ご存知かない方もいらっしゃると思いますが、永里優季選手はアメリカ女子サッカープロリーグ(NWSL)のシカゴ・レッドスターズで2017年終盤からプレー(2021年シーズンより新興チーム、レーシング・ルイビルでプレー)
永里選手の活躍が報道されることはありませんが、2019年度も月間ベストイレブンを3回受賞するなど大活躍。シカゴ・レッドスターズはレギュラーシーズンを2位で終了。
NWSLチャンピオンを決めるプレーオフには過去3年連続出場。しかし、いずれも敗退。悲願のチャンピオンにはなれませんでした。
しかし2019年度は初のレギュラーシーズン2位という事でこれまで以上にチャンピオンになる可能性は高い。はたして永里優季選手はシカゴ・レッドスターズを初のNWSLチャンピオンに導いたでしょうか?
NWSLチャンピオンに導いた?
プレーオフ勝利でチャンピオン決定戦へ
前半8分、中盤でボールを受けた永里選手が前線のサム・カーへロングパス。これをカーがゴール左に決めた。これが決勝点となりシカゴがポートランドに勝利しチャンピオン決定戦へ。
10月27日のチャンピオン決定戦
永里もサマンサ・カーも不発、ノースカロライナ・カレッジ(大坂なおみ選手が2021年1月共同オーナーに就任)にまさかの4-0で敗戦。残念でした。
NWSLとは
アメリカ女子サッカープロリーグで2013年創設(それ以前にもプロリーグはあったが、経済的理由などで廃止)。National Women's Soccer Leagueの略称。
加盟クラブは9チーム(2021年度から10チーム)
- シカゴ・レッドスターズ 2019年度リーグ戦2位
- ユタ・ロイヤルズFC
- ヒューストン・ダッシュ
- ノースカロライナ・カレッジ 2018年度と2019年度にリーグ優勝
- オーランド・プライド
- ポートランド・ソーンズFC 2019年度プレーオフ進出
- シアトル・レインFC(現OLレイン) 2019年度プレーオフ進出
- スカイ・ブルーFC
- ワシントン・スピリット
- レーシング・ルイビル 2021年度シーズンより
NWSLはこんなリーグ
- 240名ほどの選手(トップチーム)が9チームに所属
- 世界19カ国から59名の選手がプレー
- レギュラーシーズン(3月末~9月末)は1チーム年間24試合
- レギュラーシーズン上位4チームがプレーオフ進出
- 平均観客動員数 7,196人(前年比19%アップ)J2よりも少し多い
NWSLの9チームは世界でもトップレベル
2019年FIFA女子ワールドカップで欧州勢の躍進が目立ちました。中でも熊谷紗希が所属するフランスのオリンピック・リヨンはUEFA女子チャンピオンズリーグを4年連続制覇している。
欧州チームのトップ3チームとNWSLのチャンピオンが激突する女子インターナショナル チャンピオンズ カップは事実上女子サッカークラブ世界一決定戦。
- 2018年度はNWSLのノースカロライナ・カレッジが優勝
- 2019年度はフランスのオリンピック・リヨンが優勝
2年連続同じ顔合わせでした。
欧州のクラブ
欧州では女子サッカーリーグは目覚ましく発展しているが、国内リーグに限ってはクラブ間のレベルの差があり過ぎる。
しかし、欧州チャンピオンを決めるUEFA女子チャンピオンズリーグ(欧州チャンピオンズリーグの女子版)でのベスト8以上の試合になれば各国のチャンピオンクラスのチームの戦いとなるのでレベルはかなり高くなる。
こうした欧州内の競技環境が2019W杯での欧州チームの躍進につながったのでしょう。
NWSLは世界最高峰のリーグ
わずか9チームだが、どのチームにおいても選手のレベルが高い。240名中50名ほどは海外の代表クラスの選手。
これに米国とカナダの女子代表が加わるので全部で80名ほどがトップレベルの選手。各チームともトップレベルの選手を9名くらい抱えている。
そうしたチームが年間24試合戦う。欧州チャンピオンズリーグのベスト8のチーム同士が常に戦っているようなものだ。
観客動員数は女子リーグで世界一
常に熾烈なレギュラー争いとハイレベルの試合が展開されている(でないとスポーツ大国アメリカではすぐにファン離れが起こりプロリーグは廃止に追い込まれる。米国女子サッカーでは過去2度経験)。
- 2019年度の平均観客動員数は7,196人(前年比19%アップ)。これは韓国K1リーグに匹敵する数字。
- なでしこリーグ2017年度平均観客動員数は1.437人
- 欧州チャンピオンズリーグ2018-19年度平均観客動員数はで1,586人
余談だが、アメリカ女子代表2019W杯優勝記念Victory Tour、8月29日のポルトガル代表との国際親善試合になんと49,504人の観客がLincoln Financial Fieldに詰めかけた。日本代表レベル級の動員数である。
シカゴ・レッドスターズの主な選手
米国代表選手
- Alyssa Naeher アリッサ・ナアー GK 2019W杯 7試合
- Tierna Davidson ティアナ・デイヴィッドソン DF 2019W杯 1試合
- Julie Ertz ジュリー・アーツ MF 2019W杯 6試合1得点
- Morgan Brian モーガン・ブライアン MF 2019W杯 1試合
主な海外選手
- Sam Kerr サマンサ・カー:オーストラリア代表主将 FW 2017年から3年連続NWSL得点王(2019年度21試合18得点)、2019W杯4試合5得点
- 永里優季:元日本代表 FW ドイツ時代は114試合で58ゴール、UEFA女子チャンピオンズリーグでも32試合21ゴール
- ケイティー・ジョンソン FW メキシコ代表
- マリア・サンチェス MF メキシコ代表
- マッケンジー・アーノルド GK オーストラリア代表 2019W杯0試合
永里優季選手のNWSLでの実績
2018年度
- 月間ベストイレブン賞 2回(6月、7月)
- 週間ベストプレーヤー賞 1回(第10節)
- 7アシストでアシストランキング 2位
- 4得点
2019年度
- 月間ベストイレブン賞 3回(4月、5月、9月)
- 週間ベストプレーヤー賞 1回(第3節)
- 8アシストでアシストランキング 1位
- 8得点で得点ランキング 6位タイ
- 2018年度はサマンサ・カーとツートップを組んで活躍したが、2019年度は主に2列目の左でプレー
- 出場時間はお役御免の交代もあったがほぼフル出場(24試合2111分)
- 8アシストはリーグ1位だがチーム2位はサマンサ・カーの5アシスト
- 18得点のサマンサ・カー(得点王)に次いでチーム2番目の8得点、なお、チーム3番手はVanessa DiBernardoの3得点
シカゴ・レッドスターズに欠くことのできない攻撃のキーパーソン。
NWSLプレーオフ
10月20日プレーオフ
- North Carolina Courage vs Seattle Reign FC 4-1 ノースカロライナ
- Chicago Red Stars vs Portland Thorns 1-0 シカゴ
10月27日チャンピオン決定戦
- North Carolina Courage vs Chicago Red Stars 4-0負
川澄と宇津木もNWSLでプレー
川澄奈穂美
- 2017年度NWSLアシストランキング1位
- 現スカイ・ブルーFC所属
宇津木留美
- 2019年はW杯直前のケガでほとんどプレー実績なし
- シアトル・レイン(現OLレイン)所属
- プレーオフ進出決定。リーグ3位なら永里のチームと激突
- 2019年で現役引退
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おわりに
シカゴ・レッドスターズにおいて永里優季選手がどれだけ攻撃のキーパーソンであるか、ご理解いただけたでしょうか?
予想通り2019年度レギュラーシーズン1位のノースカロライナ・カレッジとの優勝決定戦となった。今シーズンの直接対決はシカゴ・レッドスターズの2勝1分。永里優季選手は2アシスト。
彼女が得点すればシカゴ・レッドスターズが2019年度NWSLチャンピオンになる可能性が高いぞ!と期待しましたが、負けてしまいました。
世界の大舞台で奮闘する日本人選手の活躍は素直に喜べますね。どんな分野でもいいから若い人にはどんどん世界で羽ばたいてほしい!
みなさん、応援よろしく!