FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会準々決勝組み合わせ決定は6月26日。予想外だったのはオーストラリアの決勝トーナメント(T)1回戦敗退。残念ながらサマンサ・カーの活躍はW杯ではもう見られない。
アメリカはスペインに勝利、カナダはスウェーデンに敗北。決勝T1回戦はなでしこジャパンの試合を含め残り2試合あるが、現時点でベスト4を予想。
準々決勝の見どころは、
- ブロックに恵まれたドイツがランキング通りの結果を出すか?
- ノルウェーとイタリアがTop以外のチームとしてベスト4になるか(これまでは2003年に1チームだけ)?
しかし、最大の見どころはフランス対アメリカ、事実上の決勝戦と言い切ってよい。これについては最初に詳しく紹介したい。
フランス 対 アメリカ
事実上の世界No.1とNo.2の対戦
- この対戦は準々決勝では実現しないだろうと予想したので、個人的には決勝戦で当たってほしかった
- アメリカの2017年7月から始まった28戦無敗の記録を破ったのがフランス。それは2019年1月の国際親善試合。何とスコアは 3-1でフランスの勝利
- アメリカにとって受け入れがたい屈辱的な敗戦
- その胸の内を読み違えて私はこの対戦は決勝戦まで実現しないと予想。しかし、アメリカがタイを13-0という歴史的なスコアで大勝した時、アメリカの強いリベンジの意思を感じ取った
- おそらくアメリカにとっては優勝以外考えていないので、どの段階でフランスと当ろうがフランスにリベンジしなければ優勝はない
- それなら体力の消耗の少ない段階でフランスと戦う方が勝算があるだろうと考えた末の決断でしょう
過去4年間の直接対決
- 2015~2016 アメリカ 3勝
- 2017~2019 フランス 2勝1分
大会名など | 結果 | 勝利 チーム |
アルガルベカップ2015 | 2-0 | アメリカ |
SheBelievesカップ2016 | 1-0 | アメリカ |
リオ五輪2016 | 1-0 | アメリカ |
SheBelievseカップ2017 | 3-0 | フランス |
SheBelievesカップ2018 | 1-1 | |
2019.1.19フレンドリー | 3-1 | フランス |
SheBelievesカップ2018
スタッツ | アメリカ | フランス |
ボールポゼッション | 58% | 42% |
シュート本数 | 11 | 14 |
枠内シュート本数 | 2 | 4 |
2019.1.23親善試合
スタッツ | アメリカ | フランス |
ボールポゼッション | 53% | 47% |
シュート本数 | 8 | 14 |
枠内シュート本数 | 4 | 9 |
2019W杯開始前と開催中の成績
フランス
W杯前
- 強豪国との対戦で2019年度わずか1敗。安定度抜群
- 1敗は圧倒したにもかかわらず敗れた3月のドイツ戦
W杯
- これまでのようにプレーすればアメリカは簡単には得点できないだろう
- 守備力も1失点しているが枠内シュートを許したのは1本だけ
- 攻撃力も21本の枠内シュートで9得点
- 決勝T1回戦ではTop10内のブラジル(10位)と対戦。先制されたりVARの判定で苦しみながらも逆転したのは地力のある証
(太字はTop10との対戦)
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
韓国 | 6.8 | 4-0 | 〇 | 24(4) | 8(0) |
ノルウェー | 6.13 | 2-1 | 〇 | 16(4) | 6(1) |
ナイジェリア | 6.18 | 1-0 | 〇 | 22(1) | 4(0) |
ブラジル | 6.24 | 2-1延長 | 〇 | 17(14) | 3(7) |
アメリカ
W杯前
- 2019年度に入ってから失点が増えたが攻撃力はすさまじい
- 国内のシーズンが始まれば守備も安定してくるだろう
W杯
- スウェーデン戦で安定したパーフォーマンス発揮
- スウェーデンに完封勝利で守備もよくなってきているが、スペイン戦のようなパスミスからの失点をすれば致命傷になりかねない
- あまり参考にならないが枠内シュート33本で18ゴール。攻撃力抜群
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
タイ | 6.12 | 13-0 | 〇 | 40(2) | 20(2) |
チリ | 6.17 | 3-0 | 〇 | 26(1) | 9(0) |
スウェーデン | 6.21 | 2-0 | 〇 | 16(7) | 4(2) |
スペイン | 6.25 | 2-1 | 〇 | 10(4) | 2(1) |
W杯決戦:勝敗の行方、フランスかアメリカ?
フランスが僅かに優勢、その理由は
- 2017年以降フランス優勢(2勝1分)
- 男子優勝に続けとばかりに気合が入っている
- 4万人以上のファンがパリ・サンジェルマンのホームスタジアムで声援
フランス勝利の確率:60%
結果:アメリカ 2-1 フランス
33歳、宇津木と同じシアトル・レインFCでプレーするラピノーの2得点でアメリカがフランスの猛攻を凌いで勝利。フランスのシュート数は20(枠内シュート数 5)に対してアメリカは半分の 10(8)。
今大会出場した強豪国平均年齢で最も高いアメリカのしたたかなゲーム運びと決定力が結果を左右。直近の3戦でフランスが2勝1分+地元ということでフランス勝利と予想したが、よく考えてみれば、力は拮抗しているのは間違いないが、フランスの実績はNWSL(アメリカ女子サッカープロリーグ)がシーズンオフか開幕前での対戦成績。その点の思慮が浅かった。
ノルウェー 対 イングランド
ノルウェー
W杯前
- 本当の実力が見えない。2019年度に入ってランク19位のニュージーランドに負ける一方で中国やスコットランドに勝利
W杯
- 運よく勝ち上がった。PK2点で韓国に勝ったがシュート数で圧倒された。A組3位のナイジェリアに対して3-0だがそこまでの実力差はない
- 守備はいい。攻撃力はそれ程でもないが、15本の枠内シュートで7得点はすごい。少ないチャンスで得点
- イングランド戦で実力が本物か分かる。拮抗した試合になるだろう
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
ナイジェリア | 6.9 | 3-0 | 〇 | 10(10) | 4(2) |
フランス | 6.13 | 1-2 | ● | 4(16) | 1(6) |
韓国 | 6.18 | 2-1 | 〇 | 8(22) | 2(6) |
オーストラリア | 6.23 | 1-1PK4-1 | 〇 | 27(19) | 8(4) |
イングランド
W杯前
- 2019年度スペインに苦戦、6/1 ニュージーランドにまさかの0-1などパーフォーマンスが不安定
W杯
- シュート数の多い割に得点が少ないが、肝心の時に得点している。また、W杯に入って安定したパーフォーマンを発揮
- ただ、日本を除いてかなり下位チーム相手なので当然の結果
- 特に、カメルーン戦では点差ほどの実力差は感じられなかった
- ノルウェー戦でランク3位に相応しい実力をしめせるか?
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
スコットランド | 6.10 | 2-1 | 〇 | 14 (7) | 6 (3) |
アルゼンチン | 6.15 | 1-0 | 〇 | 17 (2) | 7 (1) |
日本 | 6.20 | 2-0 | 〇 | 14 (16) | 6 (4) |
カメルーン | 6.24 | 3-0 | 〇 | 7(8) | 3(2) |
イングランド勝利の確率:60%
結果:イングランド 3-0 ノルウェー
イングランドは決定力と粘り強い守備で実力を発揮。ノルウェーは「W杯での強豪国+ベスト8のスタッツ」が示しているようにチャンスに決められず決定力の差が如実に結果に現われた。シュート本数:イングランド 15、ノルウェー 12。枠内シュート:イングランド 6、ノルウェー 4。
イタリア対 オランダ
予想と言え、中国と日本を外すのは早計だ。一番の理想は両チームが私の予想を覆してベスト8で対戦すること。その可能性は30%はあると見る。尚、オランダ対日本は両チーム互角と予想変更(それまではオランダ勝利60%)。
なでしこジャパンがオランダに勝利してイタリアとベスト4を掛けて対戦するとなれば、私は日本の勝利は少なくても60%以上と考える。それはこのW杯でのパーフォーマンスはさておき、日本がTop10より下のチームに1年以上負けていない点がその理由だ。
結果:イタリアとオランダがベスト8でアジア勢は全て敗退。日本も中国もオーストラリアも決勝Tの内容は五分五分、あるいはそれ以上だったのに勝てない、共通の課題は決定力不足。特にイタリアやオランダのように決定機は少ないがそれでも得点できるチームが勝ちあがった。
- イタリア 枠内シュート 19本 得点 9
- オランダ 枠内シュート 14本 得点 8
- 日本 枠内シュート 17本 得点 3
- 中国 枠内シュート 19本 得点 1
イタリア
W杯前
- 実力度は計りにくい。というのも強豪国との対戦が最近ないからだ。また、Top10以外のチームに対して圧倒する力を持っている訳でもないが安定した結果を残している。
W杯
- オーストラリア戦にはシュート数・ボール支配率で圧倒されながらも勝利した。守りは固そう。
- 攻撃力はそれ程でないが枠内シュート19本に対して9得点は素晴らしい
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
オーストラリア | 6.10 | 2-1 | 〇 | 6(16) | 3(5) |
ジャマイカ | 6.15 | 5-0 | 〇 | 15(9) | 7(1) |
ブラジル | 6.20 | 0-1 | ● | 11(12) | 4(3) |
中国 | 6.26 | 2-0 | 〇 | 17(19) | 5(6) |
オランダ
W杯前
- 調子がおかしい。2019年度に入ってスペインやランク28位のポーランドに負けている。強豪国との対戦がないので実力は未知数
W杯
- オランダはカナダ戦に勝利したが、実力的には五分五分。守備は安定してきた。2019年UEFAチャンピオン時の自信を取り戻してきたようだ
- 枠内シュート9本に対して6得点。枠内シュートは意外と少ないが決定率は極めて高い(枠内シート14本で8得点)
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
ニュージーランド | 6.10 | 1-0 | 〇 | 16(5) | 3(3) |
カメルーン | 6.15 | 3-1 | 〇 | 11(11) | 4(2) |
カナダ | 6.20 | 2-1 | 〇 | 8(12) | 2(2) |
日本 | 6.26 | 2-1 | 〇 | 12(12) | 5(4) |
どちらが勝ってもおかしくない非常に拮抗した試合になるだろうが、日本を破ったオランダにベスト4へコマを進めてほしい。
オランダ勝利の確率:60%
結果:オランダ 2-0 イタリア
前半はイタリアがペースをつかみ決定機を作るがゴールならず0-0。逆に後半はオランダが猛攻を続けついに70分にセートプレーから先制ゴール。その後もセットプレーから追加点し勝利。シュート本数:オランダ 20(9)、イタリア 8(4)。( )内は枠内シュート本数。
ドイツ 対 スウェーデン
ドイツ
W杯前
- ドイツは世代交代中。されどワールドランキング2位
- 実力的には世界2位の評価に疑問だが、少なくても4~6位のレベル
- 2019年度に入りフランスに勝ったが内容的には負けに等しかった。しかし、攻撃力は日本戦で見せたようにかなり高い
- 日本戦の前の親善試合がスウェーデン戦。この時は2-1で勝利。
W杯
- ドイツの守備は固い。スペインにボール支配率で圧倒されても(36%:64%)得点を許さなかった
- 攻撃力もかなり高い。枠内シュート27本に対して9ゴール
- Top10との戦いがこれまでないのが気になる
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
中国 | 6.8 | 1-0 | 〇 | 16(5) | 4(1) |
スペイン | 6.13 | 1-0 | 〇 | 13(16) | 7(2) |
南アフリカ | 6.18 | 4-0 | 〇 | 23(6) | 12(1) |
ナイジェリア | 6.23 | 3-0 | 〇 | 13(8) | 4(2) |
スウェーデン
W杯前
- 2019年度に入ってランク49位の南アフリカに引き分け。ランク30位のポルトガルに負け。下位チームに取りこぼしているので実力は未知数。
W杯
- チリ戦、タイ戦の結果は評価できないが、アメリカ戦、カナダ戦では実力通りのパーフォーマンスを発揮した
- 先制点を取れば勝てる可能性が出てくる
対戦国 | 月日 | スコア | 勝 敗 | シュート (相手) | 枠内 シュート |
チリ | 6.12 | 2-0 | 〇 | 24(5) | 6(1) |
タイ | 6.16 | 5-1 | 〇 | 35(5) | 12(3) |
アメリカ | 6.21 | 0-2 | ● | 7(16) | 2(4) |
カナダ | 6.25 | 1-0 | 〇 | 8(11) | 3(1) |
ドイツ勝利の確率:70%
結果:スウェーデン 2-1 ドイツ
ドイツは16分先制したものの22分に同点とされ後半早々逆転を許し敗退。ボールポゼッションではスウェーデンを圧倒(64%対36%)したがシュート本数(枠内シュート数)では13(6)対 12(6)で互角。ドイツは決定機に決めらず敗退。ドイツの勝利は固いと思ったのだが・・・・
強豪国チームの中で勝負強さと大舞台(W杯・五輪)での経験値やチーム平均年齢とどういう関係があるのを証明するのは難しいが、結果的には両方とも低いドイツが敗退。
- 平均年齢の最も低い日本と3番目に低いドイツ(2番目はカナダ)
- 大舞台での経験値の最も低い日本と2番目に低いドイツ
FIFA2019女子W杯:ベスト4予想まとめ
ベスト4予想
勝負の世界では「絶対はあり得ない」ので多少の予想違いはあるかもしれないが、順当にいけば下記の4カ国がベスト4と予想するのが妥当。
- イングランド(決定)
- フランス or アメリカ(決定)
- オランダ(決定)
- ドイツ or スウェーデン(決定)
ベスト4組み合わせ予想
最初のブロックに強豪国集まっているのでドイツはラッキー。
- イングランド 対 フランス or アメリカ
- オランダ 対 ドイツ or スウェーデン
まとめ
ベスト8を予想する上でアメリカ女子代表チームは準々決勝でフランスとの事実上の決勝戦を避けるのではないかという前提でベスト8予想や優勝予想をしたが、準々決勝で当たることで、より迫力のある試合が期待できる。実力的にはかなり拮抗しているが、地元の利を得たフランスの勝利と予想。
順当に勝ち進めば、ベスト4は
- イングランド
- フランス
- オランダ
- ドイツ
なお、予想が外れるとしたら、もちろんフランスの代わりにアメリカだ。
いかがでしたか? 皆さんのFIFA女子W杯2019ベスト4に向けての試合を観戦する上で参考になれば幸いです。
なお、下記の記事もご覧いただければ幸いです。
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