂内副学長に対して明確に抗議の声を挙げることこそ、学生自治を守るために必要な選択であると考えます。
そこで、院生のみなさんに呼びかけます。5月14日の「副学長ミーティング」に参加し、坂内副学長の暴挙に批判の声を上げましょう。そして新しい副学長会合が、三者構成自治の理念に基づいて、学生・院生の声を誠実に反映するものとなるよう働きかけましょう。
以下では、この問題の経緯と問題点について詳述いたします。長文になりますが、大学自治、ひいては私たち院生の研究・教育環境にかかわってくる重要な問題ですので、ぜひ目を通してください。
(注)三者構成自治の原則
大学運営のあり方は、大学を構成する全ての人々、すなわち教員・学生・職員の三者の意見に基づいて決定されるべきであるという原則。教員の意見だけで大学を運営する「教授会自治」への批判から生まれたもので、戦後の一橋大学において学長選挙制度などを通じて具体化されてきました。1969年に大学当局と自治会との間に交わされた「三・一確認書」(資料4)で確認されています。
1.ことの経緯
(1)坂内副学長からの提案
現在、院生自治会、学部自治会と教育・学生担当副学長(現在は坂内徳明・言語社会研究科教授)とのあいだで、毎月定例の会合が行われています(これを自治会では「副学長会合」と呼び習わしています)。今年2月の副学長会合の際、坂内副学長から、4月からこの会合のあり方を変え、全学生・院生が出席できる場にしたいので理解して頂きたいという提案が口頭でなされました。これに対して自治会が、このような重要な事項は口頭ではなく、まずは文書で提示してほしいと要求した結果、3月会合では、新しい形態の会合の趣旨について、坂内副学長名での簡単な文書が示され、5月からの開催が提案されました(資料1)。
(2)坂内副学長と院生・学部生自治会との間の基本的な合意
院生自治会としては、坂内氏の提案に対して、手続き上・内容上の問題を指摘しつつも、全院生に出席と発言の権利が保障される会合の場が設けられることには大きな意義があると考えています(これまでにも自治会理事以外の学生の出席を認めるよう大学側に求めたことがありましたが、そのときには大学側が難色を示していました)。そこで院生自治会理事会は、4月9日に開催された副学長会合に臨むに際して、新しい会合がこれまでの会合の基本的性格を継承し、かつ大学側が学生の声に対して誠実に責任をもって応える場となることが保証されるのであれば、そのかぎりで制度変更を承認するという態度を選びました。この日、新しい形態の副学長会合が満たすべき要件についてかなりの時間をかけて議論した結果、以下の事項が坂内副学長と学部・院生自治会との間で合意されました。
【4月9日の合意事項】
1、会合の名称を「全学副学長(教育・学生担当)会合(仮)」とする。
2、会合は三者構成自治の理念に基づいたものであること、また三者のうち学生の代表権が自治会にあることを確認する。
3、開催の頻度は月1回とする。
4、全学生に出席と発言の権利があることを確認する。
5、司会は、大学と相談の上、自治会が行う。
6、会合のあり方を変更する場合は大学と自治会との合意を必要とすることを確認する。
7、会合の場で出された要望や意見に対して、副学長は誠実に責任をもって回答する。
(3)翌日、坂内副学長が合意を覆す
ところが驚くべきことに、その翌日(4月10日)になって、上述の合意事項を根本的に否定する内容の文書(4月9日付)が、坂内副学長より学生支援課長を通じて理事会に提出されたのです。(資料2)。その要旨は以下の通りです。
・前日の副学長会合の場で、坂内副学長と自治会との間で大まかな合意が得られたことは有意義であった。しかし提案の細部に関して意味不明の箇所があるので、この文書で改めて副学長の見解と方針を示しておく。
・この文書で示す見解は学生委員会の見解でもある。
・合意事項のうち2について、三者構成自治の三者のうち一者は「学生」であると認めるが、全学生の代表が自治会でしかないことは、現況においては認められない。自治会は、全学生の代表を志向する有志団体というべきものである。新しい「ミーティング」において全学生に出席と発言の場を提供するのは、この認識に基づいてのことである。
・合意事項の6について、「ミーティング」の実施方法は基本的に主催者側が決める。その際、できる限り自治会の都合は尊重する。
・合意事項の7について、回答する必要のあるものに誠実に答えるのは当然だが、「ミーティング」で出されるすべての要望や意見に回答する必要はない。
この文書に示されている坂内副学長の見解は、後述するように多くの問題を含んでいます。しかし文書の内容以前の問題として、副学長会合の場で時間をかけて議論し合意した事項を翌日になって覆すという坂内副学長の態度はあまりに不誠実であり、このような態度をとられては、坂内副学長と自治会との間で信頼と責任に基づく通常のコミュニケーションを続けることすら困難になってしまいます。
(4)学生委員会への質問状と、それに対する坂内副学長の回答
4月9日付の坂内副学長の文書には、4月の副学長会合で確認された合意事項を否定する内容について、それが坂内副学長だけでなく学生委員会の見解でもあるということが明記されていました。しかし、この文書が、坂内副学長と自治会との間で合意に至ったその日のうちに書かれたものである以上、この文書に表明された見解が学生委員会での審議を経たものであるはずはありません。また、この文書にかぎらず、これまで坂内副学長は、副学長会合の制度変更についての坂内副学長の提案が学生委員会の承認を受けたものであることをたびたび主張してきましたが、これまでのやり取りを振り返り、また学生委員会委員の教員の意見を聞くと、その信憑性が疑わしく思われます。院生自治会は、坂内副学長の見解が本当に学生委員会での審議と承認を受けたものであるのかを確かめるため、4月16日に開催された学生委員会に質問状を提出しました(資料3。なお、この質問状は理事長名で提出)。
この質問状に対して、4月24日、坂内副学長(学生委員会委員長でもある)から回答が示されました。しかしその回答は、「この質問状に対して回答する必要はない」という驚愕すべきものでした。これ以上に不誠実な「回答」を想像することは、もはや不可能です。
この日の院生自治会と副学長とのやりとりは以下の通りです。
自治会:質問状に答える必要はないとはどういうことか。
副学長:質問状の個々の内容について回答する必要はない。今までのやりとりですべて説明されている。
自治会:「今回の質問状に回答する必要はない」というのは学生委員会で審議を経た結果下された委員会としての回答なのか。
副学長:それは私の個人的な見解。学生委員会での意見を私が集約したもの。
自治会:4月10日に、なぜ前日の合意事項を覆すような文書を出したのか。
副学長:4月9日の副学長会合の場で6点の合意をしたのは確かだが、会合の場では読み違いなどもある。翌日の文書で合意をひっくりかえしたとは思わない。
自治会:9日付文書の内容が、「学生委員会の見解」でもあると書かれている。学生委員会の議論を経てこのような見解を出したのか。時間的に無理ではないか。
副学長:学生委員会を開いたのは4月16日。4月10日の文書については事後承諾かもしれない。もっとも、何人かの委員にはあらかじめ相談した。
自治会:副学長会合は三者構成自治の原則に基づいて、学生・院生と副学長が対等・平等の立場でやってきたもの。新会合を開催するにあたって、それを踏襲するというのであれば、最低限双方が対等の立場に立ち、合意を図りながらすすめていきましょうという自治会の提案を、なぜかくも拒絶するのか。
副学長:副学長会合が三者構成自治に基づく慣行であるというのは自治会側の考え。副学長会合は何かを決めるとか、文書で確認するとか、学生が交渉するとか、そういう場ではない。情報交換、意見交換の場。信頼関係を築く場。
自治会:坂内副学長への信頼はもうなくなってしまった。
副学長:なくてもいい。
自治会:合意事項が撤回された以上、5月開催はないと考えてよいのか。
副学長:新しい会合は予定通り5月14日から開催する。新しい形の会合は5月からはじめるが、それでは自治会はテーブルにつけないというのであれば、それは仕方ない(自治会欠席でもやる)。
2006年度の副学長選挙の際、坂内副学長は学生投票管理委員会からの公開質問状に対して、現行の副学長会合は「継続・維持すべきと考えます」、三者構成自治の原則を確認した三・一確認書(資料4)を含む「確認書の合意は、現行のルールとして今後の話し合いの前提として位置づけられるはずです」 などと回答していました。しかし、以上のやり取りからわかるように、彼が三者構成自治に対して理解もないし、それを尊重する姿勢もないことは今や明らかではないでしょうか。現行の副学長会合を改変するにあたって、しきりに「学生支援の充実」を根拠にしてきた坂内副学長ですが、そもそも学生・院生と対等に話し合う態度を坂内副学長が持たない以上、このミーティングを通じて本当に充実した学生支援制度が形成されるのか、強い不信を感じざるをえません。
【この問題の経過】
2/13(水):定例副学長会合において、坂内副学長より新会合(開催は4月)について口頭で提案がなされる。理事会は書面での提出を要求。
3/19(水):定例副学長会合において、坂内副学長より書面で正式な提案を受ける(開催は5月)。理事会は持ち帰って対応を協議したい旨を伝える。
4/9(水):定例副学長会合において、理事会・学部自治会と副学長との間で新会合の基本点について議論し、合意を結ぶ。
4/10(木):副学長より合意を覆す文書(4月9日付)が支援課を通じて理事会に提出される。
4/15(火):理事会は質問状を学生委員会宛に提出。
4/16(水):院生総会で特別決議を採択。学生委員会開催。
4/24(木):坂内副学長(学生委員長)より質問状に対する回答(「回答する必要はない」)。
5/14(水):「全学生・副学長ミーティング」第1回開催予定。
2.問題の所在
以上、この問題の経緯をたどってきましたが、以下では三者構成自治の観点から、坂内副学長の提案にどのような問題が含まれているのか、院生自治会理事会としての見解を述べたいと思います。
大きくわけて、(1)手続き上の問題と、(2)内容上の問題の2点があります。
(1)手続き上の問題
坂内副学長は、副学長会合のあり方を変更するにあたって、院生自治会・学部生自治会からの質問や提案に対して責任を持って誠実に答え、自治会と合意を形成しながら進めていこうとする意思をまったく持っていません。坂内副学長の一方的な提案に対して、学生・院生はそれに従えといわんばかりです。そればかりか、一度合意したことを翌日にひっくり返す、質問状に対して回答しない、などの無責任で不誠実な態度をとり続けてきました。
また坂内副学長はこの制度変更を、院生自治会の意見のみならず、学生委員会における議論をも無視して独断で進めているようです。学生委員会委員をつとめている教員によれば、学生委員会の場で院生自治会からの質問状について議論した際、坂内副学長に対して多くの質問や異論が出されましたが、坂内副学長から明確な回答は得られなかったとのことです。当然ながら、「質問状に回答する必要はない」などという回答を学生委員会として承認した事実はなく、各委員の間からもそのような回答を求める声は挙がらなかったそうです。
(2)内容上の問題
新しい副学長会合のあり方に関する坂内副学長の提案では、新しい副学長会合は、「主催者」たる大学が学生支援のあり方を決定するうえで参考までに学生の意見を聞くための場ということになっており、学長メールやアンケートと同列に位置づけられています。しかし三者構成自治の理念に基づくかぎり、大学は学生からの意見・要望を単に聞いていればよいというのではなく、それらに対して責任を持って回答し、重要な問題については学生との合意にもとづいて話し合いをすすめていくことが必要であるはずです。
また4月9日付の坂内副学長の文書では、学生の代表権が自治会にあることが否定されています。しかし1969年に自治会と大学当局との間で交わされた「三・一確認書」(資料4)において、自治会の代表権は確認されています。これまで院生自治会は院生総会での決議をもとに、全院生の代表として大学側と継続的に議論の場を持ち、院生の研究環境を改善するような成果を多く挙げてきました。自治会が代表権を持たない「有志団体」に過ぎないとすれば、ほかに全院生を代表する組織がない以上、大学との交渉の窓口が絶たれることになります。それは大学側にとっても、大学と院生との間をつなぐ信頼のおける窓口を失うことを意味します。
3.院生のみなさんへ呼びかけます!
以上にまとめたように、坂内副学長によって提案された方向で副学長会合の制度を変えることには、手続的・内容的に大きな問題があります。5月14日に開催される第1回「全学生・副学長ミーティング」の場で、これらの問題点について坂内副学長に反省と謝罪を求め、今後の大学運営において、大学側が学生の意見を真摯に受けとめ、それに対して責任をもって回答し、また重要な事項については互いの合意にもとづいて進めるという原則が徹底されることを要求する必要があります。副学長会合の今後のあり方も、そうした原則にしたがうものにしなければなりません。
5月14日の「全学生・副学長ミーティング」では、すべての院生の出席・発言が認められています。学生自治を守るために「ミーティング」に出席し、抗議の声を挙げるよう、院生自治会理事会はすべての院生に呼びかけます。
ミーティングの時間・会場は以下の通りです。
5月14日(水)16:20~ @西キャンパス本館22番教室
※各資料については院生ニュース5月9日号(下)をご参照下さい。
~5・14副学長ミーティングで抗議の声をあげよう!~
来週5月14日(水)に、これまでの定例副学長会合(教育・学生担当副学長と院生・学部生自治会との毎月の会合)を改組した「全学生・副学長ミーティング」第1回が開催されます(16:20~@本館22番教室)。しかし、下記で詳述するように、制度改変にあたってのこれまでの手続きや新たなミーティングの内容には、三者構成自治の原則(注)を真っ向から否定する極めて重大な問題が含まれています。端的に言えば、坂内副学長は自治会との合意形成プロセスや学生委員会の教員の間での議論を完全に無視し、坂内副学長の個人的な見解のみに基づいて制度改変を強行しようとしています。その結果、これまで大学側と学生・院生側が対等の立場に立って大学の意思決定プロセスに関わる場の1つであったはずの副学長会合の位置づけが変わり、大学がトップダウンで意思決定を行うにあたって私たち「お客様」の意見を聞くにすぎない、タウンミーティングのようなものになる恐れがあります。まさに学生自治を否定する暴挙です。
院生自治会理事会は、このように学生・院生の意見を無視して開催される「副学長ミーティング」を到底認めるわけにはいきません。しかし、だからといって「副学長ミーティング」をボイコットするのではなく、むしろそこに出席し、坂内副学長に対して明確に抗議の声を挙げることこそ、学生自治を守るために必要な選択であると考えます。
そこで、院生のみなさんに呼びかけます。5月14日の「副学長ミーティング」に参加し、坂内副学長の暴挙に批判の声を上げましょう。そして新しい副学長会合が、三者構成自治の理念に基づいて、学生・院生の声を誠実に反映するものとなるよう働きかけましょう。
以下では、この問題の経緯と問題点について詳述いたします。長文になりますが、大学自治、ひいては私たち院生の研究・教育環境にかかわってくる重要な問題ですので、ぜひ目を通してください。
(注)三者構成自治の原則
大学運営のあり方は、大学を構成する全ての人々、すなわち教員・学生・職員の三者の意見に基づいて決定されるべきであるという原則。教員の意見だけで大学を運営する「教授会自治」への批判から生まれたもので、戦後の一橋大学において学長選挙制度などを通じて具体化されてきました。1969年に大学当局と自治会との間に交わされた「三・一確認書」(資料4)で確認されています。
1.ことの経緯
(1)坂内副学長からの提案
現在、院生自治会、学部自治会と教育・学生担当副学長(現在は坂内徳明・言語社会研究科教授)とのあいだで、毎月定例の会合が行われています(これを自治会では「副学長会合」と呼び習わしています)。今年2月の副学長会合の際、坂内副学長から、4月からこの会合のあり方を変え、全学生・院生が出席できる場にしたいので理解して頂きたいという提案が口頭でなされました。これに対して自治会が、このような重要な事項は口頭ではなく、まずは文書で提示してほしいと要求した結果、3月会合では、新しい形態の会合の趣旨について、坂内副学長名での簡単な文書が示され、5月からの開催が提案されました(資料1)。
(2)坂内副学長と院生・学部生自治会との間の基本的な合意
院生自治会としては、坂内氏の提案に対して、手続き上・内容上の問題を指摘しつつも、全院生に出席と発言の権利が保障される会合の場が設けられることには大きな意義があると考えています(これまでにも自治会理事以外の学生の出席を認めるよう大学側に求めたことがありましたが、そのときには大学側が難色を示していました)。そこで院生自治会理事会は、4月9日に開催された副学長会合に臨むに際して、新しい会合がこれまでの会合の基本的性格を継承し、かつ大学側が学生の声に対して誠実に責任をもって応える場となることが保証されるのであれば、そのかぎりで制度変更を承認するという態度を選びました。この日、新しい形態の副学長会合が満たすべき要件についてかなりの時間をかけて議論した結果、以下の事項が坂内副学長と学部・院生自治会との間で合意されました。
【4月9日の合意事項】
1、会合の名称を「全学副学長(教育・学生担当)会合(仮)」とする。
2、会合は三者構成自治の理念に基づいたものであること、また三者のうち学生の代表権が自治会にあることを確認する。
3、開催の頻度は月1回とする。
4、全学生に出席と発言の権利があることを確認する。
5、司会は、大学と相談の上、自治会が行う。
6、会合のあり方を変更する場合は大学と自治会との合意を必要とすることを確認する。
7、会合の場で出された要望や意見に対して、副学長は誠実に責任をもって回答する。
(3)翌日、坂内副学長が合意を覆す
ところが驚くべきことに、その翌日(4月10日)になって、上述の合意事項を根本的に否定する内容の文書(4月9日付)が、坂内副学長より学生支援課長を通じて理事会に提出されたのです。(資料2)。その要旨は以下の通りです。
・前日の副学長会合の場で、坂内副学長と自治会との間で大まかな合意が得られたことは有意義であった。しかし提案の細部に関して意味不明の箇所があるので、この文書で改めて副学長の見解と方針を示しておく。
・この文書で示す見解は学生委員会の見解でもある。
・合意事項のうち2について、三者構成自治の三者のうち一者は「学生」であると認めるが、全学生の代表が自治会でしかないことは、現況においては認められない。自治会は、全学生の代表を志向する有志団体というべきものである。新しい「ミーティング」において全学生に出席と発言の場を提供するのは、この認識に基づいてのことである。
・合意事項の6について、「ミーティング」の実施方法は基本的に主催者側が決める。その際、できる限り自治会の都合は尊重する。
・合意事項の7について、回答する必要のあるものに誠実に答えるのは当然だが、「ミーティング」で出されるすべての要望や意見に回答する必要はない。
この文書に示されている坂内副学長の見解は、後述するように多くの問題を含んでいます。しかし文書の内容以前の問題として、副学長会合の場で時間をかけて議論し合意した事項を翌日になって覆すという坂内副学長の態度はあまりに不誠実であり、このような態度をとられては、坂内副学長と自治会との間で信頼と責任に基づく通常のコミュニケーションを続けることすら困難になってしまいます。
(4)学生委員会への質問状と、それに対する坂内副学長の回答
4月9日付の坂内副学長の文書には、4月の副学長会合で確認された合意事項を否定する内容について、それが坂内副学長だけでなく学生委員会の見解でもあるということが明記されていました。しかし、この文書が、坂内副学長と自治会との間で合意に至ったその日のうちに書かれたものである以上、この文書に表明された見解が学生委員会での審議を経たものであるはずはありません。また、この文書にかぎらず、これまで坂内副学長は、副学長会合の制度変更についての坂内副学長の提案が学生委員会の承認を受けたものであることをたびたび主張してきましたが、これまでのやり取りを振り返り、また学生委員会委員の教員の意見を聞くと、その信憑性が疑わしく思われます。院生自治会は、坂内副学長の見解が本当に学生委員会での審議と承認を受けたものであるのかを確かめるため、4月16日に開催された学生委員会に質問状を提出しました(資料3。なお、この質問状は理事長名で提出)。
この質問状に対して、4月24日、坂内副学長(学生委員会委員長でもある)から回答が示されました。しかしその回答は、「この質問状に対して回答する必要はない」という驚愕すべきものでした。これ以上に不誠実な「回答」を想像することは、もはや不可能です。
この日の院生自治会と副学長とのやりとりは以下の通りです。
自治会:質問状に答える必要はないとはどういうことか。
副学長:質問状の個々の内容について回答する必要はない。今までのやりとりですべて説明されている。
自治会:「今回の質問状に回答する必要はない」というのは学生委員会で審議を経た結果下された委員会としての回答なのか。
副学長:それは私の個人的な見解。学生委員会での意見を私が集約したもの。
自治会:4月10日に、なぜ前日の合意事項を覆すような文書を出したのか。
副学長:4月9日の副学長会合の場で6点の合意をしたのは確かだが、会合の場では読み違いなどもある。翌日の文書で合意をひっくりかえしたとは思わない。
自治会:9日付文書の内容が、「学生委員会の見解」でもあると書かれている。学生委員会の議論を経てこのような見解を出したのか。時間的に無理ではないか。
副学長:学生委員会を開いたのは4月16日。4月10日の文書については事後承諾かもしれない。もっとも、何人かの委員にはあらかじめ相談した。
自治会:副学長会合は三者構成自治の原則に基づいて、学生・院生と副学長が対等・平等の立場でやってきたもの。新会合を開催するにあたって、それを踏襲するというのであれば、最低限双方が対等の立場に立ち、合意を図りながらすすめていきましょうという自治会の提案を、なぜかくも拒絶するのか。
副学長:副学長会合が三者構成自治に基づく慣行であるというのは自治会側の考え。副学長会合は何かを決めるとか、文書で確認するとか、学生が交渉するとか、そういう場ではない。情報交換、意見交換の場。信頼関係を築く場。
自治会:坂内副学長への信頼はもうなくなってしまった。
副学長:なくてもいい。
自治会:合意事項が撤回された以上、5月開催はないと考えてよいのか。
副学長:新しい会合は予定通り5月14日から開催する。新しい形の会合は5月からはじめるが、それでは自治会はテーブルにつけないというのであれば、それは仕方ない(自治会欠席でもやる)。
2006年度の副学長選挙の際、坂内副学長は学生投票管理委員会からの公開質問状に対して、現行の副学長会合は「継続・維持すべきと考えます」、三者構成自治の原則を確認した三・一確認書(資料4)を含む「確認書の合意は、現行のルールとして今後の話し合いの前提として位置づけられるはずです」 などと回答していました。しかし、以上のやり取りからわかるように、彼が三者構成自治に対して理解もないし、それを尊重する姿勢もないことは今や明らかではないでしょうか。現行の副学長会合を改変するにあたって、しきりに「学生支援の充実」を根拠にしてきた坂内副学長ですが、そもそも学生・院生と対等に話し合う態度を坂内副学長が持たない以上、このミーティングを通じて本当に充実した学生支援制度が形成されるのか、強い不信を感じざるをえません。
【この問題の経過】
2/13(水):定例副学長会合において、坂内副学長より新会合(開催は4月)について口頭で提案がなされる。理事会は書面での提出を要求。
3/19(水):定例副学長会合において、坂内副学長より書面で正式な提案を受ける(開催は5月)。理事会は持ち帰って対応を協議したい旨を伝える。
4/9(水):定例副学長会合において、理事会・学部自治会と副学長との間で新会合の基本点について議論し、合意を結ぶ。
4/10(木):副学長より合意を覆す文書(4月9日付)が支援課を通じて理事会に提出される。
4/15(火):理事会は質問状を学生委員会宛に提出。
4/16(水):院生総会で特別決議を採択。学生委員会開催。
4/24(木):坂内副学長(学生委員長)より質問状に対する回答(「回答する必要はない」)。
5/14(水):「全学生・副学長ミーティング」第1回開催予定。
2.問題の所在
以上、この問題の経緯をたどってきましたが、以下では三者構成自治の観点から、坂内副学長の提案にどのような問題が含まれているのか、院生自治会理事会としての見解を述べたいと思います。
大きくわけて、(1)手続き上の問題と、(2)内容上の問題の2点があります。
(1)手続き上の問題
坂内副学長は、副学長会合のあり方を変更するにあたって、院生自治会・学部生自治会からの質問や提案に対して責任を持って誠実に答え、自治会と合意を形成しながら進めていこうとする意思をまったく持っていません。坂内副学長の一方的な提案に対して、学生・院生はそれに従えといわんばかりです。そればかりか、一度合意したことを翌日にひっくり返す、質問状に対して回答しない、などの無責任で不誠実な態度をとり続けてきました。
また坂内副学長はこの制度変更を、院生自治会の意見のみならず、学生委員会における議論をも無視して独断で進めているようです。学生委員会委員をつとめている教員によれば、学生委員会の場で院生自治会からの質問状について議論した際、坂内副学長に対して多くの質問や異論が出されましたが、坂内副学長から明確な回答は得られなかったとのことです。当然ながら、「質問状に回答する必要はない」などという回答を学生委員会として承認した事実はなく、各委員の間からもそのような回答を求める声は挙がらなかったそうです。
(2)内容上の問題
新しい副学長会合のあり方に関する坂内副学長の提案では、新しい副学長会合は、「主催者」たる大学が学生支援のあり方を決定するうえで参考までに学生の意見を聞くための場ということになっており、学長メールやアンケートと同列に位置づけられています。しかし三者構成自治の理念に基づくかぎり、大学は学生からの意見・要望を単に聞いていればよいというのではなく、それらに対して責任を持って回答し、重要な問題については学生との合意にもとづいて話し合いをすすめていくことが必要であるはずです。
また4月9日付の坂内副学長の文書では、学生の代表権が自治会にあることが否定されています。しかし1969年に自治会と大学当局との間で交わされた「三・一確認書」(資料4)において、自治会の代表権は確認されています。これまで院生自治会は院生総会での決議をもとに、全院生の代表として大学側と継続的に議論の場を持ち、院生の研究環境を改善するような成果を多く挙げてきました。自治会が代表権を持たない「有志団体」に過ぎないとすれば、ほかに全院生を代表する組織がない以上、大学との交渉の窓口が絶たれることになります。それは大学側にとっても、大学と院生との間をつなぐ信頼のおける窓口を失うことを意味します。
3.院生のみなさんへ呼びかけます!
以上にまとめたように、坂内副学長によって提案された方向で副学長会合の制度を変えることには、手続的・内容的に大きな問題があります。5月14日に開催される第1回「全学生・副学長ミーティング」の場で、これらの問題点について坂内副学長に反省と謝罪を求め、今後の大学運営において、大学側が学生の意見を真摯に受けとめ、それに対して責任をもって回答し、また重要な事項については互いの合意にもとづいて進めるという原則が徹底されることを要求する必要があります。副学長会合の今後のあり方も、そうした原則にしたがうものにしなければなりません。
5月14日の「全学生・副学長ミーティング」では、すべての院生の出席・発言が認められています。学生自治を守るために「ミーティング」に出席し、抗議の声を挙げるよう、院生自治会理事会はすべての院生に呼びかけます。
ミーティングの時間・会場は以下の通りです。
5月14日(水)16:20~ @西キャンパス本館22番教室
※各資料については院生ニュース5月9日号(下)をご参照下さい。