忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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【訃報】坂本龍一 Ryuichi Sakamoto 71歳 / Ars longa, vita brevis.

2023年04月03日 | 瓦版


▼【訃報】坂本龍一 Ryuichi Sakamoto 71歳



偉大な音楽家・坂本龍一の訃報が昨夜飛び込んできた。
3月28日にお亡くなりになっていたとのこと。
当BLOGでは頻繁に教授の名前が登場するのでご存知の方も多いと思うが
私の人生における坂本龍一は、「ピアニストの」「YMOの」「映画音楽の」と
様々な方面から影響を受けてきたので、一言でこのぐらい好きでしたと説明できない。
ひと晩が経ち、葉桜に変わりつつある公園の風景を眺めながら歩いていても
教授のことを考えては喪失感がじわりと広がってくる。



私は長年、教授のニュースレターを読んでいたので
癌に罹患した時のショックの大きさや、西洋医学を受け入れ手術を受けることにした
思考の過程も全てご本人の文章を通して知っていた。
しかし、癌は再発と転移を繰り返し、その都度少しずつ教授の体力を奪っていった。
数年前までは結構なボリュームで書かれていたニュースレターの内容が少しずつ短くなり
スタッフによる発売告知や活動報告の箇条書きだけになった頃に、ご本人の口からステージ4の直腸癌であることが発表された。
思えばあの時に、私はこの日が来ることや、それがそう遠くないことを覚悟していたような気がする。
闘病中に浮かんだイメージを12の楽曲にした最新アルバム「12」の制作と、
「これが最後かもしれない」と挑んだフィルムコンサートの収録、
これまでの教授ならば引き受けなかったであろう「関ジャム」へのコメント提供、
さらには原発回帰の流れや神宮外苑再開発計画に対する反対表明など
近年の治療中心の生活からは考えられないほど勢力的な発信を続ける姿は
言い遺したこと、やり遺したことのないようにと駆け足でこなしているように
私には映っていて、痛々しいほどだった。



そして3月5日、教授が20年間に渡りナビゲーターを務めていた
J-WAVE「RADIO SAKAMOTO」が本人不在で最終回を迎えたことで私の予感は確信へと変わっていた。
代打を依頼したのは、公私共に親交のある大貫妙子。
おそらく彼女は、全て聞いた上で引き受けたのだと思う。
同じく闘病を続けていた高橋幸宏が亡くなって僅か2ヶ月後に教授も亡くなり
YMOのメンバーは細野晴臣だけになってしまった。



所属レーベルcommmonsの公式アカウントのツイートには
生前教授が好んだ一節として、ヒポクラテスの
「Ars longa, vita brevis(芸術は長く、人生は短し)」が添えられている。

謹んでご冥福をお祈りいたします。




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「NHK MUSIC SPECIAL 坂本龍一 Playing the Piano in NHK」で
久しぶりに話している教授を見たら、放射線治療の影響なのか
あの独特の声がすっかり変わってしまいその弱々しさに見ていて辛くなった。
しかし、ひとたびピアノを弾き始めると一気に音楽人としての凛々しさを取り戻し驚きと共に涙腺が決壊。
これまで幾度となく教授のピアノを聴いてきたが、静謐さの中から放出される気迫に圧倒されて言葉も出ず
ただただずっと泣いていた。
ご本人は「作曲した本人の特権で弾いているが、ピアニストとしてはダメ」と仰っていたが
あのピアノを弾ける音楽家は今世界に片手ほどもいないと思う。

闘病の間に書き溜めた12曲を収録した「12」は、「雨音や風の音などの自然界が生み出す音を、
いかに邪魔せずに寄り添える音楽を作れるかが課題」だと語っていた。
入院手術を繰り返した昨年、体力が削られてゆく中でも比較的体調の良い時に
書き留めていた音のスケッチをそのままアルバムにしたとのことで
これまでの氏のアルバムよりも格段に優しい。
「世界のRYUICHI SAKAMOTO」ではなく、療養中のひとりの男性が風や水や木々が奏でる自然界の音に寄りそったアルバム。


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今や世界を舞台に活躍する是枝裕和監督と
人気脚本家の坂元裕二がタッグを組んだ映画「怪物」のサウンドトラックが発売決定。
当初は映画全編の音楽を依頼されたが、体力面の不安から書き下ろしはメインテーマを含む2曲に限定し
残りは既発の楽曲からセレクトされた全7曲入りのアルバムになっている。









6月2日公開予定の映画「怪物」が、教授の最後のお仕事になるのだろうか。
NHKの特番では「他にも引き受けている仕事がいくつかある」と語っていたので
今後何かしらの置き土産が出て来る可能性はあるが、現状見えているのはこちらということになりそう。









コメント (2)
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