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織の記録

綿から糸へ

2023-09-04 14:57:15 | 手紡ぎ糸

綿打ちを終えた綿を糸に紡ぐ道具は、世界中にその国の風土や文化に適した形で用いられてきました。

写真は日本の紡ぎ車です。

ただし、どの道具を使うにも準備される綿は、

繊維の向きを整えて、引き出しやすいようにふんわりとした形になています。

畳んだ形で送られてきた綿は広げるとシート状になっています。

その一枚を取り出して繊維に沿って手のひら巾の長い帯に裂きます。

間違っても鋏は使わないで下さい。

さらにのそ帯状を手のひらの大きさに裂きます。

裂いた綿は一枚ずつ割り箸など細い棒状のもの(篠、竹)に巻き付けていきます。

棒を使わず、ふんわりと巻くだけでも良いです。

これを綿の篠巻き作りと言い、中の篠を抜いて紡ぎ車に掛けるものは「ジンキ巻き」と呼ばれています。

 注意:一枚裂くごとに巻きます。まとめて巻いて繊維の向きが違うと紡ぎにくくなります。

写真はジンキ巻きの白綿と備中綿

日本では上記の写真の紡ぎ車が使われてきました。

これには、和綿の繊維の短さにあると考えられます。動輪一回転が伝えるツムの回転は

洋の紡毛機をはるかに超えるもので、短い繊維の綿はこの回転によって細く紡ぐことが出来るわけです。

また、日本には椅子に座る文化がなかったから、という専門家もいます。

床に座る文化と日本綿の繊維が作り上げた「紡ぎ車」と、思うと感慨深いものがあります。

同じようにインド綿も繊維の短いものが多く

ガンジーの不服従運動で有名になった「チャルカ」も日本の紡ぎ車と同じです。

これはスピンドルという道具です。

コマの回転力を利用したもっとも古くて新しい、糸紡ぎの原理をシンプルに表した糸車です。

自作でき、綿さえあればどこでも紡ぐことができます。

中南米やアジアなど世界中で使われています。

国によって形は様々、紡ぐ素材も違います。でも原理は同じ

歩きながら、おしゃべりしながら各々が好きな時に好きな場所で紡ぐことが出来るこの道具は最高なのかもしれませんね。

 

下の写真はニュージーランドの紡毛機