東京五輪サッカーOA(オーバーエイジ)枠に選ばれる選手を予想するのは結構難しい。地元開催ではメダル獲得が至上命題だからというよりも、選びたくても所属クラブが認めないケースがあるからだ。たぶん、これが一番難しくしている要因。
そこで2020東京五輪のOA枠選手選びを3つの視点で分析して冷静に予想しましょう。その視点とは、
- 過去の五輪で選ばれたOA選手
- 招集されたOA選手の共通点と五輪サッカーの位置付け
- メディアなどが推している東京五輪日本代表OA 候補
それでは2020東京五輪サッカーOA(オーバーエイジ)候補の選定を上記の視点で考察し最後に私が予想するOA候補を紹介しましょう。
2016年リオ五輪日本代表 OA枠
(jfaサイトより)
まず、過去にどういう選手がOA枠で招集されたか4つの例で検証しましょう。選手情報に関しては当時の所属クラブとその時点での実績。
リオ五輪では次の3選手が招集されている
- 塩谷 司 DF サンフレッチェ広島
- 藤春廣輝 GF ガンバ大阪
- 興梠慎三 FW 浦和レッズ
全員ともJリーグでプレーする選手。日本代表選手であるが定着しているとは言えない。リオ五輪では欧州など海外でプレーする選手の召集はなかった。
2012年ロンドン五輪日本代表 OA枠
更にさかのぼってロンドン五輪をチェックしてみよう。
- 吉田麻也 DF VVV
- 徳永悠平 DF 東京
2人のみが招集された。
吉田選手は2011/12シーズンにVVVでレギュラーを勝ち取り、ロンドン五輪直後にサウサンプトンにステップアップしている。また、この当時、日本代表に定着し始めた。徳永選手は日本代表での出場経験は数試合。
それでは、海外チームのOA枠活用実態はどうなのか?
2016年リオ五輪ブラジル代表 OA枠
地元開催のリオ五輪で五輪初優勝したブラジルは3名のOA選手を招集。
- ネイマール FW バルセロナ
- ウェヴェルトン GK アトレチコ・パラナエンセ
- レナト・アウグスト MF 北京国安
ネイマールはリオデジャネイロオリンピックの出場を優先するため、コパ・アメリカ・センテナリオ(コパ・アメリカ100周年記念特別大会)を欠場している。W杯出場経験あり。
ウェヴェルトンとレナト・アウグストはブラジル代表ではない。尚、アウグストは、日本と同様、オリンピックを重視する中国のチームに所属。
2016年リオ五輪ドイツ代表 OA枠
リオ五輪で準優勝したドイツも見てみよう。
- ニルス・ペーターゼン FW フライブルク
- スベン・ベンダー MF ボルシア・ドルトムント
- ラース・ベンダー MF レバークーゼン
ペーターゼンはドイツ代表経験がない。2人のベンダーは共にドイツ代表。但し、W杯出場経験はない。因みに、スベンとラースは双子の兄弟。
招集されたOA選手の共通点
11名のOA選手をみたが、ネイマール選手は別格と言ってよい。ネイマールを除いて4例で得た情報を分析すると、
- 国内リーグ所属選手は10名中8名
- 代表経験者は10名中7名、それも代表実績の少ない選手がほとんど。
- W杯経験者は10名中ゼロ
五輪サッカーの位置付け
招集されたOA選手の共通点を見て分かることは、オリンピックサッカーの重要度・関心度・価値観は我々が思っているほど高くないこと。
少なくても欧州のクラブチームにとっては五輪の重要度は相当低い。アジアでの関心度は高いが、欧州ではU-22というカテゴリーでオリンピック代表国を決めていない。オリンピック前年に開催されるUEFA U-21欧州選手権(予選はその2年前開始)における上位4チーム(国)がオリンピック出場。
メディアなどが推している東京五輪日本代表OA 候補
二宮寿朗氏はNumber Webの次の記事で
東京五輪のOAの第1弾候補として川島永嗣、植田直通、柴崎 岳、中島翔哉、岡崎慎司を取り上げている。
佐藤俊氏はSoccerDigest Webの次の記事で
柴崎 岳と中島翔哉の「東京五輪行き」は鉄板。オーバーエイジ残り1枠は永井謙祐と予想。
他には長友佑都、酒井宏樹、大迫勇也などが挙がっている。
はたして誰が選ばれるだろうか?
私の予想するOA候補
自国開催五輪という事でネイマールに最も近いレベルの中島選手には声がかかるだろうが、所属クラブ(FCポルト)は認めないだろう。本人も2019/2020年度シーズンに大きな実績を残さない限りクラブに直訴はできないと思う。柴崎選手も同様。
ここに挙げられている選手は永井選手を除けば全て海外プレーヤー。海外プレーヤーからはせいぜい1人選ばれれば「めでたし」と考えるのが妥当。海外選手という視点から見ると川島、権田、岡崎が考えられる。特に川島と権田はチームでの出番がないのでどちらかが召集される可能性(所属チームが認める)は大きい。
国内組を見れば、現時点では永井謙祐、鈴木 武蔵、橋本拳人、畑中慎之介が最有力である。ただ、攻撃重視・守備重視等の戦術や補強と言う視点でOA枠に選ばれる選手は大きく変わる。
OA候補選びは戦略ファースト
巷ではOA候補に人気や期待の視点でいろいろな選手が取り上げられているが、私も同じ視点及び招集可能性でOA候補を予想してみた。
しかし、東京五輪メダル獲得に向けたOA選考のベストアプローチでないように思う。何故なら、過去の五輪成績に裏付けされた戦略的アプローチでないからである。
おわりに
東京五輪サッカー代表メンバー発表までには紆余曲折の展開が想定されるが、OA候補を見定めるポイントはある。もちろん、五輪世代の成長もあるが、そのポイントは、
- Jリーグから選ばれるアジア2次予選メンバー
- E-1サッカー選手権オーバーエイジ選手(守備陣に注目)
- アジア2次予選で若手と同時起用されるOA選手(連係強化)
- 海外での日本人選手の動向(大活躍している選手か、ほとんど出場機会に恵まれていない代表実績の豊富な選手や移籍が噂される選手)
いかがでしたか?二宮氏とは全然違いますが、二宮氏は「OAの第1弾候補」としてリストアップしているので、きっと、第2弾、第3弾がでてくるでしょう。それも楽しみですね!
私も第2弾( 東京五輪でメダル取るならOA候補選びは戦略ファーストだ!)を出しましたので、次は第3弾。よろしくお願いします。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます