ポチッと原文 ⇒ グランド電柱
http://www.ihatov.cc/haru_1/036_d.htm
あめと雲とが地面に垂れ
すすきの赤い穂も洗はれ
野原はすがすがしくなつたので
花巻(はなまき)グランド電柱(でんちゆう)の
百の碍子(がいし)にあつまる雀
掠奪のために田にはいり
うるうるうるうると飛び
雲と雨とのひかりのなかを
すばやく花巻大三叉路(はなまきだいさんさろ)の
百の碍子にもどる雀 (宮澤賢治)
大地はだれの所有でしょうか
雨は・雲は・すすきの赤い穂は
自然の一切の所有は誰に在るのか
大地と生き物を吾が物にしようとして
野原を人は囲い・田畑とし・畝を作った
そしてかつて掠奪したあの稲の種を播く
所有を人に認めた雀はいないのだから
人の言いなりになる雀はいない道理で
元来の所有者に遵うのみの雀なのです
権利を謳う雀に人はいつも悩まされる
それなら自然はだれの所有でしょうか
結局、人は神の存在に気づくしかない