FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会の開催まで2週間。この頃、何となく落ち着かない日々が続いている。
そこで強豪国のW杯メンバー(カナダは5月24日発表)が出揃ったのを機に代表チームのプロフィール(経験値、平均年齢など)をまとめることにした。
(本記事は1年前の強豪国の状況ですが、ブラジルを除いてあまり変わりませんが最新の強豪国情報はこちら!)
強豪国ではないが、グループステージでなでしこジャパンが対戦するスコットランドとアルゼンチン代表チームのプロフィールも付け加えた。 それでは強豪国・対戦国の代表チーム プロフィールなどをお伝えしましょう。
強豪国のチームプロフィール
- 強豪国:最新FIFAランキングTop10
- 経験値:大舞台(W杯・五輪)で出場経験有
- 女子W杯:1991年から始まり今回が8回目
- 代表歴試合数:全ての代表試合数(国際Aマッチ以外も含む)
アメリカ 経験値の高いベテランに依存 優勝候補
- FIFAランク1位
- W杯最高成績:優勝(優勝-3、準優勝-1、3位-3)
- 前回大会(2015年):優勝
- 平均年齢は強豪国の中で1番高い 28.6歳
- 大舞台経験者は 14名
- 4月のオーストラリア戦(招集メンバー)から3名追加しただけ
- ベテランが健在のため若手が少ない。最年少は20歳のDavidson
- 代表選手は全員世界最高峰の女子サッカーリーグNWSLでプレー
- 代表歴100試合以上:モーガン、ラピノー、ロイド、ヒース、プレス、サワーブラン、オハラの7名
- ラピノー他1名はレインFCで宇津木と同僚
- ロイドはスカイブルーFCで川澄と同僚
- GKのアリッサ・ネイヤー他3名はシカゴ・レッドスターズで永里と同僚
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:2勝2分1敗
- 1敗はフランス戦
ドイツ 中堅主体
- FIFAランク2位
- W杯最高成績:優勝(優勝-2、準優勝-1、ベスト4-2、ベスト8-2)
- 前回大会(2015年):4位
- 平均年齢は強豪国の中で3番目に低い 25.4歳
- 大舞台経験者は 8名
- 4月のスウェーデン戦と比べて若手から中堅3名へ変更。なでしこ戦と比べたら5名が入れ替わった
- 代表歴100試合以上は最年長のLena GoeBlingのみ
- 猶本所属のSCフライブルグから4名招集
- SimonとMarozsanはリヨンで熊谷と同僚
- 21名は国内リーグでプレー
- メンバーは強化試合を通して固定しなかった
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:2勝1分
- 1勝はフランス戦
イングランド ベテランと中堅主体
- FIFAランク3位
- W杯最高成績:3位
- 前回大会(2015年):3位
- 平均年齢は27.1歳
- 大舞台(W杯・五輪)経験者は9名
- 昨年11月スェーデン戦 0-2の敗戦後スタメンを大幅変更
- その結果?2019SheBelievesカップで優勝
- しかし4月の強化試合でカナダに負けるなど好調維持できず
- カナダ戦から中堅2名を外してベテランと中堅に入れ替えた
- 代表歴100試合以上はカーニー、Houghton、Scottの3名
- Jodie Taylor(2018年度NWSLで9得点)はレインFCで宇津木と同僚
- ヒューストンDashのRachel Dalyは2018年度NWSLで10得点
- マンチェスター所属のNikita Parrisは今シーズン19試合で19得点
- DFの要、Lucy Bronzeは世界最高レベルのクラブチーム、リヨン(Olympique Lionnais)で熊谷と同僚
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:2勝1分け1敗
- 1敗はカナダ戦
フランス 中堅主体の理想形 優勝候補
- FIFAランク4位
- W杯最高成績:4位
- 前回大会(2015年):ベスト8
- 平均年齢は強豪国の中で5番目に低い26.3歳
- 大舞台経験者は10名
- 4月の日本戦から中堅を1名だけ入れ替えた
- 世代交代完了
- 代表歴100試合以上はルナール、Sommer、Bussaglia、Bouhaddi、Thineyの5名
- 熊谷所属のUEFA女子チャンピオン(4年連続)のリヨンからルナール他7名召集
- 21名は国内リーグでプレー
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:2勝1敗
- 1敗はドイツ戦
- 過去3年間でUSAに勝利した唯一のチーム
カナダ ベテラン+中堅+若手+高い経験値
- FIFAランク5位
- W杯最高成績:4位(2003年)
- 前回大会(2015年):ベスト8(ホスト国)
- 平均年齢は何と24.7歳で日本の次に低い
- しかし、大舞台経験者は14名 (うち5名は23歳以下)
- かなり計画的に若手を育成している
- 代表歴100試合以上は3名:シンクレア、Scott、Schmidt
- 9名はNWSLでプレー、さらに4名の若手は米国の名門大学でプレー
- K. SheridanはSky Blue FCで川澄と同僚
- K. Buchamanはリヨンで熊谷と同僚
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:1勝1分
- 1勝はイングランド戦
オーストラリア 中堅主体であるが大舞台経験者最多
- FIFAランク6位
- W杯最高成績:ベスト8
- 前回大会(2015年):ベスト8
- 平均年齢は25.4歳
- 大舞台経験者は17名
- 4月のUSA戦から2名追加して残りの2名は若手へ切り替え
- 代表歴100試合以上は34歳のリサ・デ・ヴァナ、Polkinghorne、Kellond-Knightの3名
- 22歳以下は3名で最年少は16歳
- 11名はNWSLでプレー
- 世界No.1のストライカー、2年連続NWSL得点王、サマンサ・カー(永里の相方)は今シーズンも好調でNWSL6試合で6得点
- 正GKのLydia Williams他2名はレインFCで宇津木と同僚
- 3月調査より平均年齢が下がりバランスの取れたチームへと変身
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:2戦2敗
- 1敗は壮絶な打ち合いとなったUSA戦
- もう1敗はW杯直前のオランダ戦で0-3の負け。Warm-upマッチとは言え取りこぼしの癖が残っているようだ
なでしこジャパン 若手主体
- FIFAランク7位
- W杯最高成績:優勝(2011年)
- 前回大会(2015年):準優勝
- 平均年齢は24.0歳
- 大舞台経験者は6名
- 4月の欧州遠征からメンバー4名変更して経験値を高めた
- 代表歴100試合以上は宇津木、鮫島、熊谷、坂口の4名
- W杯・五輪での経験値が強豪国の中で最も低い
- 平均年齢も強豪国の中で最も低い(22歳以下10名)
- 日テレ・ベレーザから10名召集→9名(植木理子がケガの為、セレッソ大阪堺レディースの宝田沙織へ変更)
- 海外プレーヤーはリヨン所属の熊谷とレインFCの宇津木の2名
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:1勝2分2敗
- 1勝はブラジル戦
オランダ 中堅主体だが経験値は高い
- FIFAランク8位
- W杯最高成績:ベスト16
- 前回大会(2015年):ベスト16
- 均年齢は25.5歳で4番目に低い
- 大舞台経験者は12名
- 2月末のスペイン戦比、若手3名を外して中堅とベテランへ変更
- 代表歴100試合以上はGeurts、Spitse、Martensの3名
- 世代交代はかなり前に終了
- Sanden選手はリヨンで熊谷と同僚
- LunterenはSCフライブルグで猶本と同僚
- Dongenはレアルベティスで山根と同僚
- 2017年ユーロ選手権を制した後伸び悩んでいる
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:無
- ただし、6/1オーストラリアとWarm-upマッチ。3-0で勝利
スウェーデン 中堅主体に再編成
- FIFAランク9位
- W杯最高成績:準優勝
- 前回大会(2015年):ベスト16
- 平均年齢は26.6歳
- 大舞台(W杯・五輪)経験者は11名
- 4月のドイツ戦と比べてベテラン2名を中堅へ変更
- 代表歴100試合以上は6名:Lindahl、 Sembrant、Fisher、Asllani、Jakobsson、Seger
- ポルトガルに負けるなど結果が出なかったため中堅・若手を増やし平均年齢がグッと下がった
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:1分1敗
- 1敗はドイツ戦
ブラジル ベテラン主体
- FIFAランク10位
- W杯最高成績:準優勝
- 前回大会(2015年):ベスト16
- 平均年齢は27.5歳
- 大舞台経験者は14名
- 3月初めのUSA戦と比べて7名変更。若手ゼロ
- 最年長はフォルミガで41歳
- マルタをはじめ30歳以上は9名
- Camilaが唯一のNWSLプレーヤー
- 結果が出なかったので中堅を増やした
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:3敗
- さらにスコットランド戦も落とす
グループステージ対戦国代表チームのプロフィール
スコットランド 中堅主体
- FIFAランク20位
- W杯最高成績:初出場
- 前回大会(2015年):n/a
- 平均年齢は26.9歳
- 30以上は4名、22歳以下は1名
- 初出場なので大舞台での経験者はKim Littleのみ。Kim Littleはロンドン五輪でイギリス代表として出場、アーセナル所属。今シーズンMFながら14試合で8得点6アシスト
- 代表歴100試合以上はキャプテンRachel Corsieをはじめ5名
- NWSLプレーヤーはUtah Royalsに所属するRachel Corsieのみ
- スコットランドは2019年度の強化試合でブラジルに1-0で勝利
- 一方、ランク39位のチリと引き分けている
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:1勝1敗
- 1勝はブラジル戦、1敗はカナダ戦
アルゼンチン 平均年齢は高くないが主力はベテラン・中堅
- FIFAランク37位
- W杯最高成績:グループステージ敗退
- 前回大会(2015年):
- 平均年齢26.7歳
- 大舞台経験者は4名
- 30歳以上5名
- 22歳以下4名、最年少は17歳
- 代表歴100試合以上はゼロ(国際試合が少ないからであろう)
- Sole Jaimes選手が今年からリヨンでプレー。熊谷の同僚
- 2019年度強化試合など強豪国との対戦成績:1敗
- 1敗はオーストラリア戦
- 2019年度の国際大会で韓国に0-5負け
注目すべき代表チーム:スペイン 中堅+若手
スペインは2019年度にTop10の強豪国と6試合で2勝2敗2分。
2勝はブラジルとオランダ。W杯直前Warm-upマッチとは言え、カナダ戦、日本戦で引き分け
- ワールドカップは2015年カナダ大会が初出場
- 世代交代完了
- 中堅主体で平均年齢は24.7歳
- 30歳以上1名、22歳以下6名
- カナダW杯経験者8人
- 代表歴100試合以上は 0
- JimenezはレインFCで宇津木と同僚
- 2018年度は無敗
- 着実に成長している
- FCバルセロナの選手が23名中10名
2019W杯代表チームのW杯・五輪経験者数一覧
- 経験者:ワールドカップ・五輪でプレー経験のある選手
- 経験値:23名中の割合(%)
日本は極めて経験不足のチーム
代表チーム | W杯・ 五輪 経験者 | 経験値% |
日本 | 6 | 26 |
アメリカ | 14 | 61 |
カナダ | 14 | 61 |
ドイツ | 8 | 35 |
フランス | 10 | 43 |
イングランド | 9 | 39 |
オーストラリア | 17 | 74 |
ブラジル | 14 | 61 |
スウェーデン | 11 | 48 |
オランダ | 12 | 52 |
平均 | 11.5 | 50 |
2019W杯代表チームの平均年齢・22歳以下・30歳以上の選手数一覧
日本は極めて若いチーム
代表チーム | 平均 年齢 | 22歳 以下 | 30歳 以上 |
日本 | 24.0 | 10 | 3 |
アメリカ | 28.6 | 2 | 11 |
カナダ | 24.7 | 6 | 5 |
ドイツ | 25.4 | 3 | 2 |
フランス | 26.3 | 3 | 5 |
イングランド | 27.1 | 3 | 6 |
オーストラリア | 25.4 | 4 | 3 |
ブラジル | 27.5 | 0 | 9 |
スウェーデン | 26.6 | 3 | 4 |
オランダ | 25.5 | 5 | 2 |
平均 | 26.3 | 3.9 | 5.0 |
おわりに
FIFA女子W杯2019がもうすぐと思うと、心が落ち着かない。何かすることはないかと考えていたら情報整理を思いついた。ちょうど代表国のワールゴカップメンバーの発表が出揃う。ならば、強豪国のチームプロフィールに関わる情報を整理しようという事になった。
今回調べ直して最も驚いたのはカナダの計画的な若手育成方針。21歳のJessie Flemingは代表試合出場数が64試合、これは26歳の岩渕選手よりも多い。日本の若手の出場試合数は1桁台が多い中、カナダの18歳の選手3名は、それぞれ、20、16、4試合の代表試合を経験している。
こんなに長い記事になるとは想像できなかったが、各代表チームに関すの最小限の情報は取り揃えたつもり。結果予想や試合観戦等の参考にしていただければ幸いです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます