屋根、外壁工事屋のブログ 木造住宅~社寺仏閣まで

殆ど趣味や日常のUPをしてますが仕事やDIY情報などもUPしていきますのでよろしく~(^^♪

屋根の葺き替え

2010-08-31 19:30:00 | 屋根記事

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(大屋根

今回はカラーベスト屋根からカラーベスト屋根への葺き替え工事です

まず現場へ行き、屋根の状態確認と実測に伺いました

アンテナが乗ってますね

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(下屋根)

カラーベスト材が割れて補修をした跡があります

ここにはエアコンの室外機がありますね

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(下屋根)

壁際の雨押え板金が浮き上がってます

中をのぞくとヌキ板(板金を止める下地木)に

雨水が結構当たってきてるせいか黒ずんできてます

そのほか軒先の方の屋根下地が少し痛んで踏むと

ふわふわしてました。

この状況をお客様に報告しお見積りを作成

今回はヌキ板が傷んでることなどでまた腐ってきたらと

不安になるかもと思い、ヌキ板を檜の乾燥材で見積りました

その後、無事ご成約頂きました。

ありがとうございます

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さぁ屋根葺き替え工事着工です

工事を行う前にご近所さんへの近隣挨拶を工事日前に

お施主様と私達で行います。近隣の方が工事を知らなくて工事中に多少のホコリが飛んだりして洗濯物を汚してしまったり、車を止めていたら邪魔な場所も地域事情で違ったりしますので事前に工事日と工事内容のご連絡を近隣挨拶で行うことがとても大事です。

その他、工事日前日までにカラーコーンの設置や連絡先の表示、資格必要工事の場合は資格者表記などの掲示を行い、近隣配慮を十分に行いつつ工事に入ります。

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さっそく屋根をはがします。

カラーベストは先日ブログで公開した通り、葺き替えの必要な建物の殆どがアスベスト入りの屋根の為(㈱ニチハ パミールを除く)

当社ではオール手はがしで既存のカラーベストを割らないように

一枚、一枚はがしていきます

これはカラーベストにおけるアスベスト知識でお話したようにアスベストの飛散を防ぐ為に手間がかかりますが一枚ずつ行います

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既存のカラーベストをはがしていくと前のルーフィング

(屋根の防水シート)が出てきました。

これから屋根材を全て下ろして下地の清掃やチェックを行い

新たに野地板を張り増していきます

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上の写真のように既存の野地板が傷んでいても新規に野地板を打つことで釘の保持力や屋根荷重に対する耐力を向上させることが出来ます。

傷んでいるものにそのまま釘を打ってもスカスカになって釘が抜けてしまうこともあるので現場調査の際に痛みがある場合は

新規に野地板を張り増しします

今回はTVのアンテナがあるのでアンテナを動かしながら張りました

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つぎに新規にルーフィングを張り、新規カラーベストを荷上げして

葺き始めます

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これは雪止め雪止めの役割は雪が降って屋根に積もった時に雪が溶け出して一気に雪のかたまりが落ちて雨樋を曲げたり、通行人や車に被害を出さないように取り付けます。

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新規のカラーベストが葺きあがりました。

この後、役物の板金や換気棟を取り付けます

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これは屋根頂上部に穴を開けて小屋裏に溜まってる熱い空気を外に出してやる作業です。詳しくはブログに公開してる屋根の自然換気を起すをご覧ください

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換気棟を付けると高さが少し高くなる感じ

あとは板金や屋根の清掃をして終了です

http://house-guard.co.jp/


~屋根の自然換気を起す~

2010-08-31 18:08:00 | 屋根記事

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このお宅は築3年の建売住宅で屋根はカラーベスト、外壁はサイディングの仕様でした。

症状としては2Fバルコニーに面する子供部屋勾配天井部の壁伝いに染みが出てきたとのことで調査を開始致しました。

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まず勾配天井部に穴を開け、内部の状況を確認します。

天井に施工してあったグラスウール断熱材が水で染みており、汚れています。

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断熱材をはずしてみると屋根の野地板裏にカビが繁殖しており、水分を含んでいます。

当初、雨漏れがすると連絡が入りましたが調べてみると漏水した形跡はなく、小屋裏の熱で溜まった湿気で発生したものと原因を絞り込みました。

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原因は上の写真のように勾配天井の状態でグラスウール状の断熱材を入れた場合はふわふわとしている為、野地板裏側とグラスウールの間に隙間がなく安定した通風経路が取れない状態になり、屋根頂上部に換気棟もない状態では小屋裏の暖まった空気が行き場を失い結露を起すことになります。

下の写真が断熱材を撤去をしたもので断熱材は桟木の上に乗せてある状態です。

Q

この物件は外壁材がサイディングで壁の中に通気層を作る通気工法を用いてます。

しかし何故?結露が発生してしまったのか?

A

建物に風が当たる場合、建物の下から上へ風が吹き動いてます。土台部から外部の空気を受け入れてサイディングの裏側の通気層に空気が通り軒天有孔板、ダンパー、屋根換気棟などの掃気部の空気の動きによって外部へ排気されています。(風力、温度差による発生圧力)

これはよくご家庭で窓を開けて換気するのに窓を開けた反対側、又は上の部屋の窓を開けるとよく換気する      原理に似ています。この物件にはせっかくサイディング材での通気工法を取っていたにも関わらず屋根頂上部の換気棟はなく、軒天のダンパーなどが施工してありましたが施工位置が効果の期待出来ない部分に付いていた為、湿気が排出されずに結露となり、グラスウール断熱材に染み込み2F天井の壁面からクロスの接着剤と混じり症状として出てきたと判断します。

さあ!換気棟を付けて湿気を飛ばしましょう!!

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上の写真は既存の屋根棟板金をはがし、換気棟取付け部のヌキ板などを撤去したところです。

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次に上の写真のように野地のてっぺんに穴を開けます。

屋根の表面温度は夏場で70℃超と言われ小屋裏の温度はおよそ60℃前後になると言われています。部屋の中ではエアコンで冷やす状態になり、冬場では屋根表面は冷たい空気にさらされ部屋は暖めて過ごす為に小屋裏結露が発生します。この穴を開けた時は夏場で熱風と同時に陽炎が立つ程に暖まっており、施工する際も突風が目に当たるので注意が必要な程でした。

次に換気棟を取り付けます。

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上の写真のようにまず換気棟取り付け部にコーキングを付けます。これは換気棟と屋根材の間から水が入らないよう防水の意味と換気棟を真っ直ぐに調整するのにコーキングの方が調整しやすい為です。

当社では上の下段に写っているジェイベック㈱てっぺん換気棟を採用しています。黒い板状のものが換気棟本体になります。この換気棟は1本あたりの有効換気面積524?で風速50mの風にも雨水の浸水を許さない優れ物です。

換気棟てっぺんにヌキ板を固定します。

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上の写真のように換気棟てっぺんの上にヌキ板を固定し、他の棟部にも板金の釘打ちしろを取る為、ヌキ板を固定します。

水返し加工

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次に換気棟てっぺんを取り付ける両端部取り合いに板金加工して立ち上げを折り水返しを作ります。

板金取り合い防水処理

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立ち上げした水返し板金と換気棟の間に隙間なくコーキングを充填します。

棟板金取り付け

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先程の防水処理した上から加工した棟板金を取り付けます。下の水返し加工の立ち上げにかぶるように下に加工します。

棟板金固定

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棟板金側面から下地に入れたヌキ板端部を狙って釘を打ち固定します。

換気棟てっぺん取り付け完了!!

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最後に板金の重なりあった外側もコーキングで防水処理して完成!換気棟側面の換気孔から掃気します。

補足

Q

この物件は建売で何棟かある中でこの家だけが今回の結露による漏水を起しました。何故?

A

これは現在の建築事情と深く関係しています。今回、お客様の希望で勾配天井で広く見せたい!その上で予算がないので追加を安く納めたいように建築業者に申し入れたそうです。それを聞いた建築担当者がお客様のニーズに応えるのと同時に自社の利益を当然求めなければならない為、設計の計算上ではこれで大丈夫だからとローコストな材料とローコストの職人を手配してしまった経験不足に原因があるようでした。本来であればこのようなことが起こり得るので最低でもあとこのぐらいの予算がかかりますと説明があるべきですがそういう説明はなかったそうで結果的に建築担当者のこれで良しとする水準が低かった為に起きた現象と言えます。

まとめ

今回の家は勾配天井部の漏水でした。換気棟がついてなかったことと断熱材と野地板の間の空気層が狭まっていた為に水分を含んだ空気が密集している状態が結露発生の原因ですが換気棟がついていたとしても十分に空気が抜けるとは言えません。勾配天井の場合、通常の小屋裏のように空気が動くスペースが少ない為に綿密な空気層への配慮を行わなければ今回のようなケースが発生する可能性が極めて高まります。

この物件では室内天井部の断熱材が乗っていた桟木の下にボード状の発泡断熱材を下から打ちつけることで桟木分の厚さの空気層を多く稼ぎバルコニー外部軒天部に換気ダンパーを取り付け、換気棟てっぺんの掃気部に空気の動きを誘発させる考えで施工し問題解決しました。

感想

昔の家は寒くて風通しが良すぎるくらいでした。しかし、家の築年数は50年を超えてもなお家族を守る家として立派に役目を果たしてくれています。もっと風通しの良い仏閣や社寺は100~200年経っても腐ることなく未だに現役です。それは今のように部屋が暖かくなく、部屋と小屋裏などの温度差が殆どない状態の建物だったからです。技術や材料の進化で現代建築は住みやすい環境を求める一方で日本には四季があり、風土を理解する建築は住みづらく全てを叶えようとすればコストが上がり、建築が難しくなっていく現実を受け止めなければいけない建築関係者の経験不足が今回のような漏水などの原因を生み出していると感じます。

http://www.house-guard.co.jp/