漫画の思い出
花輪和一『日没』(『呪詛 封印版』所収)
『刑務所の中』以降、ずっとマンネリだった。
同時期の『天水』は、花輪漫画の集大成といえるが、マンネリの始まりでもある。『呪詛』もマンネリだった。ところが、『呪詛 封印版』に追加された十篇は、趣が異なる。以前の主題が対人恐怖だったとすれば、この十篇は死への不安だろう。特に、書き下ろしの『日没』が面白い。
『日没』は、漫画ではなく、絵本だ。この本では白黒として掲載されているが、本物はカラーだろう。花輪の色遣いの面白さは、表紙の絵を見ればわかる。この作品をカラーで見てみたい。
話も悪くない。
おかしいな、背中の猫はまだ一度も鳴かないな。ああ、やっぱり道に迷ったようだ。ああっあんなに日が傾いてきた。早いな、冬の日没は。
ん? あれ? “日没”とは変だな。
花輪は絵本作家に変身するかもしれない。現代社会終末期の絵金になりなさい。
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(終)