プリンセスプリキュアは「夢と希望を守る伝説の戦士」というプリキュアの方向性における到達点だ。この作品はプリンセスを主人公の明確な夢としており、登場人物が夢を叶える為に努力をする過程がふんだんに描かれていた。プリンセス=「夢」とプリキュア=「戦士」の掛け算は非常に強いコンセプトとなり、完成度の高さに繋がった。同じ土俵でこれ以上強いコンセプトを打ち出すのは難しい。だからこそ最新作ではプリキュア=魔法つかいなのだろう。今までのプリキュアを壊して別の形を作ろうとしているのだ。
そう考えながら、始まった「魔法つかいプリキュア」を視聴した。初代、もしくはスプラッシュスターと同じく2人組。しかもハートキャッチやスイートのように最初は2人で後から追加戦士が出るような雰囲気でもない(多分)。あくまで2人組を押している。受けた印象は、「プリキュア」を戦士から魔法つかいに再定義した上での原点回帰だ。「プリキュア5」が5人制になってからも、色んなプリキュアが出てきた。「5人」のプリキュア、「スマイル」な「プリキュア」、「スイート」なプリキュア等々、多くのタイトルを積み重ねてきたが、プリキュアの定義そのものは変わっていなかった。
そんな中、今作は「プリキュアは魔法つかい」と、プリキュアの定義を作ったのだ。初代のタイトルが「プリキュアはふたり」を表していたように。そして今までは主人公の住む現実世界が主な舞台だったのに対し、今作は異世界(魔法学校?)もメインとして扱われる。これまでキャラクター中心に発展してきた物語が、ここにきて世界観を重視した物語となった。とことん魔法使いという素材を生かそうとする勢いが感じられる。今年は魔法使いアニメの記念年らしい。記念年のお祭り企画として終わるか、プリキュア飛躍の為の新機軸となるか、非常に楽しみ。
内容そのもののについてまともに触れていないから少し書くと、とりあえず3回視聴した。スルメみたいにどんどん味わい深くなってきて面白かった。OPもEDもいい。しかしOPの歌詞の最後にタイトル、もしくはプリキュアの文字が入らないのは初めてだ。スプラッシュスターも近いけど、あれは最後に「スプラッシュスター!!」とは言っている。「魔法つかいプリキュア」は歌詞に入れづらいか。だったらやっぱり素直にタイトルを「ウィッチプリキュア」とかにすればいいじゃん、とは思うのだけど、そうはせずにあえて日本語にしたのだから、やはりそうとう初代を意識している作品なのだろう。歌詞全体に初代のオマージュっぽさが散りばめられているし。またキャラクターはずい分線が細い。少女チックさが高くなっている。紫はいきなりへっぽこでかわいい。主人公はまだキャラがわからない。ワクワクするのが大好きなのはわかるけど、それは歴代のキャラに共通している。今後の掘り下げがどうなるか。キュアップラパパの連呼が長すぎると思ったが、子どもに定着させるにはあれくらい繰り返した方がいいのか。ギャグシーンもいい。「探しものがあるからこれで」→「いっしょに探そう」の流れは笑いました。悪役がウルフルンとかクローズとかに比べると「なんか弱い」。ただ初代っぽい雰囲気はある。あまりアクの強い敵キャラを配置すると世界観を紹介する時に邪魔になるのかな。ところで今回敵キャラが浄化されずに退場したけど、トラック盗まれたままなの?運転手さんの心からゼツボーグが生まれそう。
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