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18日の東京市場で日本の長期金利(10年最長期国債利回り)が14年10カ月ぶりに1.4%へと上昇、20年国債利回りも13年10カ月ぶりに2.055%まで上がった。日銀の利上げに対する思惑が高まっているほか、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事がしばらくは米政策金利の据え置きが望ましいと述べて米長期金利が上昇したことなどが影響した。
あす19日に行われる日銀の高田創審議委員の講演と会見で、次の利上げ時期やターミナルレート(利上げの最終到達点)に関し、何らかのヒントが示されるのかどうか市場の関心が急速に高まってきている。
<20年債入札不調、一部金融機関が購入見送り>
複数の市場関係者によると、18日の20年国債入札で一部の金融機関が購入を見送り、落札価格の平均と最低の開き(テール)は55銭と前回(4銭)から大幅に拡大。20年債利回りの上昇につながった。
また、ウォラーFRB理事が18日のシドニーでの講演で、物価抑制の状況進展が明確になるまで「金利据え置きが望ましい」と述べ、アジアの取引時間中に米長期金利が4.5%台に上昇。これも日本の長期金利上昇の要因の1つとされた。
<19日の講演・会見、注目される3つのポイント>
こうした中で、19日に仙台市で行われる日銀の高田審議委員の講演が注目を集めている。複数の市場関係者によると、1)日銀が利上げの要件としている経済・物価の見通しにそって足元の経済・物価上昇が動いている(オントラック)なのか、2)レンジの下限が1%と言われている中立金利やターミナルレートに関して具体的な言及があるのか、3)次の利上げのタイミングを巡り何らかのヒントを提示するのか──といった点に関心が集まっているという。
<食料品値上げと円安に言及するのか>
筆者は、高い賃上げ率ほどには強さが見えない個人消費の動向について、何らかの分析を示すのかどうかにも関心がある。
もし、消費を抑えている要因として食料品価格の上昇を挙げ、その原因となっている円安に言及しつつ、次の利上げのポイントとして指摘するなら、次の利上げのタイミングは市場の多数が予測している今年7月から前倒しされる可能性があると予想する。
<市場の中心見通し、次の利上げは7月・ターミナルレートは1.0%>
18日における市場の日銀利上げ織り込み度合いは、3月が2.4%、4月30日ー5月1日が32%、6月が60%、7月が92%となっている。前週よりも着実に織り込み度合いは前倒し傾向となっているものの、決め打ちするほどの情報発信が日銀からは出ていないという見方が多い。
また、2年先の金利水準の見通しが1.1%となっており、市場のターミナルレートの予想は1%が多数派と言っていいだろう。
明日の高田審議委員の講演と会見で、これらの織り込み度合いが変化するのかしないのか──。国内勢だけでなく、海外勢からの注目度も高まっている。
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