*アートネットワークジャパン+Ort-d.dプロデュース ミヒャエル・エンデ原作 倉迫康史演出
立ち退きを迫られたサーカス一座が束の間みた夢の世界?
もとは中学の体育館だった場所が、賑やかで幻想的な空間に作り上げられている。
パンフレットには、夏のオーディションに始まり、西巣鴨のお祭りに参加したことや、稽古が進む様子が初日直前のゲネプロまで写真入りで掲載されている。
まさにここは演劇の工房であり、地域に根ざした演劇創造を実現した公演であることがわかる。
芝居に加えて楽器の生演奏、歌、ダンス、ジャグリングなど、大変に盛りだくさんな内容である。
ところがみるほどに「頑張って練習したんだろうなぁ」と、芝居そのものから離れて感心してしまうことに気づいた。
創造の過程は興味深く、それを知るのは、時に芝居をみるより楽しいこともある。
だがやはり芝居そのものを味わいたいと思う。
たとえば先日みた近大バージョン『唐版 風の又三郎』には、演出の松本修が役者ひとりひとりについて短いコメントを書いているのみである。学生たちが難しい作品に挑み、壁にぶつかりながら成長していく様子はまことにスリリングであろうと想像するが、敢えてそれを詳しく知りたいとは思わない。
目の前で彼らが頑張っている姿だけでじゅうぶんだからだ。
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