あともう少しだけ

日々の出来事綴ります。やらずに後悔よりやって後悔。

対話 児童本

2014-11-11 21:23:03 | コラム
「夏目漱石の『こころ』を読みました」
「今更ですか」
「今更です。思うに学校の教科書に載っているような本は読んでいると勉強している気分になって読書欲求が削がれるね。結果子供の頃に読むべき本を多くの人が敬遠する羽目になっている。これは日本国の大きな損失ですよ」
「それではひとつ貴方が考える国語の教科書に載せたい本を教えてください」
「よくぞ聞いてくれました。それではまず第10位から」
「ひとつでいいですって」
「あ、一口に学校って言っても小中高大学とで読む本も変わってくるよね。各年代ごとの理解力と言うか心に響くものがその時々の精神状態によって違うわけだし。そんな中、俺が小学校で読んだとき印象深かったのが『2分間の冒険』」
「ああ懐かしい」
「とある小学生が怪物の住む異世界に飛ばされて、姿かたちは主人公の友達そっくりな仲間達と共に世界で一番確かなもの『ダレカ』を探す旅に出る、みたいな話だっけ?」
「ちょっと違うような。『ダレカ』を探すのはあくまで主人公が元の世界に戻るための鍵であって、仲間の目目的は怪物を倒すことではなかったですか?」
「細かい所は忘れたけどさ、表紙のトカゲとゴーヤの出来そこないみたいな怪物が気持ち悪くて。倒しに来た人間になぞなぞを出してくるんだ。それに答えられなかったら白い息を吐いて相手を老人にしてしまうという」
「児童用にしては衝撃的ですよね」
「『ダレカ』の正体も当時はワクワクした。今となっては予想できるからあれだけど。考えればあれが俺の読んだ最初のファンタジー小説だね」
「それが第10位ですか?」
「え?違うけど?思い出したから語っただけで」
「ランキング発表どこ行ったんですか!?」
「だって10冊選ぶのしんどいもん!て言うか俺が読むべき本なんて大上段からぶち上げるなんておこがましいにも程がある!」
「趣旨全否定!もはやすがすがしい!」
「しかし児童用の本でもなかなか侮れないというか、大人になってから読んでも面白いよね」
「それはわかります。大人になって初めて見えてくるものがありますよね。子供の頃に感じたのとはまた別の味わいが」
「子供がカバーを無くしても大丈夫なようにカバー下にもカラー挿絵が書かれていたり、子供が紙で手を切ってしまわないように紙が分厚かったり。ジュースがこぼれて濡れてもいいように、水をはじく加工がしてあったり。プロの仕事を感じる」
「ひん曲がった大人になりましたね」
「読書の思い出と言えばあれだ、夏休み宿題の大定番、読書感想文」
「秋も終わりそうなこの時期にその話題をセレクトします?」
「あの頃の俺は読書の楽しみに気付いてなかった。そして文章を書く喜びを知らなかった。読むのは作業でしかなく、書くのは模倣でしかなかった。おかげで何の賞にも引っかかることが無かったさ。しかし、今だったら金賞とれる自信がある!」
「ほう、ちなみに何を読んで感想文を書くつもりです?」
「ウォーリーを探せ」
「おい」

最新の画像もっと見る

コメントを投稿