2018年12月8日にFIFA女子ワールドカップ2019フランス大会の1次リーグ(Group Stage)組み合わせ抽選会が行われ、なでしこジャパンはD組に入りイングランドと対戦することになった。
なでしこファンにとって気がかりなのは
- 決勝トーナメント(Konckout Stage)進出の確率は何%か
- なでしこ代表メンバーに選出されるのは誰か
という2点であろう。
ここでは決勝トーナメント進出の確率についていろいろなデータを駆使して一緒に分析しましょう。 なお、分析には2019年4月9日時点でのデータを使っていますが、参考程度にW杯直前のWarm-upマッチにも触れています。
組み合わせ抽選結果の総評
今回の抽選では前回のFIFAワールドカップ2015カナダ大会の抽選方法と大きく違った。
おそらく前回のアメリカ、スウェーデン、オーストラリアのランキングTop10の3カ国が同じ組(死の組)に入った反省からであろう。
大きな違いは、
- ポット1~4の割り振りが大陸別ではなく
- 最新のFIFA女子ワールドランキングをベース
に変更した点である。そのため強豪国3チームが同じポットに入る「死の組」はなくなった。なでしこジャパンも決勝トーナメント進出においては比較的楽なグループに入ったと言える。
GS(グループ ステージ):なでしこジャパンは D組
- シード国はイングランド
- D組最新ランキング(2019年3月29日発表)
Ranking | 代表国 |
3位 | イングランド |
7位 | 日本 |
20位 | スコットランド |
37位 | アルゼンチン |
分析1:2019年度のおける直接対戦
2018年度の対戦は全くなかったが、幸運にも2019年度は1つだけある。SheBelievesカップにおけるイングランド対なでしこジャパンだ。
3月5日 イングランド 対 なでしこジャパン 3-0 イングランド勝利
シュート数 | 枠内シュート | |
イングランド | 10 | 4 |
日本 | 12 | 4 |
数字を見ただけでは互角の試合なのにどうして3失点したの?と思って当然であろう。イングランドの猛攻を受け前半に3失点。後半は終始日本が優勢に試合を進めたが無得点。
後半のイングランドはW杯対策として、リードした場合、いかに体力を消耗せずに守りきるかのシナリオをテストしていたように見えた。いずれにしても力の差を感じた試合であった。
SheBelievesカップの詳細はこちら!
分析2:イングランドの2019年成績
SheBelievesカップで初優勝したものの、その後の成績がパッとしない。
FIFAランク5位のカナダにシュート数でも試合でも負けている。さらに試合には勝利したものの、ランク13位のスペインにシュート数で圧倒された。
ここに来て少し不安定な面が見受けられるので、なでしこジャパンがイングランドに勝利する可能性が3月時点より高くなった。
W杯直前のWarm-upマッチなのであまり参考にならないが6/1ニュージーランド戦で0-1の敗戦。なでしこ1位通過の可能性はさらに高くなった。
対戦国 | 月日 | スコア | 勝敗 | シュート 数(相手) | 枠内 シュート |
ブラジル | 2.27 | 2-1 | 〇 | 16(10) | 7(1) |
アメリカ | 3.2 | 2-2 | △ | 6(20) | 3(5) |
日本 | 3.5 | 3-0 | 〇 | 10(12) | 4(4) |
カナダ | 4.5 | 0-1 | ● | 8(13) | 2(5) |
スペイン | 4.9 | 2-1 | 〇 | 6(16) | 5(5) |
デンマーク | 5.25 | 2-0 | 〇 | 10(12) | 2(4) |
ニュージーランド | 6.1 | 0-1 | ● | 15(9) | 4(4) |
分析3:なでしこジャパンの2019年成績
何と全てFIFAランクTop10との対戦である。注目に値するのはUSAとドイツに引き分けた点であろう。まずまずの成績と言ってよいが、シュート数を見れば後半手を抜いた?イングランド戦以外は圧倒されている。勝ったブラジルにも圧倒された。
強豪国と対戦して守勢に回るのは、ある意味、なでしこらしいが、従来のなでしこのような粘り強さや攻勢に耐える組織力を備えていない。
昨年度の大きな課題であった「前半に先制点を許すと負けてしまう」と言う点は、ある程度改善できているが、90分間耐え抜く力はまだ備わっていない。
攻撃のリーダーが不在なのは痛い。W杯直前の6/2スペイン戦でも攻撃の組み立てはあまりできなかった。
1位通過を確実にするには粘り強い守備でイングランドに引き分けることが最低条件だろう。
対戦国 | 月日 | スコア | 勝敗 | シュート 数(相手) | 枠内 シュート |
アメリカ | 2.27 | 2-2 | △ | 5(13) | 2(6) |
ブラジル | 3.2 | 3-1 | 〇 | 11(22) | 6(6) |
イングランド | 3.5 | 0-3 | ● | 12(10) | 4(4) |
フランス | 4.4 | 1-3 | ● | 6(24) | 4(7) |
ドイツ | 4.9 | 2-2 | △ | 7(22) | 4(9) |
スペイン | 6.2 | 1-1 | △ | 3(4) | 1(2) |
分析4:スコットランドの2019年成績
年初はチームとしてうまく機能していなかったようだ。最近は徐々に力を発揮し始めている。シュート本数で圧倒されながらもブラジルに勝ち切った点は日本と似ている。
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート 数(相手) | 枠内 シュート |
ノルウェー | 1.18 | 1-3 | ● | ||
アイスランド | 1.22 | 1-2 | ● | ||
カナダ | 3.1 | 0-1 | ● | ||
アイスランド | 3.4 | 4-1 | 〇 | ||
デンマーク | 3.6 | 1-0 | 〇 | ||
チリ | 4.5 | 1-1 | △ | ||
ブラジル | 4.8 | 0-1 | 〇 | 7(16) | 3(6) |
ジャマイカ | 5.29 | 3-2 | 〇 | 19(8) | 8(3) |
分析5:ワールドカップ・五輪経験者
大舞台で重要な経験値
ワールドカップやオリンピックの大舞台で最も重要なのは経験値とよく言われる。そこでイングランドと日本の経験値を表にしてみた。スコットランドはどちらにも出場していないので経験値はゼロ。
経験者:ワールドカップ・五輪に出場経験のある選手(経験値の高い選手)
- 日本の経験値は強豪国の中で最も低い
- イングランドも平均値より11ポイント低い
4月度最上位国との試合のスタメン
代表チーム | 経験者数 | % |
日本 | 3 | 27 |
イングランド | 6 | 55 |
強豪国平均 | 7.2 | 66 |
平均年齢 22歳以下・30歳以上の選手数
なでしこジャパンの平均年齢は強豪国の中で最も低い。ドイツ戦では22歳以下の先発メンバーは7名。
一方、W杯招集メンバーを見る限りイングランドの経験値は日本より高いもののTop10強豪国の中では平均値より11ポイント低い。一方、W杯招集メンバーの平均年齢は27.1歳でTop10のUSA、ブラジルに次いで高い。
若さでは日本が大きくリードしているが、経験値の低さをチームワークでカバーできるかどうかが大きなポイントになるだろう。
4月度最上位国との試合のスタメン
代表チーム | 平均年齢 | 22歳以下 | 30歳以上 |
日本 | 23.8 | 7 | 1 |
イングランド | 28.0 | 1 | 4 |
強豪国平均 | 27.0 | 1.7 | 3.1 |
なでしこのGS試合結果予想
日本 対 イングランド
- イングランドが直接対戦を3-0で制している
- 若さでは日本が圧倒しているが経験値は極端に低い。
- イングランドのほうが大舞台での経験値が高い
2018年度においてなでしこジャパンはFIFAランキングTop10と7試合戦ったが、勝利したのはわずか1回(対オーストラリア)。2019年度も負け試合は減ったがランク10位のブラジルを除けば未勝利(2分2敗)。
これらの点も踏まえて判断すると 6:4でイングランド有利と見る。 ただ、4月以降のイングランドの調子を考慮すると勝利の確率はアップ。
日本 対 スコットランド
- スコットランドはワールドカップ初出場
- 日本はノルウェーに勝っているがスコットランドは負けている
- なでしこジャパンは2018年度にTop10に入っていないチームには負けたことがない。このジンクスは2019年度にブラジル(ランク10位)に勝っていることで続いていると言える。さらに、W杯直前のWarm-upマッチとは言え、13位のスペインに引き分け。
これらの点から判断すると7:3で日本有利と見る
日本 対 アルゼンチン
- 日本が圧倒的に有利
- 少なくても3-0以上の勝利が欲しい
なでしこジャパンの決勝T進出の確率は?
先に申しあげておくが、なでしこジャパンの決勝トーナメント進出の確率は100%。また、第2弾としてグループステージ試合結果+強化試合結果をベースに決勝T進出する代表チームを考察しています。
それを踏まえて1位、2位、そして3位通過の確率を予想しましょう。
なでしこジャパンの1位通過の確率
1位通過するには2勝1分けが条件
即ち、イングランドに引き分け、スコットランドとアルゼンチンに勝利。
全体的には、1位通過の可能性は40%くらいと考える。なお、4月の出来がもう一つさえなかったイングランドに勝利する可能性は高まったので勝てば文句なしで1位通過。
なでしこジャパンの2位通過の確率
1勝1敗1分で得失点差+1以上が条件
即ち、イングランドに0-1あるいは1-2で負けても、アルゼンチンには3-0で勝つこと。下位チームに負けたことがない点を考慮すると2位通過の可能性は50%以上と見ている。
なでしこジャパンの3位通過の確率
1勝1敗1分けで得失点差で3位になる可能性が考えられる。
3位になる確率は10%くらいと考える。
少なくても1勝1敗1分け(勝点4)なら決勝トーナメントへ進出できる。
前回のFIFA女子ワールドカップ2015では1勝2敗や3分で決勝トーナメントへ進んだ国があったので3位になろうが決勝T進出に関しては心配ない。
日本の順位を決定づけるイングランド対スコットランド戦
日韓対決のようなもので相当激しい試合が予想される。
引き分けの場合
- なでしこジャパンの1位通過の可能性が高くなる一方で
- スコットランが2位となる可能性も高くなる
イングランド勝利の場合
- なでしこジャパンとイングランドの試合結果次第だが
- イングランドに勝たない限り2位の可能性が極めて高くなる
なでしこジャパンがベスト8に進むには?
確実なのは1位通過すること!
1次リーグで1位通過となればB、E、F組の3位通過チームと決勝トーナメント1回戦を戦う。そうなればベスト8進出の可能性はかなり高くなる。
いずれにせよ、イングランドもスコットランドも1位通過を狙っているので相当激しい試合となるだろう。
1位通過を確実にする手はある
どうしてか分からないが2年半以上も召集されていないある選手をメンバーに加える事である。
誰かと言えば、永里優季選手。今シーズンもNWSL(各国の代表クラスの選手が50名以上プレーするアメリカ女子プロサッカーリーグ)で4月度べスト11に選出されるほどのワールドクラスプレーヤー。ただ、召集の可能性はゼロに限りなく近いだろう(予想通り、召集されなかった)。
- 彼女の活躍を詳しく知りたい
- 召集の可能性を知りたい
まとめ
FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会でのなでしこジャパンの決勝トーナメント進出可能性について分析してみた。
使用したデータは2019年度の試合結果。そして大舞台での経験値。
結論は100%の確率で決勝ラウンドに進出!
- 1位通過 40%
- 2位通過 50%
- 3位通過 10%
なお、ベスト8になる可能性にも簡単に言及しました。
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