セイン先生の著書「英会話 その勉強ではもったいない!」の前編で本書の一部をご紹介しましたが、いかがでしたか?
先生は35年以上日本で英語を教えているなかで、「その勉強ではもったいない」と強く思い続けていたそうだ。60歳になってやっとその思いを一冊の本にまとめる時間が取れた。
内容の大部分は「私達日本人が間違いやすい表現の勉強」。あれもこれもと、お伝えしたいことばかりですが、そうもいかない。残りの章からいくつかのポイントに絞って紹介しましょう。
「英会話 その勉強ではもったいない!」本
概要
- デイビッド・セイン著
- 2019年6月15日初版発行
- 185ページ
- 一通り読むのに2時間
目次
- Chapter 1 リーディング攻略法
- Chapter 2 ライティング攻略法
- Chapter 3 スピーキング攻略法
- Chapter 4 リスニング攻略法
- Chapter 5 学校英語の勘違い
本記事(後編)では Chater 3 ~ Chapter 5 の内容を紹介します。
詳しくお知りになりたい方は本をご覧ください。
Chapter 3 スピーキング攻略法 より
相づち上手はスピーキング上手
「言われたら、何か返す」が鉄則!
当たりさわりのない相づちを学ぼう 。
I’m doubtful the party will go well.
(パーティーはうまくいきそうにないな)
Oh, really?
(え、そうなの?)
I’m afraid I don’t have time today.
(残念ながら今日は時間がありません)
Is that right?
(どうなの?)
That suitcase is ours, not theirs.
(あのスーツケース、あの人たちのじゃなくて私たちのよ)
Are you sure?
(本当に?)
他にも次のようなフレーズで相づちを打てる。
- Really? (そうなの? 本当に?)
- Is that right? (マジで? そうなの?)
- How interesting! (面白い!)
- Sounds good. (いーねー 面白い)
褒めたり感心したりする相づち表現
We have 800 employees.
(うちには800人の従業員がいます)
That’s amazing.
(それはすごい!)
他にも次のようなフレーズで相づちを打てる。
- Wow! (すごい!)
- Awesome! (すごい 驚いた)
- Unbelievable!(信じられない)
- No way! (うそ! まさか)
言ってはいけない間違いフレーズ
食事の席でお酒をすすめられて断るには、
A. No, thank you.
B. I’m fine.
A は「いりません!」に近い、強い拒絶に聞こえるので避けた方が無難。
B なら「結構です」、やんわり丁寧に断れる(鉄板フレーズ)。
「がんばってね」と声を掛けるなら、
A. Please work harder.
B. Keep up the good work.
A は「もっと一所懸命、働いてくださいね」
B は「いい仕事を続けてね」→「がんばってね」(引き続きよろしく)
「いま、何時ですか?」と聞くなら、
A. Do you have time?
B. Do you have the time?
A は「ちょっと遊ばない?」(ナンパの決まり文句)
時刻をたずねる他の表現としては、
- What time is it?
- What is the time?
- What time do you have?
- Have you got the time?
「もう少しで終わりそうです」と答えるなら、
A. I almost finished.
B. I’m almost finished.
A は「もう少しで終わりそうだったのに(終わらなかった)」という意味。上司はガッカリ。
Chapter 4 リスニング攻略法 より
クッション言葉でスピーキング上手に!
You know・・・ (ほら・・・だよね)
相手に何かを思い出させるとき、又、同意を求めるようなときに使う。
You know, I’m reluctant to say anything negative to him.
(ほら、彼に否定的なことは言いたくないよね)
I guess ・・・ (・・・かな)
断言すると後々、問題になりそうな時に言うことで曖昧にできる。
I guess everyone has to file a report on Thursday.
(全員木曜日に報告書を提出しなければいけないかな)
Chapter 5 学校英語の勘違い より
学校英語で教わらなかった英語のニュアンスをまとめた章。
冠詞の使い方
a は「どれでもいいものの1つ」
- An American in Paris
(パリにあまたいるアメリカ人のうちの1人)
the は「改めて説明しなくても、わかりきっていることをまとめるため」
- Look at the bird.
「(あなたにも見えているであろう)その鳥を見て」
無冠詞:国名・湖・港・山・数字・曜日・季節・スポーツ・食事・液体・粉などの不定形のものは基本的に無冠詞で使う。
- a hamburger (ハンバーガー)
- hamburger (ハンバーグ)
尚、ネイティブが冠詞を間違えないのは、名詞とセットで覚えているから。
可算名詞:「形のある個体」「1個、2個と数えられる」名詞
不可算名詞:「決まった形がない」「1個、2個と数えられない」名詞
液体・物質・気体・beautyなどの抽象名詞など。
例
Would you like chicken?
鶏肉はいかがですか?
Would you like a chicken?
一羽の鶏はいかがですか?
ある私立高校の入試問題(問題作成者はネイティブだそうです)
日本語にしてください。
A. Linda has a cat.
B. Linda has the cat.
C. Linda has cat.
正解は、
A. リンダは猫を一匹飼っている
B. リンダが飼っているのはその猫だ。
C. リンダは猫肉をもっている。
真意を汲み取って解けた生徒はいたでしょうか?
I’m と I am は違う!
短縮形にしないとフォーマルで仰々しい言い方(演説などに使う)になる。短縮形を使ったカジュアルな言い方が一般的。
I am a student.
(私は学生である)
I’m a student.
(私は学生です)
私はたいてい短縮形を使わなかった。短縮形だと「失礼な言い方」と勘違いしていた。そう言えばキング牧師の演説、「私には夢がある」も I Have a Dream. でしたね。
何はともあれ数字が大事!
分数の読み方だけ紹介しましょう。
1/2 a (one) half
1/3 a (one) third
3/5 three fifths
最後の5分の3の読み方だが、セイン先生が紹介していないので付け加える。three over five とも読む。非常に簡単な読み方でしょう。最初のホストファミリーは高校で数学を教えている先生の家だったのでそのように教わったと思う。また、TA(Teaching Assistant)で授業した時もそういうふうに読んだ。理由は fifths の発音が難しいから。
おわりに
セイン先生は本書「英会話 その勉強ではもったいない!」の ”はじめに” で「日本人が最低限の英語も話せないのは当たり前」と言っている。どういうこと?それは「日本の英語教育では絶対的に授業時間が足りない」から。
学校で1日1時間勉強すると年間で365時間。中学・高校・大学で学習すると3,650時間。一方、留学生は1日12時間くらい英語に触れる。年間4,380時間。
私の個人的な見解だが、留学生なら3~6カ月で日常生活に必要な英語レベルに達する。仮に3カ月かかるとしよう。その時間は1日12時間x90日=1,080時間。日本で1,080時間勉強しようと思えば、1日1時間としても少なくても3年間続ける必要がある。
まさしく、「英語に触れる時間が足りないから英語を話せない」のだ。しかも、「勉強する」というよりも「触れる」「使う」に重点を置かなければならない(習うより慣れよ)。それは普通の人にはかなり難しい。
ただ、幸いなことに英語に慣れることのできる情報やチャンスは溢れている。オンライン英会話など使うチャンスもいろいろある。本書を通して英語勉強のエッセンスを理解し、ネットなどをうまく活用していけば「使える英語」を数年で自分のものにできるでしょう。
いかがでしたか? 少しでも英会話力アップにお役に立てたなら幸いです。