▼映画「ルックバック」あなたがわたしにくれたもの
「チェンソーマン」の藤本タツキによる同名コミックを、同作で悪魔デザインを担当していた押山清高が
脚本・キャラクターデザイン・監督を兼任してアニメ映画化。
声の出演は「あんのこと」「不適切にもほどがある!」の河合優実と「あつい胸さわぎ」の吉田美月喜。
音楽はharuka nakamura。
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配信中■Kindle:ルックバック (ジャンプコミックスDIGITAL) / 藤本タツキ
発売中■コミック:ルックバック (ジャンプコミックス) / 藤本タツキ
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2021年の夏に原作がWeb(少年ジャンプ+)で公開された時のインパクトは強烈だった。
はてなブックマークでは3400を超える、過去に例がないほどの大量のブクマがつき、
私もホットエントリー入りしている記事をきっかけに読んだのを覚えている。
傑作だ不謹慎だと賛否両論を巻き起こしたあの日から3年を経て、劇場アニメとして公開されることになろうとは。
わずか50分、特別料金(サービスデイなどの割引は一切なく、何曜日の何時の回を見ても固定で1,700円)が
設定されているにも関わらず、上映劇場は平日から大入りが続いている話題作である。
学年新聞で4コマ漫画を連載し、教師やクラスメートから絶賛されていた
小学4年生の少女・藤野と、不登校の同級生・京本。
ある号の新聞で京本の4コマと並んで掲載されることになった藤野は
京本との画力の差にうちのめされ、マンガを描くことを辞めてしまう。
しかし、卒業証書を自宅まで届けに行った際に京本から「ファンです」と告げられたことで
二人の交流がスタートし、いつしか二人体制で漫画を描くようになっていった。
8月1日に公開されるディズニーxピクサーの最新作「インサイドヘッド2」。
前作で11歳だった主人公のライリーは、ヨロコビ、ムカムカ、イカリ、ビビリ、カナシミの5つの感情で生きていたが
続編ではライリーが大人になるための新しい感情、シンパイ、ハズカシ、イイナー、ダリィが登場する。
「ルックバック」の主人公二人も、最初は小学四年生。
そろそろ天真爛漫なだけではいられなくなるお年頃。
将来に不安を抱くシンパイや、退屈で無気力になってしまうダリィ、人を羨むイイナー、
モジモジしてしまうハズカシを覚えた藤野と京本は、新しい感情の芽吹きに戸惑いながら
手を取り合い、お互いの気持ちをぶつけながら青春を謳歌している。
いつまでも子供のままでいられないことに気づきつつ、
本心を腹の底に抱えたまま、表向き穏便にやり過ごす大人の振る舞いもできない。
策略も駆け引きもない二人の青春はあまりにも不器用で、あまりにも眩しい。
京本は意図せず藤野から自信を奪い、やる気を削いでしまった。
藤野は京本をネタに四コマを描き、京本を部屋から外の世界へと連れ出した。
京本は藤野に熱烈なファンであることを伝え、創作意欲を取り戻させた。
藤野は京本を街ブラに誘い、同い年の子達が楽しむ「ありふれた青春」を体験させた。
京本は藤野といたいと願った。
藤野も京本を必要としていた。
同じ目標を持って二人で作品を生み出し、同じ歩幅で売れっ子の階段を上っていった。
足りないものを補い、満たされた時は分けあって歩む二人のその先は...
開放的なタイプと内に秘めるタイプが出会い
同じ目標を掲げて交流を深めていくシスターフッド映画としても素晴らしく良くできているのだが
本作が話題となったのはそれだけではない。
最も大きなフックは、2019年に発生した京都アニメーション放火殺人事件に
インスパイアされたと思しきある事件である。
原作との細かな違いやインスパイアされた作品、事件などについて
現在様々な考察が盛んに行われている最中なので、原作未読の方にも配慮して
当BLOGでは後半については言及しない。
ひとつだけ言えるとすれば、もしも未読の方で本作に興味を抱いている方がいるなら
未読のまま劇場に足を運んでみて欲しい。
入場者特典として原作のネームを全ページ収録した
ストーリーボードが配布中(数量限定につき劇場によっては終了しているケースもあり)なので
鑑賞後にそちらに目を通し、最終的に原作本に行き着くのが望ましい。
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50分という尺は、演出法も相まってストーリー性のあるMVやドキュメンタリー風のCMのようでもあるが
原作を十分に理解した上での最良の選択が50分だったのだと思う。
テンポを悪くして90分に水増しされるぐらいなら50分で良かった。
鑑賞後、120分の映画1本観た時と変わらない充足感があったのは、本作の密度の濃さがあればこそ。
何かにつけタイパを気にする若者にとって本作は割高に感じるかも知れない。
それでも、私は敢えてこの作品には1,700円支払う価値があるよと伝えたい。
河合優実と吉田美月喜はどちらも声優初挑戦とのことだが
知名度ありきのキャスティングではないことは明白の上手さ。
河合優実のキャラクターと同化する能力がここでも遺憾無く発揮されていて
底知れぬ才能に改めて驚かされる。
「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」のあの&幾田りらといい
歌手や女優にここまでされてしまうと、専業の声優は形無しだろう。
「コミック原作のアニメ化とは何か」の理想的な解答例として
今後の原作付きアニメの制作に大きな影響を与えることは必至。
アニメ好きなら生涯のベスト10に入る人もけっこういるのではないかと思う。
特にモノ作りに情熱を注いだ(注いでいる)方は必見。
映画「ルックバック」は現在公開中。
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発売中■CD:劇場アニメ ルックバック オリジナルサウンドトラック / haruka nakamura
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haruka nakamuraの音楽も文句なしに素晴らしかった。
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面白かったですね。
58分だから凝縮されたものや
58分だから守られたテンポや
いろんな「こそ」が集約しての58分だったと思います。
これに何を足しても引いても....
ご覧になったんですね!
短いんですが、密度の濃い良い作品だと私も思ったので
お気に入っていただけたようで何よりでした。
毎日暑い日が続きますので、体調など崩されませんように。