「今日は須川岳に行ってきました」
「ああ、温泉ですか?いいですねぇ。こう寒いとお湯の暖かさが五臓六腑に染みるというものです」
「温泉には入ってません。山の写真を撮ってきました」
「今の時期ですか?」
「うん」
「紅葉は終わってますよね」
「終わってたね。もう冬支度ばっちりだよ。葉っぱは枯れ落ちて、動物もいなくて、後は雪が降るのを待つのみって感じ」
「それはそれで風流なんですかね」
「俺だって紅葉シ . . . 本文を読む
私はウォーリーが嫌いでした。口角を不自然に吊り上げた笑顔。メガネの奥にある瞳孔が開ききった瞳。自己顕示欲の臭いがする派手な紅白のボーダー。一目で気の狂った様な雰囲気が見て取れました。そもそも「探せ」って。命令ですか?あんな気色の悪い人間、頼まれても探したくない。それが私の率直な感想でした。何をしでかすのかわからない人間が普通の人混みの中にいるシチュエーションなんて、嫌悪の対象以外何物でもありません . . . 本文を読む
「夏目漱石の『こころ』を読みました」
「今更ですか」
「今更です。思うに学校の教科書に載っているような本は読んでいると勉強している気分になって読書欲求が削がれるね。結果子供の頃に読むべき本を多くの人が敬遠する羽目になっている。これは日本国の大きな損失ですよ」
「それではひとつ貴方が考える国語の教科書に載せたい本を教えてください」
「よくぞ聞いてくれました。それではまず第10位から」
「ひとつでいい . . . 本文を読む
「やっぱりね、グダグダやっていてはいかんのですよ」
「はい、選択と集中は何事においても基本です。何の話かはわかりませんが」
「このブログの記事作成にかける時間だよ!思いついたこと適当に書いて進めて煮詰まったら放っておいてまた書いて、なんてこんなペースじゃ時間がいくらあっても足りません!書く時間が長くなれば作業が億劫になって毎日続けることができない、お分かり?!」
「書かなければいいじゃないですか」 . . . 本文を読む
「口の中に唾が溜まってきたらどうしますか?」
「・・・飲み込みますが?」
「では、コップ一杯に自分の唾を溜めこんだとして、飲み干すことはできますか?」
「嫌ですよ汚い」
「汚いと思うでしょ?何故自分の口に入っている時はそうでないのに外に出ると汚いと思うんだ?」
「コップに入っているそれは、今現在の自分のものでないからではないですか?」
「いや、自分のものだろ」
「数瞬前だろうが10年前だろうが過去 . . . 本文を読む