これは瓦を葺く前の屋根野地板を裏側から見た写真です。
最近の野地板と言われるものは合板のパネルのようなものを張るのですがこれはバラ板とか野地板と言われるもので写真を見ると屋根裏側に規則的に隙間が生まれているのがわかるでしょうか?
これはバラ板を隙間なく張っても木の収縮で縮んで隙間が出来るのです。
この隙間が実は大事家に人が住めば湿気は生活してる中で必ず出てきます。人間の体からも当然出てくるもの
ご存じの通り、暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下に流れ込みやすいことを考えればバラ板の隙間がこれだけたくさん開いてれば湿気を屋根の面積全体で放出することが出来るのです。
一部の人はバラ板は隙間が出来て雨漏れがする可能性があるなど言う方がいますが昔からの社寺、仏閣などは全部こういうやり方を用いてやられています。
では現在の合板野地板が何故普及したのか?
それはカラーベストなどの野地板にぴったり付けて張る屋根材の登場で釘を打つ箇所がバラ板の隙間に当たってしまうと納まりが悪かったり、なるべく建物を固めて地震に強くするという考え方でパネル型の板の方が強度が出るなどの理由からバラ板が衰退していったと言えると思います。
しかし、地震に強くするので固めるという考え方が普及していますが揺れに対して固めてしまったら釘やビスで施工されてるものは反ったり、割れたりしないのだろうか
実はその通りで現在、よく言われる免震構造技術は五重の塔の作りを参考に作ったと言われ、代表的な建物で六本木ヒルズなどがあります。
これは建物の土台部と基礎部の間に大きなベアリングボールのようなものを設置し、地震の揺れを建物の下で逃がしてしまうやり方です。
しかし、木造住宅の場合はコストダウンなどの影響と古いやり方を忘れさる傾向の中で新しいものの考え方が普及しすぎてしまったようです。
私が写真で紹介している修善寺の鐘付堂などは釘などは使わず組みと言われるやり方で組んであるだけなので地震に対しても結果的に免震構造になってます。
昔の人は良く考えたのだなぁと関心させられますよホントに
瓦を施工する際は、このバラ板をぜひ覚えていて欲しいです
ちなみにバラ板の場合、木の表裏が分からないで張るとバラ板が反ってしまう可能性があるので注意が必要です。
上の写真は屋根の上です。昔はトントン葺きと言われるやり方で防水層を施工しましたが今は、コストとやれる人がいなくなってきたこともあり、ルーフィングという防水シートを屋根に張ります。
今回は東京駅リニューアル工事にも使用されたライナールーフィングを使用します。
Mルーフィングと書いてあるものがそうです。この材料はゴム質なのでルーフィングを止め付ける際、、コの字型のタッカーという針のようなもので施工するのですがゴム質の収縮で打ったタッカーの針の周りも締まって防水性能も高まりますし、先程のバラ板の収縮にも追従してくれるのでとても高性能の防水下葺き材と言えます。
次にグレー色のきずりテープを縦に施工してあります。タル木筋ごとに施工してその上に横に瓦桟を打っていきます。
このきずりテープの役割は横に打った瓦桟の下に施工することで万が一雨水が瓦の下に入った場合でもきずりテープで浮かされた分の隙間を通って雨水が軒先側に排出出来るように施工します。
次に瓦桟昔は瓦は釘を打たずに瓦桟にひっかけるだけでしたが今は全数の瓦を釘で打ち付けるようになってきており、瓦桟に止め付けます。
写真は一段目の瓦施工。一段目から五段目くらいまでの瓦は建物に当たる風の影響を受けやすく、瓦が浮かされて飛ばされることもあるので当社では写真に写っているようなL型の釘で通常止め付ける釘とは別に補強していきます
軒先の瓦が並ぶとこんな感じ
暑いけど~頑張る~
軒先イメージはこんな仕上がり
葺き上がりイメージこの瓦は和風にも洋風にも見えて結構好きです。
今回は軒先の瓦をヴァール軒というタイプにしましたが他にもホエール軒(くじらみたいに見えるヤツ)やウェーブ軒(波みたいに見えるヤツ)もあり、ちょっと面白いです
㈱神清のヴァールというやつでホームページのリンクにも貼ってありますので興味が沸いたら見てやって下さい。